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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

『芦川いづみ 愁いを含んで、ほのかに甘く』出版記念 芦川いづみ映画祭

『風船』(12/5) 新文芸坐「『芦川いづみ 愁いを含んで、ほのかに甘く』出版記念 芦川いづみ映画祭」(12/5〜12/11)で上映 結婚して以降メディアに姿を見せないが、特集上映はつねに満杯を記録する芦川いづみの本『芦川いづみ 愁いを含んで、ほのかに甘く』が、ついに刊行される(12月9日発売)。 それを記念しての“芦川いづみ映画祭”で上映される一本が、「川島雄三先生の作品の中では一番好きです」と彼女が語る『風船』。 芦川と川島監督との縁は深い。彼女は松竹歌劇団時代、ファッション・ショーに出演中に偶然いあわせた川島監督に認められ、『東京マダムと大阪夫人』に月丘夢路の妹役で出演。その後、日活に移った川島監督の推薦で松竹歌劇団を退団し、日活に入社したという経緯がある。 『風船』は大佛次郎の同名小説を、川島雄三と助監督の今村昌平が脚色した文芸大作だ。かつて画壇の星と謳われた画家だった実業家村上春樹(!!!)を演じているのが森雅之。その息子の立場に甘んじて生きる圭吉に三橋達也。芦川いづみは小児麻痺のために左手が不自由だが、健気で清純なその妹の珠子に扮している。「真珠の珠と書いて珠子です」と自己紹介するシーンの何と初々しいこと! 本作は、時代の風に流される“風船”に託して現代人の魂の彷徨をオーソドックスに描いたメロドラマ。だが川島監督自身が投影されていると思われるナイトクラブのオーナー都築(二本柳寛)に、「人間が生きていることが罪なのだ」と言わせるなど、川島作品らしさも濃厚に漂っている。 しかし、ラストのゆかた姿で舞う芦川いづみの神々しい美しさは、ニヒリズムを超えて見る者の胸を打たずにはおかない。 芦川が川島作品のなかで一番好きという理由が納得できる。

19/12/4(水)

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