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水先案内人のおすすめ

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歌舞伎とか文楽とか…伝統芸能ってカッコいい!

五十川 晶子

フリー編集者、ライター

歌舞伎座二月大歌舞伎

今月の第三部は十七世中村勘三郎三十三回忌追善狂言として『奥州安達原』と『連獅子』が上演される。 『奥州安達原』「袖萩祭文」は平安末期に源義家によって滅ぼされた奥州安倍一族の再興を目する貞任・宗任兄弟による復讐にまつわる時代物だ。袖萩と貞任を当たり役とした十七世中村勘三郎。今月は貞任を孫の中村勘九郎が、袖萩を中村七之助が初役で、幼い娘のお君を勘九郎の次男・中村長三郎がつとめる。 『連獅子』の前半は狂言師右近と左近が「霊獣の獅子は仔獅子を千尋の谷底へ蹴り落とし、這い上がってきた仔だけを育てる」という故事を踊って見せる。ユーモラスな宗教論争の間狂言「宗論」をはさみ、後半は獅子の精が迫力ある毛振りを見せる。歌舞伎の中でも人気演目だ。 今月は中村勘九郎と長男の勘太郎の父・息子で踊る。十七代目勘三郎が息子の十八代目勘三郎(当時の五代目勘九郎)と初めて本興行で踊ったのが1969年。そして十八代目勘三郎が当代の勘九郎と踊ったのが1992年、勘九郎、七之助と日替わりで踊ったのが1992年。今月は今年40歳となる勘九郎と9歳の長男勘太郎の親子が踊る。9歳の仔獅子は最年少という。 先輩と後輩、兄弟、好敵手同士……さまざまな連獅子が踊られるが、実の父息子による連獅子はまた格別なものだが、踊るたびに父・十八代目勘三郎からは、楽屋でも自宅でも叱られっぱなしだったという勘九郎と七之助。だがうまくできたときは「本当にいい表情をしてくれました」とも。「火の玉のように懸命に踊る」。これが中村屋の『連獅子』スピリット。代々中村屋が大事に伝えてきた歌舞伎舞踊が、これでまた次の世代へと引き継がれる。

21/1/29(金)

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