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水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
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邦画も洋画もミーハーに、心理を探る作品が好み

伊藤 さとり

俳優や監督との対談番組を多数、映画パーソナリティ

サンドラの小さな家

企画、脚本、主演のクレア・ダンが、映画を通して伝えたいことこそ、世界中の人に届くといい。DV夫から逃れ、シングルマザーが親権を奪われないための法廷ものではなく、その先の実践的な“世界を良くするため”の方法が描かれているのが彼女の脚本力を証明している。 シングルマザーの子育ては想像以上に大変であり、誰かに子供を預けながら働き、生活費を稼ぐなんて、心身共に疲労困憊してしまう。クレア・ダンは最悪なケースとして、主人公は頼る親族がいない状況で二人の小さな娘の親であるという設定を考え、映画にすることで観客にさまざまな生活環境を持つ人がいると知らせている。 子育てしながら働くには人の理解と助けが必要。暴力は支配欲であり、彼らから逃れるためには“居場所”を見つけなければいけない。その居場所を手に入れるにも人の助けが必要。最初に彼女に手を差し伸べる女性の言葉や、ホームセンターの店員と客である建設業者のやりとりなど、その全てに前向きな願いが込められていて胸が熱くなる。 社会はついつい紙面に書かれていることを事実とみなし、規律を破ったほうが罰せられる構図になっている。だけど、何故、規律を破ったのか、何故、そんな行動をとったのか、そこに耳を傾けると新たな真実が見えてくる。弱者を追い払うのではなく、弱者に手を差し伸べる社会はまだまだ小さい。その事実にもクレア・ダンはちゃんと気づいている、映画によって小さいことでも広がっていくことを願って。

21/3/15(月)

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