音楽好きなら、Kroiと遊ぼう【キキミミ #1 Kroi(前編)】
音楽
インタビュー

Kroi 撮影:池野詩織
続きを読む作品はもとより、ファッションやその生き様までもが“唯一無二”なアーティストに迫り、彼らが真に伝えたい言葉、魅せたい姿を追求するインタビューシリーズ『キキミミ』。「聴く」×「奇跡(奇妙)」、「観る」×「未来(未知)」の頭文字から着想を得たタイトルです。
レギュラーでインタビュアーを務めるのは庄村聡泰(ex- [Alexandros])、撮影は1991年生まれの写真家・池野詩織が担当。プレイヤーとして音楽シーンの第一線を突っ走っていた庄村だからこそ引き出せた言葉と、被写体のまさに自然体を捉える池野の写真が、アーティストのクリエーションに鮮明な輪郭をもたらします。
記念すべきシリーズ第1回目のアーティストは“ネオミクスチャーバンド”として名高い5人組・Kroi。程なくして全音楽ファンに名を轟かすであろう、絶対的要注目の彼ら。平均年齢20代前半とは到底思えない“レベチ”な楽曲クオリティ、5人全員が個性を爆発しているファッションや作品アートワークに象徴される彼らの前衛的センスの秘訣とは…
なお、初回から話が盛り上がり過ぎたため、Kroiは前・後編に分けてお届けします。 ここから先は庄村聡泰による文章。対談ともまた違う、グッド・ヴァイブレーションなインタビューをお楽しみください!
堂々と続けていけばそれがスタイルになる

――初めまして。インタビューを担当させて頂く庄村聡泰と申します。大学生の頃はライター志望だった事もありとても楽しみにしておりました!夢が叶う瞬間です(笑)、今日はよろしくお願いします!
全員 よろしくお願いします!
――早速なのですが僕がKroiに触れるきっかけとなったのは音楽ではなく、アー写だったんです。
全員 へえ〜。
――ルックスが超個性的だったのと、衝撃的だったのは誰がどのパートか分からなかったという事で…。
全員 (笑)。
関 写真もMVもそうなんですが、メインを置いてないと言うか、立ち位置も固定してないんですよ。それぞれの個性、キャラクターに重きを置いていて、バンド全体を見て欲しいというスタイルなんです。でもそれも意図してやっている訳ではなくて。
Kroi「HORN」MV
内田 見て頂いた感じで伝わったと思うんですけど撮影はめちゃめちゃふざけてやっちゃうんですよね(笑)。誰が真ん中に来るかと言うよりも一枚の絵としてより面白くなる形を優先しています。
千葉 こういう配色面白いんじゃね?みたいな。
関 目を引くものにしたいという気持ちはあるので、何だこれ?と思って頂けたのなら結果的には狙い通りです(笑)。
――日本のバンドじゃないんじゃないか?とも思いました。
益田 派手っすもんね(笑)。
――髪型も一切被ってないですし。
全員 確かに(笑)。
千葉 それは結構意識してるかも。坊主いるし、パーマいるし…。
――マッシュいねえな、みたいな。
内田 余ってますね(笑)。
――その辺の自己プロデュースはどのように考えてるんですか?
関 自分たちで自由にスタイリングしてもそれぞれのキャラクターが自然とバラけるようになっていて、それが結構色んな方面に出てるかな。
千葉 今日の服装も何も打ち合わせしてないです。
益田 着る服ねえよ〜とか言って(笑)。
内田 洋服だったり音楽だったり、ディグり癖があると言うか、オタッキーと言うか、ナードな5人が集まってますね。
――益田さんはブルース好きと伺っているのですが、ミシシッピにこんな髪型いねえぞと思いまして。
全員 (笑)。
千葉 それはいねえだろ、みたいな事は大事にしてるかも。
内田 これやったらオモロいんじゃね?みたいな話はよくしてますね。
関 基本プロモーションから何からそんな話はめっちゃしてます。
内田 やっぱちょっとちょけたい気持ちがあるんですよ。初めはこいつらふざけてるなで終わるかも知れないけれど、堂々と続けていけばそれがスタイルになるし。新しい物作りにはそういうマインドが大切だと思っていて、日常のおふざけを本気でやっていく事で、こんなバンドになりましたという。
――ふざけたいのは主に内田さん?それとも全員?
関 ふざけたがりのバンドだという事をチームみんなが理解してくれ始めて、今スゴい状態です(笑)。
内田 俺らコミックバンドだったっけ?(笑)。
千葉 さっきの撮影が正にそう。

――Myojo(※日本を代表するアイドル雑誌)感ありましたよ!
千葉 やるならとことんやり切ろうぜと。
内田 そんな漢気はありますね。
益田 これやりたいねってなったら不思議と許されるようになってきた。
関 メジャー行ってもこの路線許されそうなのは貴重だなって。
――おふざけにもより予算掛けられるようになりますよね。
全員 最高です!(笑)
それぞれ違う方向で抜けつつ、一緒の方向を見ている
――元々友人関係だった5人が集まったバンドではないんですよね?
長谷部 俺と怜央(内田)が中高一緒で、リズム隊が大学一緒で、そこは友人関係だったんですけど、千葉さんとは出会ってからまだ一年半くらいです。
千葉 後から入ったんですけど、上手い具合に4人とはまた別のキャラだったというか。
関 最近この5人が集まったのは奇跡だなんて言って頂ける事が多いのですが、1人飛び抜けたカリスマがいてという形ではなくそれぞれ違う方向で飛び抜けていながらもちゃんと一緒の方向が見れているのでよく出会えたな!と思ってますね。
――長谷部さんのルーツは?
長谷部 ブルース出身のギタリストは好きで、好きな人の好きな人を掘っていった感じです。ジョン・フルシアンテからジミヘンを知ったりとか。
――21歳にして超ハードロックなその髪型も素晴らしいなと思ってます。
長谷部 このバンドロン毛いねえから伸ばしとくかと思ったのが理由の1つですね(笑)。
Kroi「risk」MV
――関さんはドラマ出演やモデルなどベーシスト以外の活動も伺っておりますが、やはり日常に流れている音楽から掘っていったみたいな…?
関 ずっとバスケやってたんですけど、大学4年間運動に精出すのもな…と思って1年生の秋ぐらいからベース始めて、そしたら近くに楽器屋ができてそこでバイトするようになって、友達もいなかったので毎日入り浸っていたら常連さんが色々教えてくれるようになってファンクにハマりました。
――とても大学から始めたとは思えない腕前ですよね。
関 本当に友達いなかったんで楽器屋いるか家でベース弾くかしかやる事なかったんです(笑)。
――内田さんはどういった経緯を?自分は「Fire Brain」のMVがKroiの音楽初体験だったのですが髪型が全く違ったのであれ?緑の人がいない!とさらに気になってしまったのですが(笑)。
内田 あの時坊主でしたしね。色は緑だったのですがMVはモノクロだから誰にも同一人物だって分かって貰えないですよね(笑)。子供の時に箸で茶碗を叩く癖があった事からドラム教室に入れられて、嫌だって泣いて言って一ヶ月くらいで辞めて、その後小学2年の時におじいちゃんの知り合いが近所の子供達を集めてベンチャーズをやってるって聞いて、そこにドラムとして参加したのが初めてのバンド経験です。
Kroi「Fire Brain」MV
――21歳なのに初バンドがベンチャーズのコピーっていうのも奇跡的ですね!では長谷部さんと出会った時はドラマーだったんですか?
内田 そうですね。ドラム教室で音楽に合わせて叩くよりベンチャーズのフレーズに8ビートを合わせながら何かカッコいい事やってんな!と思う事に楽しみを見出し、ひょっとして俺バンドやりたいのかも…と、そこから色々あって今に至ります。
長谷部 自分も切っ掛けは小学生の頃で、近所の公園が無法地帯で色んな大人も遊びに来てて、そこにギターがあって。自分の責任なら何やってもいいっていう所だったんです。
――公園にギターがあったんですか!?
長谷部 ギターとか、斧とか。
――滑り台、ジャングルジム、ギター、斧、みたいな?
長谷部 ジャングルジムも子供達で作った物なんですよ。遊びたいなら自分で作ろう、斧で木を削ろう、みたいな。
内田 凄すぎるだろそれ(笑)。
長谷部 そこにヤマハのギターがあって。
千葉 それは普通にあったんだ。
関 作ってないの?
内田 ハードル高すぎるだろ(笑)。
長谷部 ギター弾けるおじさんがいてコードも習って、尾崎豊が好きだったのでそのコピーから始めて、中学の時にバンドやりたいと思った時に学年に1人だけドラム叩ける怜央(内田)を誘って一緒にコピーバンドを組んでました。
内田 小学生くらいからドラムやってると上手い上手い言われて、これはもう中2くらいで俺テレビとか出ちゃってるのかなと思ってたんですよ。
関 神童現る!的な(笑)。
内田 でも気付いたら何もないまま中3になってて、ヤバい!もっとちゃんと活動しなきゃ!となって、本格的に曲作りにも取り組むようになりました。
長谷部 当時はまだ怜央(内田)が歌える事を知らなくて、一緒にカラオケ行った時にめちゃくちゃ歌上手い事に気付いて、彼をボーカルとして新たにバンドを組もうと高校くらいからメンバー探しを始め、最終的に出会ったのが関さんと益田さんでした。
関 2人が高校を卒業する前くらいでしたね。
ロココワウワウバタフライからKroiへ
――高校生の頃のバンド名とか読者の方知りたいんじゃないかなと思うんですが。
長谷部 沢山ありますね。江戸っ子ウォータースライダーズ、カプセルホテル計画、ロココワウワウバタフライ(笑)。
関 ロココワウワウバタフライがKroiの前の名前みたいな感じですね。4人が集まった時にロココワウワウバタフライとしてライブハウスのブッキングを決めてて、どうせならこの4人で出ちゃうかとその枠をKroiとして埋める形を取りました。
――千葉さんはアンディ(マネージャー)さんの同居人として出会ったんですよね?それまでは?
千葉 何をやってたかと聞かれればYouTubeとかですが、普通の大学生をやってて、高校の頃は軽音部に入ってましたがそこも部活入らなきゃいけない高校だったのでっていう感じでした。でも1人でピアノ弾いてる時から誰かと合わせたりしたら面白いんだろうなとは思ってて、やりたい音楽性だったのもあって初めてのバンド活動としてKroiに加入しました。
――身近に鍵盤がある家庭環境だったんですか?
千葉 母親が音大卒で家でピアノ教室をやってて、そこで自分も子供の頃習ってました。小5くらいで辞めて、そこからは趣味で弾くようになっていきました。
――ベンチャーズや尾崎豊が原体験と言うのはめちゃくちゃレアですね。そういった経緯がそれぞれの個性に繋がったという事なんですね。続いて先程のおふざけ感はMVだったり撮影時にも見て取れたんですが、ここまで遊びの雰囲気が色濃く出ているとは、と1番驚いたのはライブでして…。
ヘアメイク / 上野知香
想像の遥か斜め上を行く色濃い出自や知られざる以前のバンド名まで飛び出した所で前編は終了。後編ではライブに於けるKroiの流儀など、更なる爆笑エピソードが次々と飛び出します。乞うご期待!
オフショット
撮影には庄村聡泰も同行…したときの一枚。
<リリース情報>
New Digital Single「shift command」
4月30日(金) リリース
Major 1st Album『LENS』
6月リリース
<ツアー情報>
Major 1st Album『LENS』リリース記念全国ツアー『凹凸』
【日程】
7月4日(日) 北海道 PLANT
7月10日(土) 横浜 FAD
7月11日(日) 千葉 LOOK
7月16日(金) 大阪 バナナホール
7月18日(日) 名古屋 SPADEBOX
7月30日(金) 福岡 DRUM Be-1
8月1日(日) 京都 KYOTO MUSE
8月6日(金) 東京 CLUB QUATTRO
【チケット料金】
前売り 自由 3,800円(税込、ドリンク代別)
チケット情報:https://w.pia.jp/t/kroi-t/
※ご来場に関する注意事項など最新情報を公式サイトにて必ずご確認ください。
※当日は新型コロナウイルス感染拡大防止のガイドラインを遵守し、然るべき安全対策を講じた上で開催されます。
Kroi SNS
Twitter:
https://twitter.com/KroiOfficial
Instagram:
https://www.instagram.com/kroi_official
YouTube:
https://www.youtube.com/channel/UCc9CJVSnJx5WTq8E9T4bIoA

インタビュー・文:庄村聡泰
ロックバンド[Alexandros]のドラマーとして2010年より活動するも局所性ジストニア罹患を理由として2021年3月に勇退。
バンド勇退の翌日より歌劇な過激団"不楽、足る。"(読み:フラクタル)の始動並びにライフスタイル提案型ファッションブランド"SNACK NGL"への合流を発表。
上記二足の草鞋を軸に、その他スタイリングや執筆など、多岐に渡る活動を予定している。
https://www.instagram.com/shomurasatoyasu

写真:池野詩織
1991年生まれ。2012年より写真家として活動開始。NY Art Book Fair 2018にてcommune Pressより写真集『オーヴ』をリリース。
ファッション、音楽、アート、コマーシャルなどあらゆるジャンルを縦横無尽に駆け回り、自由奔放な個性に起因した熱のある作品を生み出している。
https://www.instagram.com/ikenoshiori