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早くも優勝が決まる!? 川崎F×名古屋の首位攻防2連戦がキックオフ!

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家長昭博(川崎フロンターレ) (c)J.LEAGUE

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「連勝した方が優勝するんじゃない?」

このつぶやき、あながち大げさとも言い切れない。「まだシーズンは3分の1に差し掛かるところなのに、気が早過ぎる」と切って捨てるわけにはいかない。このGWに『2021明治安田生命J1リーグ』首位攻防2連戦がキックオフを迎える。1位川崎フロンターレ×2位名古屋グランパス。『AFCチャンピオンズリーグ2021』グループステージの延期を受け、4月29日(木・祝)に豊田スタジアムで第22節、5月4日(火・祝)に等々力陸上競技場での第12節の変則日程が組まれたのだ。

王者川崎Fは10勝2分・勝点32の1位、名古屋は9勝2分1敗の勝点29・2位である。3位・サガン鳥栖は7勝2分3敗の勝点23、消化ゲームが2試合少ない4位・横浜F・マリノスが6勝3分1敗の勝点21で続く。

川崎Fがリーグトップの30得点を量産すれば、名古屋はリーグ最少の3失点という鉄壁の守備を誇る。得点ランキング3位タイの7ゴールをマークするレアンドロ・ダミアンに6得点の家長昭博、4得点の小林悠と三笘薫という昨年のメンバーとともに、新加入の遠野大弥もここ3試合で先発し、3ゴールを記録。今季の川崎Fも誰が試合に出ても、どこからでも点が取れるのだ。一方、名古屋も米本拓司&稲垣祥のボランチが危険なスペースをカバーし、CB丸山祐市&中谷進之介とともに左・吉田豊、右・成瀬峻平の両SBが中へ絞り真ん中に壁を作り、驚異的なシュートストップを連発するランゲラックが最後尾に控える。12試合中10試合でクリーンシートを達成する驚異的なディフェンスを見せ付けている。川崎Fも名古屋もそれぞれのスタイルで、前半戦だと承知の上で「連勝した方が……」とつぶやきたくなるほどのパフォーマンスを披露しているのだ。

ランゲラック(名古屋グランパス)(c)J.LEAGUE

首位を快走する川崎Fだが、前節は引き分けに終わった。4月18日、連敗中のサンフレッチェ広島をホームに迎え、前半からハーフコートゲームを展開。38分に左ウイング三笘がドリブルで前進すると、右SB山根視来がゴール前へ侵入し、パスを受けてシュートに持ち込む。GKの弾いたボールを山根自ら回収すると、ペナルティエリア付近まで走り込んできたインサイドハーフ脇坂泰斗へマイナスのパス、脇坂は右へはたき、右ウイング家長が左足を振り抜いて鮮やかな先制ゴール。55分には左SB登里享平のグラウンダーのクロスにアタッカーふたりが反応。CFレアンドロ・ダミアンは届かなかったものの、三笘が流し込み、川崎Fのゴールラッシュの始まりと思いきや、VARによってダミアンのオフサイドが確認されてノーゴールに。

逆に65分、広島のFWジュニオール・サントスが個の能力からゴールを陥れる。左サイドでサントスがボールを受けるとCBジェジエウをドリブルで振り切りゴール前へ、シュートフェイントでCB谷口彰悟とGKチョン・ソンリョンを無力化し、右足を振り抜いた。シュートはポストを叩くも左サイドハーフ森島司が詰めて同点としたのだ。

その後も小林、知念慶、長谷川竜也ら攻撃のカードを次々切り、ゴールに迫ったが、終盤には小林が足を痛めるアクシデントが発生。結局、2点目は奪えずにワンチャンスを生かした広島と勝点1を分け合った。

試合後、鬼木達監督は「5連戦目という中、前半からアグレッシブに戦ってくれた。だからこそしっかりと勝って終わりたかった。やはり1点では何かが起きてしまう。しっかり反省して、次につなげたい」としつつ、「選手がここまで負けなしできている、勝ちにこだわっている中でも簡単に負けない。そういう力がついてきている。そこのところはこのタフな連戦でも評価していい」と手応えを口にした。

川崎Fが勝点2を落とした4月18日、名古屋は勝点3を逃した。サガン鳥栖を相手にこれまで開幕戦のオウンゴールのみに抑えて来た強固な守備が破られて2点を献上、攻撃でもフィニッシュの精度を欠き終盤に1点返すのがやっと。ポイントを詰めることはできず、1-2で今季初黒星を喫した。だが続く4月22日・第11節のガンバ大阪戦ですぐさまショックを払拭、名古屋は盤石の試合運びを披露した。

G大阪が前線のパトリックとレアンドロ・ペレイラでチャンスを作るが慌てず騒がず、ゴールラインは割らせない。ハーフウェイライン付近でボールを受けた左サイドハーフ相馬勇紀は緩急をつけたドリブルで左サイドをえぐり絶妙なクロスをゴール前へ送ると、長身FW山崎凌吾が胸トラップから落ち着いて蹴り込んだ。先制点を奪えばこちらのもの、しっかり守備ブロックを敷いてG大阪の攻撃を封じる。前半終了間際にはCKの跳ね返りを稲垣が左ボレーでとらえるも、ペレイラに足を当てられて追加点には至らず。それでも55分、吉田のスルーパスで相馬が抜け出すと、中に味方の枚数が揃っていないことを確認ながら、右へ切り替えし、自らシュート。見事にコントロールされたシュートはゴール右隅をとらえて2-0。その後、G大阪にボールを持たせるもそのまま完封。

してやったりの勝利に、マッシモ・フィッカデンティ監督は「トータルで見て素晴らしい試合をした。サイドで深いところまでいけたらチャンスがある、そこをみんなで徹底して崩そうと話した。前半はとても良かった。後半はうまく試合を回しながら隙があればもう1点というプランで2-0になった。やるべき状況でやるべきプレーを我々はやった。G大阪はひとりで状況を打開できる選手がいるが、そのチームをゼロで抑えることができたのはさらに自信を深めていい。得たものが多い試合になった」と饒舌に試合を振り返った。

キレキレの動きを見せた相馬が「アタッカー陣はもう一度仕掛ける姿勢でいこうと話し合った。ああやって仕掛けたり、シュートを打ったりしないと得点は取れない。そこを練習で見つめ直そうと準備をしてきた」と鳥栖戦での教訓を明かし、決勝弾を決めた山崎は「本当に大事な2連戦が続く。フロンターレ相手でも勝点3を取れるように、しっかり練習から準備したい。全員が競争して、ピッチに立った選手がやるだけ。また練習からしっかりやりたい」と次戦への意気込みを口にした。

リーグ戦での通算対戦成績を見ると19勝6分7敗と川崎Fが相性の良さを見せるが、直近3年間のゲームでは川崎Fの3勝1分2敗と拮抗している。記憶に新しい昨季のゲームを振り返ってみたい。

『2020明治安田J1』第11節は川崎Fが10勝1分・1位、名古屋が6勝2分2敗・3位で迎えた。両軍は11日前の『2020JリーグYBCルヴァンカップ』グループステージ最終節でも激突。この時は互いに譲らず2-2、最後は攻め手を緩めて両チームともプライムステージ進出を決めた。

互いに決定機を作り、互いに守備で最後まで集中力を切らさずにピリッとした内容で迎えた前半終了間際、試合が動く。稲垣の大きなサイドチェンジを受けた左サイドハーフ・マテウスはワンテンポ溜めた後にクロスを入れると、中央で待ち構えたCF金崎夢生はヘディングシュートをズバリ。ホーム・豊田で名古屋が欲しかった先制点を獲得した。追いかける川崎Fは旗手怜央、大島僚太、小林と次々に攻撃の手を打ち、相手の倍のシュートを放つも、名古屋守備陣は粘りのディフェンスでゼロ封、川崎Fのリーグ連勝を10連勝で止めた。

第23節は川崎Fが20勝2分1敗の1位、名古屋が13勝3分6敗の4位で対峙。前回10連勝でアウェイ戦に臨んだ川崎Fは今回11連勝で名古屋をホームで迎え撃った。互いに攻め合う好ゲームを繰り広げる中、先制点は奇しくも第11節と同じ時間に生まれる。インサイドハーフ田中碧のCKを谷口が頭ですらし、三笘が押し込み先制すると、57分には中村憲剛のFKをジェジエウがヘッディングシュート、すると相手に当たってコースが変わり2点目。65分には中村のショートコーナーからジェジエウが打点の高いヘッドを決めて、勝負あり。3-0の完勝で川崎Fが11連勝を飾ったのだった。

果たしてGW頂上2連戦では川崎Fがリーグ連覇へ大きなアドバンテージを得るのか、名古屋が11年ぶりのリーグ制覇へ前進するのか、それとも星を分け合い横浜FMをまじえた三つ巴V戦線へ雪崩れ込むのか。『明治安田J1』第12・22節のチケットは予定枚数終了。試合の模様は4月29日(木・祝)・5月4日(火・祝)ともDAZNにて生配信。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

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