大半が日本初公開! モネ、ルノワール、ゴッホらのまだ見ぬ作品に出会える『イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜』展、三菱一号館美術館にて開幕
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クロード・モネ《睡蓮の池》(1907)
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すべて見る約50万点ものコレクションを所蔵するイスラエル博物館は、印象派の作品が充実していることで世界的に知られている。三菱一号館美術館で10月15日(金)に開幕した『イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜―モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン』は、同館のコレクションを通して、印象派が生まれ、発展していった流れを辿れる展覧会だ。
イスラエル博物館は、イスラエルの首都エルサレムに1965年に開館したイスラエル最大の文化施設。約2000年前に作られたという世界最古の聖書「死海文書」をはじめ、約50万点に及ぶ所蔵品を擁している。
本展はこのイスラエル博物館が所蔵する印象派とその前後の作品69点をもって、画家たちが光をどのように描いていたのか、その系譜をたどっていくものだ。
展覧会は4章構成。第1章「水の風景と反映」では、印象派に先駆けて戸外に赴き制作を行ったコローや印象派の画家たちの水や水面の描き方に着目し、光をどのように捉えていたかを探る。
クールベやブーダン、ドービニーらが描く海や川、水にはそれぞれに強い個性がにじみ出ている。そして、彼らのものの捉え方は、モネをはじめとする、後の印象派の画家たちに多大な影響をあたえることとなる。
モネは、光の移ろいを追求するため、自宅の庭に池を作り、そこで一日中写生を行っていた。
1903年から08年にかけては、同じ構図、異なる時間帯で睡蓮を数多く描き、1909年にデュラン=リュエル画廊で開催した個展「睡蓮:水の風景連作」にてそれら48点をまとめて発表した。《睡蓮の池》はこのときに発表した作品のひとつ。睡蓮が浮かぶ池には周囲の木々や空、雲が映りこみ、鑑賞者は池の外にまで思いをはせることができる。
また、別フロアにてDIC川村記念美術館と和泉市久保惣記念美術館が所蔵する2点の《睡蓮》が特別展示されている。いずれも、「睡蓮:水の風景連作」に出品していたものでイスラエル博物館の《睡蓮の池》とほぼ同構図。水面に写り込んだ空の色や空気感などを見比べてみよう。そして、11月30日(火)からは「睡蓮:水の風景連作」に出展されていた、東京富士美術館所蔵の《睡蓮》(1908年)も展示される。
第2章は「自然と人のいる風景」。交通網が整備され、郊外に行きやすい状況が生まれると、印象派の画家たちは、先人であるバルビゾン派の画家たちのように積極的に郊外に出て絵を描いた。印象派に影響を受けたゴッホやゴーガンもまた、自然のある風景を独自の視点で描いている。
第3章「都市の情景」では19世紀後半より急速に発展していったヨーロッパの都市景観について画家たちはどのように描いていたのかを辿っていく。8回開催された全ての印象派展に参加した唯一の画家、ピサロは人々が集うテュイルリー宮庭園や、工場の煙がたなびくセーヌ川の岸辺など、変わりゆく風景を描いた。
印象派にも影響を受けたドイツ人画家、レッサー・ユリィは20世紀初頭のベルリンの風景を描いている。自動車が走り、ネオンの光が夜の町を照らす風景は、当時の雰囲気を巧みに捉えている。
そして、最終章となる第4章「人物と静物」。人々の姿や日々の暮らしを描きながら、画家たちは新しい表現に取り組んでいった。
本展は69点の展示作品のうち、なんと59点が初来日。これまで知らなかった作品に多数出会える、刺激にも富んだ展覧会だ。
取材・文:浦島茂世
【開催情報】
『イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜―モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン』
10月15日(金) ~ 2022年1月16日(日)、三菱一号館美術館にて開催
https://mimt.jp/israel/
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