C大阪が勢いそのままに優勝か? 名古屋のリベンジか? 天皇杯8強戦を経てルヴァンカップ決勝へ!
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清武弘嗣(セレッソ大阪) (C)J.LEAGUE
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すべて見る名古屋グランパスの初優勝か、セレッソ大阪の4年ぶり2度目の戴冠か。『2021 JリーグYBCルヴァンカップ』決勝がいよいよキックオフを迎える。ご存じのように、両軍は決戦3日前に激突。10月27日・豊田スタジアムでの『天皇杯 JFA 第101回全日本サッカー選手権大会』準々決勝では明暗がくっきり分かれた。
『明治安田生命J1リーグ戦』の成績を見ると17勝7分9敗・勝点58で4位の名古屋に対して、C大阪は11勝9分13敗・勝点42の13位。しかし、10月の公式戦の戦績では名古屋は直近3試合勝利なしの1勝1分3敗、C大阪は2連勝中の2勝1分1敗と立場は逆転。試合は現状の勢いをそのまま表すスコアとなったのだ。
CBキム・ミンテ(名古屋)、MF乾貴士(C大阪)が登録の関係で出場できない中、名古屋は10月24日の『明治安田J1』第33節から5人をチェンジし、C大阪はGKキム・ジンヒョン、ボランチ喜田陽以外の9人を入れ替える大胆な布陣で臨んだ。5分、C大阪がカウンターからチャンスを作る。FW山田寛人がシュートを放ち相手に当たると、こぼれ球にMF為田大貴が反応。対する名古屋は9分、ボランチ稲垣祥の強烈ミドルをGKジンヒョンがはじくと、こぼれ球にFWシュヴィルツォクが詰めるもCB鳥海晃司が懸命のブロックで阻止。『天皇杯』4強を決める戦いにふさわしい一進一退の攻防を繰り広げる。
ボールを握る名古屋とカウンターから好機を作るC大阪の構図の中、先制点が試合の流れを決定付ける。31分、喜田のミドル、山田のボレーと立て続けにGKランゲラックが好セーブ。だが、そこで得た1本目のCKをC大阪がモノにする。10番・清武弘嗣が放った左からのCKをDF、GKともに触れることができずにゴール前で待ち構えていた鳥海が頭で押し込んだ。
先制を許した1分後、名古屋も柿谷曜一朗からシュヴィルツォクへつなぎ好機を作るも同点とはならず。すると39分、今度は清武がキックした右CKをCBチアゴがヘディングでズバリ。チアゴはCB木本恭生、柿谷と競ったが高さと強さを見せ付けたのだった。
前半の内にまさかの0-2となったマッシモ・フィッカデンティ監督は後半開始からサイドアタッカー相馬勇紀をピッチへ送り出し、52分にはFW金崎夢生、10番ガブリエル・シャビエル、CB藤井陽也の3枚替え。58分に相手の意表を突くFKのサインプレーをGKが大きくはじくと左SB吉田豊がダイレクトボレー一閃。それでもジンヒョンの壁は崩せなかった。逆に62分、C大阪が左サイドのパス交換からペナルティエリア左手前の豊川雄太へ、パスを受けた途中出場したFW豊川はゴール中央に控えるアダム・タガートへさらにボールを送る。そこでオーストラリア代表FWは冷静にコントロールされたシュートでゴールネットを揺らす。これで勝負あり。C大阪はしてやったりの内容で『天皇杯』4強入りを決めたのだ。
殊勲の先制弾を叩き込んだ鳥海は「セットプレーで2点取れたのがデカかった。前で強いチアゴが潰れてくれたので、ボールが来ちゃって、自分は押し込んだだけ。進藤(亮佑)もチアゴもセットプレーに強い選手が多いので、ファイナルが控える中、3-0で勝てたのは大きい。(3日後のファイナルは)誰が出てもいいサッカーができると思う。いいサッカーをして絶対に勝って終わりたい」と胸を張った。
試合後、小菊昭雄監督は「直近のリーグ戦から中2日、次の『ルヴァンカップ』のファイナルへ向けて中2日。この日のメンバーを正直非常に悩んだ。この連戦を総力戦で乗り切りたいと思い、これまで試合に出ない中でも準備してくれた選手たちの試合に出たい、勝ちたいという気持ちを信じて送り出した。久しぶりの公式戦の選手たちも普段練習したことを100%発揮してくれた。内容の伴った勝利を掴むことができて誇りに思う」と選手たちを称えた。
さらに「2日後のファイナルはまた違ったプレッシャーの中、違った難しさがある。大阪に残っている選手もいい準備してくれているというコーチから報告もらっているので、全員のコンディションをもう一度チェックし、チーム一丸となって、埼玉スタジアムへ乗り込んで3つ目の星を刻みたい」と次を睨んだ。
中盤の底で強度の高い守備でにらみを効かせた奥埜博亮も「特別セットプレーでというのはないが、押し込んでいるからこそセットプレーの数も増えてくるし、ヘディングがストロングな選手もいるので、そういう意味でうまくいったのかなと思う。(守備は)前から行く時もあるし、今日のように守備ブロックを作ることもある。相手によってやっていくことが大事。元からいた選手も新しく入った選手も日頃の練習からやるべきことをやらないと試合に出られないので、その結果が今日の試合に現れたのだと思う」と勝因を口にした。
一方、よもやの完敗を喫したフィッカデンディ監督は「難しいゲームになった。どういう失点をしたか同じような2失点をした。セレッソ対策をしてきた中で相手の得意な形で得点を許してしまったのが残念。0-2から吉田がチャンスを作ったが、3点目のダメージが大きかった。残念だが、終わってしまったこと。3日後には次の大会があるので、違った結果が得られるようしっかり準備して臨みたい」とコメント。
前半は左サイドハーフ、後半は右SBにボランチとポジションを変えながら奮闘した森下龍矢はプロとしての責任感を口にした。「ここ数試合大事なゲームをセットプレーで落としているので責任感を持ちたい。責任という言葉だけに逃げずに明日の練習、明後日の練習、大事なファイナルがあるのでプロとしてプレーで示していきたい」と胸中を明かし、さらに「相手云々ではなく、この1年名古屋グランパスで積み上げたものに本当に自信がある。このチームでやれたことを誇りというか、やってこられてよかったと思っている。悔しいという言葉に逃げずに、プロとしてチームメイト、ファミリーを喜ばせるプレーをしたい」とリベンジを誓った。
公式戦12試合にわたって代名詞とも言えるウノゼロ(1-0)を連発してきた名古屋だが、最後のウノゼロは9月26日『明治安田J1』第30節・大分トリニータ戦。すでに1か月遠ざかっている。しかも公式戦6試合連続で失点中、3試合連続で複数失点を喫している。
10月17日『AFCチャンピオンズリーグ』準々決勝・浦項スティーラース戦。前半は名古屋が一方的に攻め込むも0-0、後半に入ると一転、セットプレーの流れから2失点を喫するなど、ショッキングな0-3で夢破れた。『ACL』出場権を左右する大事な10月24日『明治安田J1』第33節・ヴィッセル神戸戦も前半は出色な出来で早々に2-0にするが、58分にCKから1点返されると、81分にはPKを献上。3位・神戸との勝点を詰められなかった。
もちろん、名古屋はギブアップなんてしない。フィッカデンティ監督は「途中から木本(恭生)のポジションを前や後ろにズラしたり、森下にも中のポジションでやってもらった。うまくハマらないところもあったが、それを言っていても仕方ない。試合に向けてどうすれば勝てるのか考えていきたい」と勝機を探る。
片や、C大阪は第33節でも2位・横浜F・マリノスを2-1で撃破。6分に喜田とのワンツーで抜け出した乾が先制ゴールを決めれば、21分にはGKからボランチ・藤田直之、FW松田力とつないだ速攻をFW加藤陸次樹が合わせた。前半の内に1点返されて、後半は攻め込まれるも、ゴールラインだけは割らせず、小菊監督にホーム初勝利をもたらしたのだった。2トップの顔触れは? 中盤の組み合わせは? CBの人選は? 小菊監督のうれしい悲鳴が聞こえてきそうだ。
両軍のリーグ戦での通算対戦成績を振り返ってみると、名古屋が25勝3分13敗と相性の良さを誇る。5月の第13節では得意のウノゼロ、昨季も第4節2-0、第21節1-0と3試合連続無失点である。直近10試合でも6勝2分2敗と圧倒している。
果たして、C大阪が『天皇杯』の勢いそのままに頂点に駆け上がっていくのか、名古屋が『天皇杯』の借りを『ルヴァンカップ』で返すのか。『2021 JリーグYBCルヴァンカップ』名古屋グランパス×セレッソ大阪は10月30日(土)・埼玉スタジアム2002にてキックオフ。チケットは予定枚数終了。試合の模様はフジテレビ系列にて生中継。
取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)
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