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ホグワーツに体験入学? 魔法魔術学校の科目に沿って魔法の歴史を辿る『ハリー・ポッターと魔法の歴史』東京ステーションギャラリーにて開催中

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1997年に第1作、『ハリー・ポッターと賢者の石』が発売されて以来、20年以上にわたって世界中で愛読され続けている「ハリー・ポッター」シリーズ。冒険とファンタジーに満ちたその作品世界の底流にある魔法にまつわる伝承の歴史を、大英図書館が所蔵する貴重な書籍や資料などから紹介する展覧会『ハリー・ポッターと魔法の歴史』が東京ステーションギャラリーにて、3月27日(日)まで開催されている。

第5章「呪文学」展示風景。ジム・ケイ《クィディッチをするハリー・ポッターとドラコ・マルフォイの習作》ブルームズベリー社蔵 「オルガ・ハントの箒」魔術・魔法博物館蔵

イギリスの作家、J.K.ローリングによって、これまでに全7巻が刊行された「ハリー・ポッター」シリーズ。第1作の初版部数はわずか500部だったというが、現在までの累計発売部数はおよそ5億部以上。85以上の言語に翻訳され、映画化された8本の作品も世界的な大ヒットを記録していることは言うまでもない。

第1章「旅」展示風景。(左)ジム・ケイ《アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア教授の肖像》(右)ジム・ケイ《ミネルバ・マクゴナガル教授の肖像》 ブルームズベリー社蔵

同展は、物語の主人公、ハリーが通うホグワーツ魔法魔術学校の科目に沿って、「旅」「魔法薬学」「錬金術」「薬草学」「呪文学」「天文学」「占い学」「闇の魔術に対する防衛術」「魔法生物飼育学」「過去、現在、未来」の全10章で構成。大英図書館の所蔵品に加え、J.K.ローリングの直筆原稿やスケッチ、イラスト版「ハリー・ポッター」を手掛けたジム・ケイの作品などから、原作の世界とリンクさせつつ「魔法の歴史」を紐解いていく。

例えば第3章「錬金術」では、16世紀につくられた錬金術についての論文集『リプリー・スクロール(リプリーの巻物)』を展示。ヨークシャーの修道士で熟練した錬金術師と伝えられているリプリーの教義に基づくこの巻物には、錬金術の手順を表す生き物やモチーフで豪華に装飾されている。錬金術とは「賢者の石」を創造することに関わる古代の学問で、ハリーと仲間たちの最初の冒険では、ヴォルデモートの手から「賢者の石」を守ることが使命だった。

(中央)ジェームズ・スタンディッシュ『リプリー・スクロール』イングランド 16世紀 大英図書館蔵

また、第7章「占い学」では、水晶占いや手相、茶葉占いなど、ハリーたちも学んださまざまな占いに関する書物や絵画、道具などが展示されている。

(左)予言や空中に浮く能力を持っていたとされる「ヨークシャーの女預言者」マザー・シンプトンについて書かれた書物『奇跡!!!過去、現在、未来 著名なマザー・シンプトンによる不思議な予言と非凡な予測』ロンドン 1797年 大英図書館蔵 (右)「水晶玉と台」19-20世紀 魔術・魔法博物館蔵


(左)「手相模型」魔術・魔法博物館蔵 (右)「占いに関する写本」イングランド 14世紀 大英図書館蔵


ホグワーツでハリー・ポッターに占い学を教えた教授。ジム・ケイ《シビル・トレローニー教授の肖像》 ブルームズベリー社蔵

第8章「闇の魔術に対する防衛術」では、邪悪な力に対する盾として魔術を用いるという世界各地の文化で見られるさまざまな方法を紹介。魔法や魔女をテーマにした作品を多く描いたラファエル前派の画家ウォーターハウスの《魔法円》は、青いドレスをまとった魔女が、自分の身を守るために杖で円を描き、儀式を行う様子を描いたもの。ほか、古くから魔法の生き物だと考えられてきたヘビに関する書物や、エチオピアの魔術書、日本の水魔である河童に関する資料なども展示されている。

(左)ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《魔法円》1886年 テート蔵 (右)『ハリー・ポッターと秘密の部屋』でハリーが巨大怪物ハジリスクと対峙する場面。ジム・ケイ《ハリー・ポッターとハジリスクの習作》 ブルームズベリー社蔵


(奥)命を救う薬としてヘビに関心を持っていたオランダ人の薬剤師であり収集家のセバは自身のコレクションを精密に描かせた。アルベルトゥス・セバ『自然物の最も豊かな宝庫の正確な記述』アムステルダム 1734~65年 大英図書館蔵 (手前)「ヘビ形の魔法の杖」20世紀 魔術・魔法博物館蔵


ハリーに「魔術に対する防衛術」を教えたルーピン教授。ジム・ケイ《リーマス・ルーピン教授の肖像》ブルームズベリー社蔵

続く第9章「魔法生物飼育学」ではドラゴンやユニコーン、フェニックス、人魚など想像上の生き物や、強力な使い魔であり魔法の歴史上重要な生物であるフクロウ、ネコ、カエルに関する資料なども展示。展示の最後、第10章では「過去、現在、未来」と題し、世界各地で翻訳されている原作本や、大人になったハリーの活躍を描いた舞台劇『ハリー・ポッターと呪いの子』の舞台衣装などから、ますます広がりを見せる「ハリー・ポッター」の世界を紹介。舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、22年7月8日より赤坂ACTシアターで上演されることが決定している。

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《人魚》1900年 ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ蔵


ジム・ケイ《『ハリー・ポッターと不死鳥の部屋』の不死鳥の習作》ブルームズベリー社蔵


「ソニア・フリードマン、コリン・カレンダー、ハリー・ポッター劇団による『ハリー・ポッターと呪いの子』ロンドン劇団のオリジナル衣装」『ハリー・ポッターと呪いの子』ウエストエンド・プロダクション


「ハリー・ポッター」の世界を軸に、世界に伝わる「魔法」の歴史を辿ることができる展覧会。原作ファン、映画ファンはもちろん、「ハリー・ポッター」に触れたことがない人でも、魔法の世界に引き込まれてしまうはずだ。


【開催情報】
『ハリー・ポッターと魔法の歴史』
2021年12月18日(土)〜2022年3月27日(日)、東京ステーションギャラリーにて開催
※12/29~1/1は休館
※日時指定予約制

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