
モッズスーツを着た元特殊部隊のエリート!
英国から新たなヒーローが登場!
『PENNYWORTH/ペニーワース<シーズン1>』特集
1960年代の英国ロンドンを舞台に、抜群の戦闘能力と知的でチャーミングな魅力を持った新たなヒーローが活躍するドラマシリーズが日本初上陸!「まるでジェームズ・ボンドのようだ」とまで評されるその主人公の名は、アルフレッド・ペニーワース。右派と左派が対立し内乱一歩手前という緊張状態の中、モッズスーツを着込んだペニーワースが国家転覆の陰謀に立ち向かう!
本特集では、本作の魅力をひも解くとともに、いち早くご鑑賞いただいたイギリス出身のブロードキャスター、ピーター・バラカンさんに本作の感想を語っていただきました!
『PENNYWORTH/ペニーワース』の
魅力をひも解く!
ピーター・バラカンが語る
『ペニーワース』の魅力
新たに登場した英国ヒーロー、
ペニーワースってナニモノ!?


主人公アルフレッド・ベニーワースは英国陸軍特殊空挺部隊、通称“SAS”の元隊員。10年の軍役を経て除隊し、セキュリティ会社を立ち上げ、戦友たちとともにナイトクラブの警備などの仕事に当たっている。戦争のトラウマがフラッシュバックし、しばし悪夢に苛まれるが、それはこの先に訪れる怪事件の前兆!? 労働者階級の出だが、発言や振る舞いが紳士的であるのは、執事である父の影響。しかし家では父と不仲で、心優しい母がしばしば両者の間を取り持つ。
セキュリティの仕事に当たる際は沈着冷静。状況をよく見て的確な判断を下すばかりか、銃の扱いや格闘術にも優れており、とても頼りになる存在。クラブのダンサー、エズメと恋に落ちるが、このロマンスは運命に翻弄されていく。
ちなみに、DCコミックスでのペニーワースは後に父と同様に執事の仕事に就き、米国でバットマンことブルース・ウェインの片腕となるのは、ご存知のとおり。本作では、祖国イギリスでの知られざる彼の若き日が描かれている。
1960年代英国を背景にした
『ペニーワース』の設定と物語

1960年代のロンドンは、権威主義的な前世代に反抗する若者たちによって華やかな文化が築かれた、いわゆる“スウィンギン・ロンドン”の時代。映画『レイトナイト・イン・ソーホー』の題材となったのも記憶に新しい。
しかし、本作で描かれるロンドンはスウィンギンと言うよりは、むしろ暗黒時代のよう。一見治安が保たれ、平和に見えるロンドンの社会も、裏では政治的な陰謀がうごめいているのだ。右翼の“鴉の結社”と、左翼“名無しの同盟”という不穏分子が対立しながら、それぞれに政権転覆を目論み、それが“暗黒”の世界観へとつながっていく。主人公ペニーワースは、そんな陰謀から国家を救ったことにより、否応なしに闇の中へと引きずりこまれ、機転を効かせながら立ち回らなければならなくなるのだ。
次々に現われるミステリアスな人物は、敵か味方か!? 愛と欲望、使命感と野心、狂信と暴力が渦を巻くスリリングな展開から目が離せない!
『ペニーワース』の全編を彩る
ブリティッシュロックの数々!

毎回のように流れるブリティッシュロックの名曲。第1話のオープニングでは、ローリング・ストーンズの『黒くぬれ!』がフィーチャーされ、不穏な空気を盛り立てる。1960年代のモッズシーンを代表するスモール・フェイセスのナンバーは頻繁に登場。ダスティ・スプリングフィールドやゼム、アートウッズといった、当時の人気アーティストの曲も流れる。
使用される楽曲は、60年代のものばかりではない。クラブの場面ではブラック・サバス、スレイド、ギャング・オブ・フォー、ピッグバッグなど、70~80年代のUKロックもフィーチャー。ポップはもちろん、グラムロックやパンク、ニューウェーブなど多彩なUKロックがズラリ。タイムレスにしてエネルギッシュな雰囲気は、これらによって醸し出されているのだ!
Character
REVIEW
心に潜む“獣”が暴れることにより
スリリングになっていく物語
DCコミックスのファンにとって、アルフレッド・ペニーワースの若き日が描かれるのは嬉しいところ。彼は劇中で“アルフィー”と呼ばれているが、アルフィーと言えば、『ダークナイト』3部作でアルフレッドを演じた名優マイケル・ケインの若き日の主演作のタイトルでもあり、そういう点でもニヤリとさせられる。
しかし、『ペニーワース』が面白いのは、何よりテーマの深み。どのキャラクターも心に“獣”が潜んでおり、それが暴れることにより、物語がスリリングになっていく。最初は沈着冷静だったアルフレッドも、物語が進むほど自身の中の獣が目覚めていき、最初は紳士的だった姿を思い返すと、とてつもなくワイルドになる場面も。
そんなドラマに呼応するかのように、本作の暴力や性の描写は驚くほど赤裸々。イギリスでは1960年代まで行なわれていた絞首刑時の直接的な描写などは、普段は隠されている人間の暗部を象徴しているかのようだ。
そんなことを考えつつ本作を観ると、どんどん闇の中に引き込まれていく。その先に、光はあるのか!?ともかく、続きが楽しみになるのは間違いない。
『PENNYWORTH/ペニーワース』の
魅力をひも解く!
ピーター・バラカンが語る
『ペニーワース』の魅力

『PENNYWORTH/ペニーワース <シーズン1>』
DVDレンタル中
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
PENNYWORTH and all related characters and elements TM and © DC and Warner Bros. Entertainment Inc. Pennyworth © 2022 Warner Bros. Entertainment Inc.
Text:相馬学