『ダミアン・ハースト 桜』国立新美術館にて開幕 巨大キャンバスに描かれた満開の桜でひと足早いお花見を
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すべて見る90年代に衝撃的に登場し、その後、出身国のイギリスのみならず世界の現代美術シーンを牽引し続けているアーティスト、ダミアン・ハーストの日本初となる大規模個展『ダミアン・ハースト 桜』が、国立新美術館で開幕した。5月23日(月)まで開催されている。
ダミアン・ハーストは1965年生まれ。イギリスのリーズで育ち、ロンドンで美術を本格的に学んだ彼は、1990年代に「自然史」シリーズと呼ばれるサメや牛、羊などをホルマリン漬けにした作品群で世界的に注目を集め、現代美術のトップアーティストとしての地位を不動のものとした。その後、絵画や彫刻などのジャンルを超え、宗教や科学、生と死などをテーマにした作品を精力的に発表。常に注目を集め続けている。

同展はダミアン・ハーストの日本初となる大規模個展。テーマは日本人にもなじみ深い「桜」だ。
2018年、ハーストは「桜」をテーマに新しいシリーズの制作を開始。3年の間に107点を完成させた。これらの作品のうち29点がフランス・パリのカルティエ現代美術財団で初公開され、さらに厳選された24点の作品が現在、国立新美術館にて展示されている。作品のセレクトはハースト自身が行った。


桜をテーマに選んだ理由について、ダミアン・ハーストは会場内で上映されているドキュメンタリー映像のなかで、幼少期に母親が桜の絵を描いていたという記憶や、抽象と具象の間を行き来する絵画への挑戦などに言及。ゴッホやボナールなど、カルティエ現代美術財団のあるフランス出身のアーティストの影響なども示唆している。

ハーストの作品は助手らとともに作り上げる大掛かりなものが多いが、このシリーズの作品の多くは、一人でスタジオに籠り描いていたという。近づいてみると、はねた絵の具や、筆の跡などアーティストの痕跡を見てとることができる。


全24点のなかで、最大サイズの作品は《この桜より大きな愛はない》。縦5メートル、横7メートルを超えるもので、日本人の持つ桜のイメージと離れたダイナミックな構図が印象的だ。

桜のシーズンはもうすぐ。ダミアン・ハーストの描いた桜に囲まれた「お花見」をひと足早く美術館で楽しんでみよう。
構成・文:浦島茂世
【開催情報】
『ダミアン・ハースト 桜』
3月2日(水)~5月23日(月)、国立新美術館にて開催
https://www.nact.jp/
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