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【おとな向け映画ガイド】

華麗で怪しいギレルモ・デル・トロの『ナイトメア・アリー』

ぴあ編集部 坂口英明
22/3/13(日)

イラストレーション:高松啓二

今週末(3/18〜19)の映画公開は17本。うち全国100館以上で拡大公開される作品が『SING/シング:ネクストステージ』『KAPPEI カッペイ』『映画おしりたんてい シリアーティ』『ガンパウダー・ミルクシェイク』の4本。中規模公開、ミニシアター系が13本です。今回は、次週3/25公開のサスペンス・ミステリー『ナイトメア・アリー』を紹介します。

『ナイトメア・アリー』

アリー、というのは女性の名前ではありません。“横丁”とか“小路”のこと。“アレイ”と書くこともあります。このタイトル、訳すと「悪夢の小路」。

半魚人と中年女性の恋というやや怪奇的な設定を感動的なラブストーリーに作りあげ、米アカデミー賞作品賞を獲得したギレルモ・デル・トロ監督、彼の期待の新作です。1946年に出版されたウィリアム・リンゼイ・グレシャムの小説『ナイトメア・アリー』を映画化した作品。カーニバルの見世物小屋のおどろおどろしい世界からサスペンススリラーは始まります。

1930年代末頃のアメリカ。人間? 獣? 正体不明のいきもの「獣人(ギーク)」ショー、全身に電気を通す美女、怪力男、客のこころを読む読心術……。見世物小屋はまだ、客もイノセントだった時代の一大エンタテインメントです。

主人公は流れ者のスタン。田舎町を巡業するカーニバルに雇われ、この世界に入っていきます。器用で賢いスタンは水を得た魚のように、見世物小屋の人気者となっていきます。そして2年後。野心に燃える彼は読心術を一流ホテルにかかるショーにまで高め、成功するのですが……。

見世物小屋の人間模様、内側を描く前半はショービジネス成功物語風。後半は、成功したスタンが、心理学者のリリスと出会い、ある事件に関わっていく、オカルトめいたところもあるサスペンス仕立てです。

スタン役は『アリー/スター誕生』などでおなじみの渋い二枚目ブラッドリー・クーパー。アカデミー賞に4回ノミネートされた実力のある俳優です。リリス役は『ブルージャスミン』と『アビエイター』で二度のオスカー受賞に輝くケイト・ブランシェット。ファムファタール(悪女)のケイトが登場すると、一挙におとな向きの映画になってきます。

『フランケンシュタイン』や『フリークス』を敬愛するというデル・トロ監督にとって、これは念願の作品。デビュー作『クロノス』で起用し、その後親友となったロン・パールマン(今回は怪力男ブルーノ役で出演)から原作を紹介され、その世界に魅了されたといいます。

実はこの小説、47年にエドマンド・グールディング監督、タイロン・パワー主演により『悪魔の往く町』というタイトルで映画化されているのですが、それと決定的にちがうのはスケール。

トロントの郊外に実際の大がかりなカーニバルとテントを建設して、撮影。後半のホテルのシーンでも、1940年代のアールデコ様式の建築物に凝った豪奢な内装を施しています。当時のファッションを再現した衣装は、242種あまりがデザインされたそうです。

アメリカのアカデミー賞(現地時間3月28日発表)で作品賞のほかに、撮影賞、セットデザイン美術賞、衣装デザイン賞の4部門にノミネートされているほど、それぞれの凝った職人技も見どころです。

【ぴあ水先案内から】

笠井信輔さん(フリーアナウンサー)
「……在りし日のヨーロッパで撮影したかのような懐かしい風景の中で、独特の世界観を作り上げることに成功……」

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渡辺祥子さん(映画評論家)
「……人が落ちていく暗く忌まわしい世界。タイトルの通り「悪夢の小路」へ迷い込んだスタンには逃れられない不気味な衝撃が待っている。」

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堀晃和さん(ライター、編集者)
「……妖しい暗さを基調にした繊細な映像にも強く惹かれた。雨天や夜などの微かな光の美しさが際立っている……」

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