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ミュージカル『犬との約束』横山だいすけインタビュー「周りとの絆を再確認できる作品」

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インタビュー

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ミュージカル『犬との約束』出演の横山だいすけ 撮影:石阪大輔

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青年と飼い犬のあたたかい友情が描かれるミュージカル『犬との約束』。織山尚大(少年忍者 / ジャニーズJr.)が主演を務める本作で、織山扮する犬の飼い主ダニエルを支える弁護士ジョージを演じるのが横山だいすけだ。ビジュアル撮影日に行われたインタビューを目前に控え、スタジオに現れたゴールデンレトリバーを優しく撫でる横山に稽古前の想いを尋ねた。

歌のお兄さん時代、犬から教わったことを教訓に

──ゴールデンレトリバーをすごくかわいがっていらっしゃいましたね! 犬を飼ったご経験は?

叔母が飼っていて、小学生の頃は毎週のように家に通って一緒の時間を過ごしていました。思春期になってからも月1でお泊まりしては戯れて。家の周りに広がる田んぼ道をかけっこしたのが、よい思い出です。全力で走ったら人間より圧倒的に速いのに、リードを持つ僕に合わせてスピードを加減してくれるんですよね。

──犬ってとても賢い生き物ですよね。気持ちが通じていると思えるような瞬間があって。

本当に。彼らにも心があって、言葉がなくても気持ちで繋がれる。とても癒されましたし「絆を深めることができる存在なんだ」と幼いながら感じていたような気がします。

──一緒に過ごした時間を振り返って、犬からどんなギフトを受け取りましたか?

動物や人間に限らず、初めて対面する時の心がまえみたいなものを教わりました。動物って言葉を話さないからこそ、こちらが感じている不安を受け取ってしまうようなところがある気がして。初めて叔母の犬に接した時、好奇心いっぱいで関わりたいのに「どこに触れたらいいのかわからない」と迷っていたら僕の動揺が犬に伝わったのか、噛まれてしまって。

──先ほど横山さんに気を許していたゴールデンレトリバーの様子を見ていると、そんな過去があったことは想像できませんね。そのあと、どうやって仲良くなったんですか?

とにかく「君は僕の友だちだよ」という気持ちで接しました。コミュニケーションを図るうえでの第一歩なんじゃないかな、と。これ、NHK Eテレ『おかあさんといっしょ』で“歌のお兄さん”を務めて、子どもたちと関わる時にも実感しました。お母さんから離れて「初めまして」のお兄さん・お姉さんと一緒に遊ぶのは彼らにとって不安なはず。そんな時に僕たちも緊張していたら子どもに伝わってしまいます。だからこそ「来てくれてありがとう」「会えて嬉しいよ」「一緒に楽しもうね!」という気持ちをベースに、あたたかい雰囲気の中で優しく接するように心がけていました。相手が動物でも、子どもでも大人でも、初めて向き合う時に大切にすべき感覚は似ているのかなって。それが幼い頃、叔母の犬から与えてもらったギフトかもしれません。

織山くんの中から湧き出る音楽を尊重したい

──主演の織山尚大さんとは「初めまして」ですよね。

先ほどビジュアル撮影で初めてお話しして、「みんなでがんばっていきましょう!」と気持ちを新たにしました。爽やかな好青年で、早く仲良くなりたいです。稽古が待ち遠しい!

──織山さんは『犬との約束』に出演するにあたってのコメントで「自分が課題としてきた歌唱力を、どんな風に板の上で表現できるか凄く楽しみです」とおっしゃっています。役柄的にもキャリア的にも、横山ジョージはベテランとして織山ダニエルをリードしていくことになりそうですが、織山さんに対してどのように稽古場で働きかけていきたいと考えていらっしゃいますか?

まず楽しんでもらいたいですね! 課題に感じていらっしゃる歌唱力について「これをやってみたら」と具体的にアドバイスすることも大切かもしれませんが、僕は織山くんの中から湧き出る音楽をいちばんに尊重したい。きっと彼にしかできない表現になるはずですし。

──織山さんだけのオリジナリティを発揮するために、何が必要なんでしょうね?

愛犬を奪われた飼い主ダニエルの心情、作品に込められたメッセージに心を寄せるほど見えてくるんじゃないでしょうか。僕の演じる弁護士のジョージは、家族と呼べる存在を亡くしたダニエルの悲しみに突き動かされるようにしてサポートにまわる役回り。お芝居でがっつり気持ちを通わせるパートが多い僕だからこそ、ダニエルの心情がクリアに見えるようお手伝いできたら、と思っています。

──歌唱力を上げる技術やテクニックより、役や作品理解を。

ミュージカルは心に秘めた内面のエネルギーがメロディや歌詞に乗って、客席に届けられるもの。ぜひその楽しさを味わってもらいたいです。ダニエルと愛犬の友情を目の当たりにして、僕の演じるジョージも弁護士として、人間として成長していきます。その姿を、説得力をもってお客さまにお見せできたら。

──横山さん扮するジョージは、弁護士事務所の採算度外視で理想に突き進む一面がありますね。

そうなんですよ! 彼の持つ「困っている人を助けたい」という心のあたたかさが、裁判では“弱さ”に反映されてしまう。負け続きでなかなか成果を上げられずにいる、頼りないキャラクターですね。青木さやかさん演じる助手のスーザンに「給料を払って欲しい」「家賃すら払えない」と何度もツッコまれて(苦笑)

──見返りを求めず苦しんでいる人を救おうと邁進するジョージは、忠誠心の強い“犬”みたいな存在ですね。

理想に対する忠誠心がある、まっすぐな人物ですよね。あたたかい心で人に接する。ダニエルが愛犬を奪われた事件は、1869年にアメリカで起こった「オールドドラム裁判」がもとになっているんですが、ジョージのポジションにいる実在の弁護士が最終弁論で語った「犬への賛辞」という演説が劇中にも登場します。

常連の岸本功喜作品に「あったかくならんわけがない!」

──胸を打つ「犬への賛辞」は本作ラストに登場します。最初はセリフで始まり、次第にミュージカルナンバーに発展して。横山ジョージの見どころな予感ですね!

脚本・演出の岸本功喜さんからジョージの役どころをご説明いただいた時にも「作品のキーパーソンだから」と念押しされました(笑)。『世界迷作劇場』シリーズや『おばけのアッチ リーディングミュージカル』など、横山だいすけの出演作に数多く関わっている岸本さんが大切にしているメッセージを、ジョージの成長を通じて皆さんにお伝えしたいです。

──岸本さんの作品から、これまでどんな魅力を受け取ってきましたか?

岸本さんの書かれる脚本って、とにかくハートフルであたたかい。「周りにいる人たちのおかげで、ここに居続けることができるんだな」と、人と関わって生きる喜びをいつも感じさせてくれます。爽快感があって前向きになれるし、明日へのエネルギーにできる作品ばかりなんですよ。

──今回の『犬との約束』はどんな作品になりそうですか?

ダニエルと愛犬が育んだ友情を、周りがサポートしていく。その過程を、作曲を手がける音楽監督の小島良太さんによるミュージカルナンバーが彩る。これはもう「あったかくならんわけがない!」と思います。ペットを愛する方も飼っていらっしゃらない方も、この作品を通じて周りとの“絆”を感じていただけるんじゃないかな。

──ソーシャルディスタンスに代表されるように、コロナ禍では物理的な距離だけでなく「心の距離」も遠ざかっているように感じます。そんな時代に『犬との約束』を上演することの意義を、横山さんはどのように受け止めていらっしゃいますか?

新型コロナウイルス感染症は2年近く人々をひき剥がしていますよね。でもどれだけソーシャルディスタンスを保ったとしても、心の距離だけは離れてはいけない。幸せって人それぞれ理想とする形は違うけれど、周りの人たちと気持ちを通わせて繋がり合える喜びみたいなものは、どんな人の中にも共通してあると思うんです。だから生きていける。

──「外出しないで」「おしゃべりは控えて」と禁止されたら、これまで当たり前だった日常生活やコミュニケーションが尊いものになりました。

活力になっていたことに気づくんですよね。でも一方では余裕がなく大変な非常事態ほど、本質に気づけないこともあります。そんな時に、心の交流を描いた『犬との約束』をご覧いただけたら。1869年のアメリカに実在したエピソードが、お客さまの心にあたたかい火を灯す“たいまつ”になってくれるような気がします。

取材・文:岡山朋代
撮影:石阪大輔



ミュージカル『犬との約束』
■日程・会場
・東京公演
4月15日(金)~24日(日) よみうり大手町ホール

・大阪公演
4月29日(金・祝)〜5月4日(水・祝) 松下IMPホール

■出演
織山尚大(少年忍者/ジャニーズ Jr.)
横山だいすけ、三倉佳奈、青木さやか、玉置成実
園岡新太郎、神田恭兵
桑原麻希、深堀景介、毬乃ゆい、森山晶之、吉田萌美
岡幸二郎

■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2201203

ミュージカル『犬との約束』

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