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【独占レポート】銀杏BOYZツアーファイナル札幌公演「どんな環境にいる人でも、この時間だけは全てを忘れて音楽を楽しんで欲しい」

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銀杏BOYZ アコースティック・ライブツアー2022『僕たちは世界に帰ることができない☆』3月31日(木) Zepp Sapporo Photo:村井香

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2022年3月、銀杏BOYZが久々にワンマンツアーを行った。「銀杏BOYZ アコースティック・ライブツアー2022『僕たちは世界に帰ることができない☆』」と銘打ったもので、仙台、東京、大阪、福岡、名古屋、札幌の計6公演を敢行した。

これだけを聞けば、取り立てて珍しいツアーではないように感じられるが、銀杏BOYZの有観客ライブとしては2年3カ月ぶりであり、2020年10月にリリースしたアルバム『ねえみんな大好きだよ』以降のワンマンツアーとしても初めてのものである。また、新型コロナウイルス感染拡大防止のためにフロアには椅子を並べ全席指定での開催であり、さらにツアータイトルの通り楽曲は「アコースティック・アレンジ」によって演奏されたものでもあった。

銀杏BOYZの活動、激しいライブステージを知る人からすれば前例のないツアーであり、かなり特別なツアーだった。ここではファイナルとなった3月31日(木) Zepp Sapporoでの公演をレポートで辿りたいと思う。

普段のライブよりも、さらに飾らない剥き出しの峯田がそこにいた

3月31日(木)、札幌。日中晴れ間が出ていたものの、夕方前からは雨が降り、やがて激しい雪に変わった。この悪天候にもかかわらず、会場のZepp Sapporo付近には、開場前からたくさんの人たちが集まっており、この光景を前に自ずと筆者も高揚する感じがあった。

開場後、チケットを持ち指定された席に着席し、静かに開演を待った。開演までは峯田和伸(銀杏BOYZ)が作った国内外の名曲をまとめたミックステープが、モコモコしたようなアナログ音でかかっている。峯田は過去に銀杏BOYZの公演に対し「自分の部屋に遊びに来たような感じにしたい」と語ったことがあるが、今回もそのような空間になりそうな予感がする。

開演時間になると、スクリーンに銀杏BOYZのこれまでの激しいステージやバックステージのオフショット、峯田のプライベートショットなどが雑然とコラージュされた映像作品が流れた。映像作品は激しいものである一方、どこか寂しげで、どこか悲しげな印象もあり観に来た人たちはかたずを呑んでスクリーンを凝視した。

やがて映像作品がピタッと止まると、たったひとり、峯田がステージに現れた。普段のライブツアーよりもさらに飾らず、剥き出しのような表情で峯田が椅子に座る。

アコースティック・ギターを持ち、おもむろに歌い始めたのは「人間」だった。「人間」は銀杏BOYZの楽曲の中でも、特に人間のエゴと向き合い、人が生きる意味や本質を問うような重要な作品であり、同時にこのステージが特別なものであることが暗に伝わってくる。

次に演奏された「NO FUTURE NO CRY」の中盤でサポートメンバーの山本幹宗(G)、加藤綾太(G)、藤原寛(B)、岡山健二(Dr)が静かにステージに現れ、峯田と同じように椅子に座り演奏に加わった。フォーキーなアレンジではあるが、バンド構成でありその音はさらに厚みを増し、「若者たち」、「SEXTEEN」と続き、さらに、夏目漱石の名作『三四郎』からの一節を引用して朗読し、「恋は永遠」と続いた。

加藤綾太(G)
藤原寛(B)

アコースティック・アレンジであるのに、オリジナルより速く感じる楽曲も

6曲目の「骨」では、岡山健二(Dr)がメインボーカルを取り、峯田がコーラス的役回りに徹するなどの意外な展開もあった。さらに「夢で逢えたら」、「トラッシュ」、「エンジェルベイビー」、「いちごの唄」が演奏されたが、アコースティックを基調とした編成であるにもかかわらず、オリジナルよりも速く感じる楽曲もあった。既成概念には全くこだわりがない、自由をどこまでも突き詰める銀杏BOYZならではの表現のように感じた。

岡山健二(Dr)

中盤、即興か未完成かの歌を冒頭に加えた「新訳 銀河鉄道の夜」、「アーメン・ザーメン・メリーチェイン」と身を削るような楽曲が続いた後、「光」からDr.kyOn(Key)が加わった。演奏される音はさらに厚みを増し、さらに銀杏BOYZの中でも超大作と言って良いであろう「東京」へと続いた。

Dr.kyOn(Key)

「ライブをすると新しい曲を作りたくなる。曲ができるとライブをしたくなる。これの繰り返しだ」

切ない楽曲が続いた後、後半では銀杏BOYZの代表曲「BABY BABY」、「ぽあだむ」といったポップチューンが演奏され、観客は何の申し合わせもないはずなのに、この辺からスタンディングする人が大半となった。最後にメロウでありながら、何もかもが遠くにあるように感じさせる楽曲「僕たちは世界を変えることができない」で本編が終了した。

コロナ禍でもあり、観客は声を出せない。観客は「アンコール」を拍手だけで表現し、その音が鳴り止まぬ中、再びステージに照明が灯り峯田とサポートメンバーが登場した。

山本幹宗(G)

アンコールでは再び切ない楽曲「夜王子と月の姫」、山本幹宗(G)によるアコースティック・ギターのカッティングが象徴的な「GOD SAVE THEわーるど」と続き、最後には銀杏BOYZの最新曲「少年少女」がバンドアレンジで演奏され終了となった。

公演中のMCで、峯田は「『どんな環境にいる人でも、この時間だけは全てを忘れて音楽を楽しんで欲しい』……そんなステージができたら良いなと思っている」と語ったが、その言葉がそのまま当てはまるような特別な空間、特別な時間、特別なライブだったように思う。終演後、Zepp Sapporoの外へ出ると雨や雪が降り止んでいた。その代わり冷たい札幌の風が吹き、温かいライブの空間から現実へと引き戻されるような寂しさを覚えた。

「ライブをすると新しい曲を作りたくなる。曲ができるとライブをしたくなる。これの繰り返しだ」とも語った峯田だが、今回の「銀杏BOYZ アコースティック・ライブツアー2022『僕たちは世界に帰ることができない☆』」を終え、次なる銀杏BOYZはどこに向かおうとしているのだろうか。この日の終演後、峯田本人に聞いたインタビューを近日中に公開したいと思う。

Text:松田義人(deco) Photo:村井香

<公演情報>
銀杏BOYZ アコースティック・ライブツアー2022『僕たちは世界に帰ることができない☆』

3月31日(木) Zepp Sapporo

セットリスト

人間(弾き語り)
NO FUTURE NO CRY
若者たち
SEXTEEN
恋は永遠

夢で逢えたら
トラッシュ
エンジェルベイビー
いちごの唄
新訳 銀河鉄道の夜
アーメン・ザーメン・メリーチェイン

東京
BABY BABY
ぽあだむ
僕たちは世界を変えることでができない
-アンコール-
夜王子と月の姫
GOD SAVE THE わーるど
少年少女

関連リンク

銀杏BOYZ オフィシャルサイト:
https://gingnangboyz.com/

銀杏BOYZ YouTube:
https://www.youtube.com/c/GINGNANGBOYZofficial

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