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永田崇人と石井杏奈に聞く、朗読劇×ラジオの魅力 朗読劇『リスナーたちの星空』

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永田崇人×石井杏奈 撮影:川野結李歌

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2022年4月27日から5月1日まで、朗読劇『リスナーたちの星空』が紀伊國屋サザンシアターで上演される。これはニッポン放送の企画で、ラジオを愛する劇作家の土田英生が脚本・演出を手掛け、脚本協力として現役のラジオ構成作家・宮澤一彰も参加。ラジオ番組を舞台にしたロマンティックな物語が繰り広げられる。出演者は男女ペア5組で計10人。魅力的で個性的な声を持った男女が、ラジオリスナーとして出会ったふたりとの恋の行方を紡いでゆく。4月27日に公演を行う永田崇人と石井杏奈に話を訊いた。

ラジオを聴いていると、秘密の空間にいるような気がします(永田)

――今回、朗読劇ということで声質が重要になってきますよね。それぞれの声の個性はどんなところでしょう?

永田 石井さん、特徴ある声だって言われません?

石井 よく言われます。

永田 僕も、よく言われるんですよ。変な声だねって(笑)。

石井 私は、少しウィスパー気味で、ハスキーな声だねともよく言われます。なので、キャピキャピした役や明るい役がくると苦労するんですよ。今回は、女性ラジオリスナーの10年後を描くということなので、大人の声を表現できたらなと思っています。

――永田さんは脚本・演出の土田英生さんとお仕事をされたことがありますが、その時の印象は?

永田 土田さんの脚本には泣かされることが多いですね。刺さります。あと、土田さんは笑いに厳しいんですよ。面白さのツボを本当にちゃんと分かっている人で、演出の通りに演技したら確かにうまくいく。例えば、「ツッコミってセリフが句読点で区切られていても、ひと息で言わないとウケないんだよ」って教えてくださって。本当にひと息で言うとウケるんですよね。びっくりしました。

――今回の土田さんのプロットは、ラジオが大きなカギを握っていますね。

永田 実は僕、最近ラジオにハマったんですよ。それも今回のお話を頂くちょっと前ぐらいから。好きな番組は『BITS & BOBS TOKYO』という、ショートストーリーとトークから成る30分番組です。他局で申し訳ないんですけど(笑)。さっき石井さんにもおすすめしたところで。

石井 まず、radikoというアプリを入れて、というところから教わりました(笑)。ですが、例えば楽屋でメイクさんがラジオを流しているのを聴いていると、敏感に反応するようになりました。ふとした瞬間にラジオが流れると「あ、ラジオだ! 聴こう!」みたいに。

永田 radikoを使うと、1週間前まで聴き逃した番組を聴けるんですよね。好きなタイミングで聴けるのがかなり大きくて。昔は好きな番組が放送される時間に間に合うように用事を終わらせていましたけど、radiko ができてからはそういう心配もない。あと、ラジオを聴いていると、秘密の空間にいるような気がします。テレビって見入るものですけど、ラジオって聴き入るというよりは、なんとなく耳に入ってくる感じがするんですよね。自分がラジオという空間の中心にいて、周りで人が喋っている感じというか。

ラジオという共通の趣味を持つふたりの話という点がとてもぐっときました(石井)

――現時点でのプロットを読んでの印象は?

石井 10年ごしの想いが重要なお話で、「僕はまだあなたを想っています」という純粋な恋心を描いている。 ロマンティックだなあと思いました。 また、ラジオという共通の趣味を持つふたりの話という点がとてもぐっときましたね。私も趣味がかなり多い方なので、ふたりの気持ちが分かるなと。

永田 どんな趣味があるんですか?

石井 映画鑑賞とドラマ鑑賞、裁縫や料理なども好きで、一時期ギターにもハマっていましたし、スノボもやります。基本、休日は外に出ていますね。あと、犬を飼っていて、犬の服を作ることが好きで。服に関しては仕事とまではいかなくても、犬の服を作ることが娯楽になっていますね。

――プロットを拝読したんですが、時代設定が2022年という感じがしませんでした。主役のふたりがメールやLINEやFacebookやツイッターでやりとりしたり、近況を知ることもない。アナログですよね。

永田 僕もアナログなところにロマンを感じます。というのも今って、社会がデジタル化されすぎていると思うんです。だから、なるべくアナログなことが自分の身の回りで起こっていた方が嬉しいなって。石井さんはSNSはやりますか?

石井 それが、上手に使いこなせていなくて。以前共演した方のマネージャーさんから「なぜSNSに写真とかあげないの?」と言われて。その上げ方がわからないんですよ。自分をどこまで出していいのか、なにをアップすればいいのか、宣伝をどこまでしていいのかなど、分からなくて。気付いたら半年ぐらい更新してないという(笑)。

永田 SNS、僕もちょっと難しいなって思います。どれが正解というのがないですからね。周囲の方から「なんで自分の画像をアップしないの?」って言われますけど、そこはあまり積極的になれなくて。あくまで個人的な感覚ですけど、SNS にはもう、以前ほどロマンを感じなくなっているかもしれないですね。だからこそ、今回のような朗読劇がリアリティを持つんじゃないかって。

観るものそれぞれの想像で楽しめる不思議な魅力

――朗読劇の魅力ってどんなところでしょう?

永田 舞台だと先にストーリーを全部覚えちゃっているから、冷静に脚本を俯瞰しているんです。朗読劇は、お客さんと同じタイミングで役を演じているつもりでも、それぞれまったく違うイメージを持っている。それがいいなって思います。最近、ラジオドラマをよく聴くんですけど、目の前で人が読んでいるようなリアルさがあって。収録で録られたものであっても、同じタイミングで聴くわけじゃない場合も多い。そこが不思議で面白いって思いますね。

石井 テレビやネットや動画配信など、様々なエンタテインメントがある中で、ラジオと朗読は相性がいいのだろうなと。アナログ感を持つコンテンツを融合させて、物語になっていることがすごいと思います。親しみやすいし奥が深い。私も読んでいて物語を想像しやすかったです。

――ちなみに、この人の声や喋り方が好き、という方はいます?

石井 私、寺尾聰さんの声が好きで。以前、私も出演した学園もののドラマで先生の役を演じてくださったのですが(編注・2016年TBS系日曜劇場『仰げば尊し』で共演)、その時に「素敵な声だな」と。歌も歌っていらっしゃるので本当に声が魅力的なんです。ドラマの撮影が終わってからも、1年に1回電話をくださるのですが、その声でとても元気になれるんですよ。「いつまでも俺は君の先生だからな」と言ってくださり、様々なアドバイスをいただいたりします。その時の言葉と声がずっと聞いていたいほど素敵なんです。

永田 そのやりとりだけで朗読劇ができそうだね。10年ぶんの電話の内容だけ、ずっと喋っていくみたいな。僕も地元の洋服屋で一緒に働いていた先輩が時々電話をくれて。1時間くらい2人で話しています。普通、メールとかLINEが来るんでしょうけど、電話っていうのもアナログでいいなって。

――稽古は2,3回しかされないそうですね。新鮮なのでは?

石井 新鮮すぎるほど新鮮だと思います。さらに上演日は1日だけで公演も2回しかないので、その2回ですべてを出し切れるようにしたいと思います。

永田 デビューして最初の時にお世話になった土田さんとのご縁がこうしてまた巡ってきて、もう一度初心に返れるタイミングかなと思いますので、早くお稽古をして早く本番に臨みたいです。



取材・文:土佐有明 撮影:川野結李歌

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