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ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > 『TOKYO VICE』特集 第2回

オトコ気映画の巨匠マイケル・マンが東京の闇を斬る!
『TOKYO VICE』特集

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『ヒート』『インサイダー』などで知られるハリウッドのオトコ気映画の巨匠・マイケル・マンが全編オール日本ロケで描く超大作ドラマシリーズがついに日本に上陸! 巨匠の下にアンセル・エルゴート、渡辺謙ら日米の大スターたちが集結し、1990年代東京の暗部を描ききる。本特集では、『TOKYO VICE』を語るには欠かせないマイケル・マンをフィーチャーし、彼が誇る7大オトコ気映画とともに掘り下げていく!

『TOKYO VICE』配信&放送開始記念!
映画ライターによる喋りっぱなし座談会を開催!

いよいよWOWOWオンデマンドでは第1話の配信が始まった『TOKYO VICE』。そこで、「ぴあ」の水先案内人でもある映画ライターのお三方にいち早く第1話をご覧いただき、感想やこれからの期待、そしてマイケル・マン監督についてなどをたっぷり語りあっていただきました。ぜひ第1話をご覧になって(もちろん観る前でも大丈夫です!)、座談会トークをお楽しみください!

【座談会参加者】

■相馬学     :

映画ライター。アクションやホラーなどアツくなれる作品が好き。

■よしひろまさみち:

映画ライター。ゲイです。アウトサイダーものが好き。

■細谷美香    :

女性誌などでも活躍する映画ライター。青春映画が好き。男と男の絆にもグッときます。

WOWOWとマイケル・マンには
もともと親和性があった!?

相馬 いやー、映像で久しぶりに見たよね、兄弟杯の儀式。

よしひろ ちょっと待って(笑)。いきなり本題?

相馬 そこだけでジワっときちゃったよ。

細谷 『ヤクザと家族 The Family』では親子血縁盃の儀式が描かれていましたけど、『TOKYO VICE』も昔のヤクザ映画の様式美みたいなことを照れずに撮ってました。海外の人はもちろんと思いますが、今私たちが観ても興味深かった。

マイケル・マンがメガホンを取った第1話では血縁盃のシーンが! 眼光からも気合の入り方が伝わってくる。

よしひろ 警察とヤクザ、そしてそれを俯瞰する新聞記者の話というと“鉄板”とも言えるネタではあるけど、日本人に受けるように作ってるんだなとは思った。WOWOWは警察ドラマには定評もありますし。

細谷 そういう意味で元々親和性があったのかもしれないですね。WOWOWとマイケル・マンの組み合わせも。

日本語を喋り、書いてもいた
アンセル・エルゴートに驚き!

相馬 8、90年代もよく表現されていたなあ。オフィスでみんなタバコ吸ってるしさ。飲み会で菊地凛子扮する女性社員がお酒作らされてたりね。今なら炎上するレベルだよね。

よしひろ アンセル(・エルゴート)もすごく良かった。この時代に外国人が日本の新聞社に入社してきたらこうなるよねっていう感じを上手に演じてたと思う。しかも、入社試験のシーンでちゃんと日本語を書いてるのには驚いた。この前来日したときは取材でも日本語で答えていたらしいし、本当に勉強したのね。

大手新聞社の新入社員の中でひとりだけ外国人のジェイク(アンセル・エルゴート)。その先輩社員を演じるのが菊地凛子。2枚目の写真は撮影中のひとコマ。仲良さそう!

細谷 想像するに、渡辺謙、菊地凛子たちって英語を覚えて海外で頑張ってきた経験があるから、きっと今回日本で頑張っているアンセルの気持ちが分かるんでしょうね。主演である彼を盛り上げているのが伝わってきました。一見すると、ハリウッドではおなじみの日本人キャスティング感もあるんだけど、観てみるとやっぱりちゃんと説得力があった。あと、第1話では笠松将も出番は少ないけど存在感がありました。

よしひろ 若いんだけど、なんかやばいヤクザなんだなって感じが出てたよね。

相馬 これから重要な役割になるんだろうな、っていうのは分かったね。

細谷 ですよね。

東京で勢力を持つヤクザ、千原会の組員・佐藤を演じる笠松将。ジェイクとはホステスのサマンサを通して出会うことに。

相馬 アンセル演じる新人記者のジェイクは、入社試験で問題が残っているのを見逃してしまうんだけど、それに気づいてから家に帰ってと一連の落ち込む心情をアンセルの表情だけで見せていてセリフがなかったよね。あれは、日本の監督だったら心の声を入れそうなところだけど、説明せずに見せるのがハリウッドの監督らしいと思った。

よしひろ 少なくとも第1話は最初から最後まで説明セリフがひとつもなかったですね。最近の映画は分かりやすくしようとしすぎてるものが多いから、そこも良かった。

相馬 マイケル・マンのジャーナリスティックな視点も入ってるから、そこでせめぎ合う面白さも感じたな。記者になったジェイクは「新聞記者は自分の意見を書くんじゃない!」って先輩たちから怒られる。主観を入れちゃうと日本では記事にならないんだよね。

細谷 ジャーナリストと日本の記者の違いですよね。

東京という街に大きな関心を持ち、やる気も能力もあるジェイクだが、日本の新聞社の慣習に馴染めず苦しむことに。

相馬 そういう違いもちゃんと見えていて、日米合作にした意味があったよね。

よしひろ WOWOWのドラマは基本的に映画的な作り方で、俳優にとってもやりやすいってよく聞きますね。自由度は劇場映画よりも高いくらい。それでもこの企画を通すのは難しかっただろうから、HBOと組めたことは良かったと思う。

“なんちゃって”な日本ではない
リアルな新宿や渋谷の街が登場

細谷 東京のロケも大変だったでしょうね。コロナもあったし。でも地方で東京っぽく撮るんじゃなくて、東京で撮っていることに意味がある作品になっていた。

相馬 1年半くらい前に東京でロケをしてたときは、SNSでも大騒ぎになってたよね。

よしひろ 渋谷にマイケル・マンがいる!って(笑)。

渋谷では百軒店付近やホテル街の一画を貸し切っての大がかりなロケを敢行。スクランブル交差点のシーンも!

細谷 海外の監督が日本を舞台に撮ると“なんちゃって日本”になりがちだけど、実際にちゃんとロケをしてるからそういう印象はなかったですね。全体的にとても誠実だし丁寧。

相馬 日本人的にも、新宿とか渋谷とか四谷とか、「これはあそこだな」ってリアリティを持って受け止められるよね。コロナで人通りが少なくなっていたからこそできたシーンもあったんじゃないかな。

よしひろ 撮影においては、ある意味ラッキーでもあったのかもしれないですね。これをきっかけにもっと東京ロケの作品がうまれたらいいのに。

文中で挙がった場所以外にも、築地(上写真)、赤羽(下写真)、六本木、都庁付近、首都高速などさまざまな“東京”が登場。

細谷 マイケル・マンって前作『ブラックハット』もアジアが舞台でしたよね。それをきっかけにアジアでの撮影に興味を持ったということはあるんですかね?

よしひろ 黒社会が好きなんじゃない? 昔ながらの黒社会って今、アジアにしかないって言うし。

細谷 その場所のムードを生かしながら、バディものを撮るならおまかせって感じはありますよね。

よしひろ 元々TVで『特捜刑事マイアミ・バイス』とかをやってた人だから、刑事のバディものって好きなわけだよね。そう考えると今回も新聞記者と刑事という関係性ではあるけど、バディ的な展開になっていきそうだから、好きなジャンルを取り上げたのかな。

細谷 マイケル・マンって基本的には、やっぱり男と男の話の人ですよね。『TOKYO VICE』も物語が進んでいくと、どんどんそういう話になりそう。

本作で気になるのがやはりジェイクと敏腕刑事・片桐(渡辺謙)の関係。ある事件をきっかけに片桐のことを公私ともに慕うことになるジェイクだが……。

マイケル・マンの過去作といえば……
『TOKYO VICE』との類似点も

細谷 そういえば、皆さんはマイケル・マンといえばどの作品が好きですか? 私は『ヒート』と『インサイダー』は絶対外せない。

相馬 『ヒート』は彼の代名詞だよね。『インサイダー』でアカデミー賞にノミネートされてから意識したという映画ファンもいるだろうけど。

強盗団のリーダーとそれを追う刑事の息詰まる戦いを、当時ハリウッドトップと言っていい2大演技派スター、ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノの豪華競演で描いた『ヒート』。

よしひろ この間、知人と話していて『コラテラル』の話になったんだけど、その人は初めて観たマイケル・マンの作品が『コラテラル』だったんだって。世代による違いもあるかもね。

相馬 『コラテラル』はトム・クルーズが主演だし、キャスティング的にも派手だからね。トムにとってはいいタイミングで間口が広がった作品だと思う。そういえば、今回の『TOKYO VICE』の第1話って、『コラテラル』の最初の15分と似てたよね。

よしひろ たしかに! 彷彿とさせられた。

相馬 なにが起こるか分からないけど、絶対やばいことが起こるっていう。

細谷 その見せ方がうまいですよね。マイケル・マン作品のイメージとしては美しい銃撃戦と夜景。これが入ってるとなんかありがたみを感じます。

金目当てで殺し屋(トム・クルーズ)の運転手役を引き受けてしまったことから、“やばいこと”に巻き込まれていく主人公を描いた『コラテラル』。『TOKYO VICE』の“やばいこと”とは果たして!?

裏切りもありそうな人間関係?
第2話以降はココに期待!

細谷 今後の展開はどうなるんでしょうね? 私は、渡辺謙演じる刑事・片桐と、アンセル演じるジェイクの関係には期待したい。いろんなボーダーを越えてバディになっていくのかな。

よしひろ 予告編だと「駆け引き、裏切り、愛憎うごめく……」なんてナレーションで言ってるから、誰かが裏切ったりとかもあるのかもね。裏切るとしたら伊藤英明が演じる刑事・宮本あたりと予想。

外国人女性を口説くために夜の街にジェイクを連れていくオンナ好き刑事の宮本。つかみどころがなく、なにを考えているか分からないところが“裏切り”を予感させる。

細谷 ホステスに想いを寄せる展開もありそう。『パブリック・エネミーズ』ではマリオン・コティヤールの描写がやたら多くて気になったんだけど、今回女性が絡むところはどう描かれていくのかな。

相馬 圧倒的アゲインストの状況の中でいかに突き進むか、みたいなメッセージもありそうだから、そこは『アリ』に通ずるものもあるね。

細谷 確かに。白人社会の中でマイノリティが苦労する話は定番だけど、今回はその逆ですしね。

よしひろ そうそう。それも『ブラックハット』で一度やってるから、今回はどうなるかしらね。

相馬 宮本とジェイクの距離感の近さも気になるし、逆に片桐は特殊な立ち位置でどうストーリーに絡んでいくのか楽しみ。

宮本を演じる伊藤英明は郷里の岐阜にアンセル・エルゴートを連れて行き交友を深めたとか。さらにアンセルはその足で長野の渡辺謙の自宅にも滞在したとのこと。

よしひろ その関係、萌えなんですけど!

相馬 これで2話、3話あたりでまったく違う話になってたらどうしよう(笑)。でもとにかく、今までにない作品になることを期待したいね。

『TOKYO VICE』放送を記念してマイケル・マン特集が!

WOWOWシネマでは、『TOKYO VICE』の放送・配信を記念して、<マイケル・マン特集>として代表作4作品を放送! 珠玉の4作品を観て、『TOKYO VICE』とともにマイケル・マンのオトコ気にひたろう!

■『パブリック・エネミーズ』
5月17日(火)午後4時30分

■『マイアミ・バイス』
5月18日(水)午後4時45分

■『ヒート』
5月19日(木)午後3時20分

■『アリ』
5月20日(金)午後4時15分

『ハリウッド共同制作オリジナルドラマ TOKYO VICE』
WOWOWにて独占放送中 毎週日曜午後10:00(全8話)
WOWOWプライム
WOWOW 4K

WOWOWオンデマンドにて独占配信中
【無料トライアル実施中】

(c)HBO Max / James Lisle HBO Max / Eros Hoagland

構成:渡部あきこ
Photo:AFLO