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【おとな向け映画ガイド】

感動の時代劇+現代コメディが絶妙! 中井貴一×松山ケンイチ×北川景子×立川志の輔『大河への道』

ぴあ編集部 坂口英明
22/5/15(日)

イラストレーション:高松啓二

今週(5/20〜21) の公開映画数は20本。うち全国100館以上で拡大公開される作品が『大河への道』『ハケンアニメ!』『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』『映画 五等分の花嫁』の4本。中規模公開、ミニシアター系が16本です。そのなかからコメディと時代劇を掛け合わせた日本映画『大河への道』をご紹介します。

『大河への道』

原作は立川志の輔の超人気落語。伊能忠敬の生涯を大河ドラマにしたら地元観光の目玉になる、と口走ったばかりに、「じゃあ、お前やれ」と押しつけられた市役所職員のオタオタ・コメディと、壮大な正統派歴史時代劇を組み合わせたおとな向けエンタテインメントです。

伊能忠敬。50歳から独学で測量を学び、全国を踏破し、デジタルも当然ない江戸中期に、驚異的な精度の日本地図を完成させた偉人です。その歩行距離は、地球一周に相当するとか。井上ひさしの『四千万歩の男』なんて小説もあるし、確かに大河ドラマになってもよさそうな人物です。全国が舞台だから水戸黄門みたいでいいじゃない、とも思うし。

そんな忠敬のふるさとは千葉県香取市佐原。利根川が流れる水郷の町。市役所は観光事業に力をいれているのですが、目玉がほしい。会議で、観光課の出した案をきき、対案を求められた総務課の主任(中井貴一)が苦し紛れに出したアイデアは大河ドラマの招致。たまたま壁に『武田信玄2』(ん?)のポスターが貼ってあったからなんですが。なんとこの案に県知事が乗ってしまった。彼は推進・開発担当に任命されて……。

チョーシ良さそうだし、軽いし、人がいいし、だからずっと主任どまり、こういう役をやらせたら、中井貴一の右にでる役者はいません。NHKの人気番組『サラメシ』のあの軽妙さです。

実はこの企画、志の輔の落語をきいて感動し、これは映画になる、と中井自身が動き、自分は出演しなくてもと推進役になったそうです。

現代パートと江戸時代パートが交錯する構成。中井は主任の役と、忠敬の師匠筋にあたる天文学者高橋景保の2役を演じています。時代劇では『壬生義士伝』や『柘榴坂の仇討』など、シリアスな役でも定評がある中井。軽めの役と重めの役、両方をしなやかに行き来できる名優の真骨頂といえる作品になりました。

共演は松山ケンイチ。総務課で中井の部下役ですが、主任以上にお軽めなキャラ。彼も2役。江戸パートでは家来役です。ふたりはなんと”大河ドラマ”『平清盛』以来の共演。そういえば、中井は『武田信玄』の主役でもありました。そんな大河役者2枚看板という豪華キャストです。

現代パートで観光課の“課長”を演じているのは北川景子。江戸パートでは伊能忠敬の若い妻役です。主任の大河案に乗った千葉県知事には草刈正雄。そういえば、この人も大河ドラマ『真田丸』の真田昌幸役が評判でした。今回は感動の役どころ、です。

では、伊能忠敬を演じるのは誰か? NHKの正月時代劇『四千万歩の男』で忠敬役だった橋爪功がまさに適役なんですが、彼ではありません。橋爪は、プレゼン用シナリオ執筆を依頼された大御所脚本家の役。主任の熱意で重い腰をあげた先生が調べていくうちに、伊能忠敬は日本地図完成の前に亡くなっていた!? という衝撃の事実を知ります。

ここから、大河ドラマ、歴史番組ファンも納得の「史実の裏には、実はこういうドラマが隠されていた!」という涙の大展開が待っているのです。

【ぴあ水先案内から】

波多野健さん(TVプロデューサー、ディレクター)
「……原作の本などで感動してから映画を観るとほとんどががっかり、というパターンなので警戒しながら観たら、この草刈さんのシーンで号泣してしまった……」

波多野健さんの水先案内をもっと見る

(C)2022「大河への道」フィルムパートナーズ