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今年はスクリーン上映が復活!初のお披露目となる新作も!
《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022》 特集

7月16日(土)~7月24日(日) SKIPシティにて開催
7月21日(木)~7月27日(水) 特設サイト にて配信

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SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022 公式サイト/SNS

白石和彌、中野量太監督などを輩出した若手監督の登竜門
《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭》今年は念願のスクリーン上映も!

いまや「本当に住みやすい街」としても注目を集める埼玉県川口市で毎年開催。今年で回を重ねること第19回を迎え、いまや若手映画作家の登竜門と呼ばれるのが、《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭》だ。

デジタルシネマにいち早くフォーカスした同映画祭がメイン・プログラムに置くのは、世界各国の選りすぐりの作品が集まる国際コンペティションと、日本国内の若き映画作家の発掘を目指す国内コンペティション(長編部門、短編部門)。これまで、現在『死刑にいたる病』が絶賛公開中の白石和彌監督や、『浅田家!』の中野量太監督、『さがす』の片山慎三監督、『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督ら、日本映画界をリードする新たな才能を数多く見い出している。

ここ2年は、コロナウイルス感染拡大の状況を鑑み、オンライン配信で開催が続いていたが、今年は待望といっていいスクリーン上映が復活! しかも+オンライン配信という、実は同映画祭が昨年から模索していたという「ハイブリッド形式」での開催が実現する。

この2年、叶わなかった海外からのゲストも来場予定。これからの飛躍が期待される世界のクリエイターが川口に集結する。コロナ禍を経て新たな一歩を踏み出す《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022》に注目を!

今年はここが違う! ディレクター陣が語る《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022》

映画祭ディレクターの土川勉氏(左)とプログラミング・ディレクターの長谷川敏行氏(右)

今年は、スクリーン上映+オンライン配信というハイブリッド形式での開催が決定。同映画祭としては初の試みとなるが、それぞれの良さを最大限に生かした開催を目指すという。

そこで、映画祭ディレクターの土川勉氏とプログラミング・ディレクターの長谷川敏行氏にハイブリッド形式での開催に踏み出した経緯から、2年に渡るオンラインでの開催を経て迎えた今年の映画祭への意気込み、そして、今年のラインナップのみどころについてたっぷり語っていただいた。

2年間のオンライン配信での開催を経て、改めて気付いたこと

── 2年に渡ってのオンライン配信での開催を経て、今年は待望のスクリーン上映が復活。それにオンライン配信もプラスしたハイブリッド形式での開催になります。

土川 そうですね。オンラインでの開催が2年続いたのですが、1年目と2年目ではまったく状況が違いました。まず、1年目は開催自体が危ぶまれる状況でした。でも、すでに世界中から数多くの作品が寄せられていた。本映画祭の基軸は新たな若い才能の発掘と育成にありますから、彼らの発表の場を奪ってはならない。そう考えると中止の選択はなく、オンラインでの開催となりました。

一方、昨年に関して言うと、実は当初から、スクリーン上映とオンライン配信での開催を視野に入れて構想していました。ただ、コロナ感染の状況が好転せず、苦渋の決断で会場に観客を入れてのスクリーン上映は断念せざるをえませんでした。

ですから、映画祭サイドとしては、ようやく待ち望んでいたハイブリッド形式での開催になります。

オンラインならではの良さも実感した2021年映画祭

長谷川 実際にやってみると、オンラインならではの良さもあることを実感する機会になりました。

たとえば本映画祭でいうと、実際に来てみると「意外と近いですね」とけっこうおっしゃる方がいるのですが、アクセスが不便というイメージがある。

それで足を運ぶのに躊躇われていた方や、遠方の地方の方などがオンラインということでかなり参加してくださった。またオンラインになったことで映画関係者でチェックしてくださる方も増えて、日本での劇場公開につながった作品もありました。

それで昨年は、スクリーン上映+オンライン配信というハイブリッド形式での開催で行こうと思ったんです。ただ、残念ながら実現に至らなかった。ですから、今回はまさに2年を経て実現した開催の形に今回はなります。

── ハイブリッド形式での開催の実施を含め、2年間のオンライン開催で、改めて映画祭という場について、映画祭のあるべき姿について考えたことはあったのではないでしょうか?

長谷川 才能豊かな映画作家の作品を紹介していくことを止めなかった意味はすごくあったなと思いました。

土川 世界中の若い作家たちがコロナ禍であっても作品を作り続け、その才能を開花させる場を求めていた。そのことをひしひしと感じる機会になって、発表する場をわれわれはなんとしてでも作らないといけないと思いましたよね。

今年は待望のスクリーン上映が復活! ちなみに写真は2019年のもの

長谷川 そうですね。その一方で、スクリーン上映の大切さも実感しました。というのも、一昨年の串田壮史監督の『写真の女』、昨年の萱野孝幸監督の『夜を越える旅』が、本映画祭ではオンラインのみだったんですけど、東京国際映画祭ではスクリーンでの上映が叶った。おふたりとも、そこではじめてお客さんの生の反応に触れて、すごく興奮していたんですよね。

やはり観客のリアクションを監督たちが間近で感じることはなにものにも代えがたい経験になる。そこでスクリーンでの上映の重要性を改めて感じました。また、この2年間、そういう場を与えることができなかった悔しさもあったし、作り手のみなさんへの申し訳ない気持ちもいまだに消えていない。今年はそういう思いもすべて込めての開催になります。

本映画祭に所縁の深い監督たちの新作をいち早くスクリーン上映!「What's New~飛翔する監督たち~」

左:『断捨離パラダイス』(萱野孝幸監督) 右:『ミドリムシの姫』(真田幹也監督)
©断捨離パラダイス ©ミドリムシフィルム

── その注目のラインナップですが、まず本映画祭に所縁の深い監督たちの公開を控えた新作を一挙にワールド・プレミアで上映する特集上映「What's New~飛翔する監督たち~」に目がいきます。

長谷川 オンライン配信での開催を経験することで、スクリーン上映の重要性に改めて気づきました。また、オンラインでの開催で難しかったことのひとつがすでに配給決定済の作品の配信上映で。基本的には配信での上映は難しい。となると特集上映が組めなかった。

なので、今回、スクリーン上映でとなったときに、まず特集上映ができる!と思ったんですよね。それで、どうせやるなら映画祭らしくまだ公開前の新作映画をいち早く届けたい。そう考えていたら、SKIPシティに所縁の深い監督たちの新作が続々とスタンバイ中で。3本をワールド・プレミアでお披露目できることになりました。

萱野孝幸監督の『断捨離パラダイス』、真田幹也監督の『ミドリムシの姫』、そして映画祭の幕開けとなるオープニング上映作品の磯部鉄平監督の『世界の始まりはいつも君と』を合わせての特集上映になります。

『世界の始まりはいつも君と』(磯部鉄平監督)  ©Carmina

土川 磯部さんは、本映画祭で2018年の『予定は未定』が短編部門優秀作品賞、2019年の『ミは未来のミ』がSKIPシティアワード、2020年の『コーンフレーク』が長編部門観客賞と、ほんとうに着実に成長を遂げてきた監督で、こうしてオープンニングでお迎えできるのはやはりうれしいですよ。

長谷川 磯部監督は、どこにでもいるような市井の人を温かい眼差しで描くことに長けていて、僕はそこが大好きなんです。今回の作品もそこは期待通りというか外していない。ただ、そこにある強いジャンル性が加わって、いままでとはひと味違う作品になっている。磯部ワールドが飛躍的にジャンプアップしたのではないかと個人的に思っています。いまから上映できることが楽しみでなりません。

国際映画祭としてできることを模索した、チャリティ上映「ウクライナに寄せて」

過去国際コンペに選出されたウクライナ作品『この雨は止まない』と『ラブ・ミー』を上映(オンライン配信もあり)!
©Square Eyes Film

── それから、チャリティ上映「ウクライナに寄せて」もすばらしい企画だと思います。また、いわゆる映画先進国の映画だけではなく、あまりなじみのない国の良質な作品を積極的に上映してきた《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭》だからこそ組めたことではないかと思います。

土川 まだ、作品の選考中の2月にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって、非常にショックであると同時に、なにか映画祭でできることはないかとすぐに考えました。

長谷川 今回も上映しますが昨年、ウクライナ映画『この雨は止まない』を上映していたこともあって、あの破壊されたウクライナの街の映像を見たときに、自分でもびっくりするぐらいショックを受けました。そして、すぐに個人としても映画祭のひとりのスタッフとしても何かできることがないかなと。国際映画祭と名乗っていて、昨年、ウクライナ映画を上映している。この事実がある以上は、できることがあるだろうということで『この雨は止まない』と、2014年の本映画祭の国際コンペティションの長編部門にノミネートされた『ラブ・ミー』のチャリティ上映ができないかとすぐに動きました。

幸いなことに、両作品ともに主旨を説明したら、すぐに「ぜひお願いします」とお答えいただいて、このような機会を設けることができました。

土川 本企画で得た収益は、日本赤十字を通して、ウクライナ人道支援に役立てられますので、ひとりでも多くの方に観ていただければと思います。

国際コンペティションは例年以上にバラエティに富んだ作品が!

左上から時計まわりに『ザ・クロッシング』『クイーン・オブ・グローリー』『とおいらいめい』『UTAMA~私たちの家~』
©Anthony Thompson ©AlmaFilms ©ルネシネマ

── メイン・プログラムとなる国際コンペティションのラインナップはどうでしょうか?

長谷川 お気づきになる方もいらっしゃると思うのですが、今年はフランス映画が際立っていたといいますか。非常にクオリティの高い作品が多く寄せられた印象がありました。それぐらい今年はフランス映画のクオリティが高かったです。

ただ、ラインナップとしては例年通りといいますか、例年以上にバラエティに富んだ作品が並んだのではないかなと思います。ガラスに描かれた絵が印象的な『ザ・クロッシング』というアニメーション映画もあれば、アメリカの“あるある”が満載の『クイーン・オブ・グローリー』といったコメディ映画もある。戦争を題材にした社会派ドラマもあれば、あまりなじみのないボリビアの映画もあります。多様なラインナップになったと自負しています。

あと、ひとつ触れておきたいのは国際コンペティション部門、唯一の日本映画、大橋隆行監督の『とおいらいめい』。2時間半の長尺になりますが、映画が始まった瞬間から、もうその作品世界へと誘われる。外国映画にまったくひけをとらないすばらしい作品で、注目していただけたらと思います。

日本の新たな監督を世界へつなげていきたい! 国内コンペティション

『ヴァタ ~箱あるいは体~』『喰之女』
©FLYING IMAGE ©SWALLOW Film Partners.

── もうひとつのメイン・プログラム、国内コンペティションは?

土川 今年は国内コンペティションも国際色豊かというか。マダガスカルで撮られた映画(亀井岳監督『ヴァタ ~箱あるいは体~』)や、日本の監督が台湾で作り上げた映画(中西舞監督『喰之女』)など、「これ日本映画?」と思っちゃうような作品が多く集まった印象ですね。

長谷川 そうですね。もう枠にとらわれないといいますか、日本を飛び出してしまっている作品が目立ちます。逆に中国から日本に来て映画を学んで、日本で撮った余園園監督の『ダブル・ライフ』といった作品もある。国内コンペティションも国際色豊かです。可能性を秘めた監督たちの作品に出合ってほしいですね。

あと、映画祭としてはここに顔を揃えた日本の監督たちをひとりでも多く海外の映画祭へと紹介できればなと。というのも、昨年、国際コンペティションにノミネートされて現在劇場公開中の三野兄弟の『鬼が笑う』が、本映画祭で上映後、映画祭の格付けでAクラスに当たるエストニアのタリン・ブラックナイト映画祭のメインのコンペティション部門で上映されることが起こったんです。

『鬼が笑う』 (C)2021 ALPHA Entertainment LLP 「鬼が笑う」

本映画祭は、単に劇場公開につなげるための紹介ではなく、国際的なアプローチもしていて。ノミネートされた日本の監督の作品を海外の映画祭にコンタクトをとってみてもらうことも積極的に行っています。

本映画祭からひとりでも多く、日本の新たな才能を世界へとつなげていけたらなと思っています。そういう世界へ飛躍する作品と日本の監督が今年の国内コンペティションからも現れてくれたらと願っています。

取材・文:水上賢治

チケット情報

【スクリーン上映】 開催期間:7月16日(土)~7月24日(日)

コンペ作品:前売600円/当日800円
コンペ作品フリーパス(オンライン配信観放題特典付き):前売4,500円
コンペ作品フリーパス:前売3,500円
チャリティ上映「ウクライナに寄せて」:前売600円/当日800円
オープニング・セレモニー:前売800円/当日1,000円
※セレモニー後、『世界の始まりはいつも君と』上映。
クレージング・セレモニー:前売800円/当日1,000円
※セレモニー後、国際コンペグランプリ作品上映。
特集上映「What's New~飛翔する監督たち」:前売800円/当日1,000円
※『断捨離パラダイス』『ミドリムシの姫』
関連企画『世の中にたえて桜のなかりせば』:前売800円/当日1,000円

※当日券は、各日の初回上映の開場時間より、当日上映されるすべての有料プログラムの座席指定券を映像ホール、多目的ホール受付で常時発売(最終上映回の開演まで)。

【オンライン配信】 配信期間:7月21日(木) 10:00 ~7月27日(水) 23:00

特設サイトにて(会員登録が必要)
https://dcf.cinemadiscoveries.co.jp/

コンペ作品:短編100円/長編300円
コンペ作品見放題プラン:1,480円
チャリティ上映「ウクライナに寄せて」:300円