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湖月わたる・珠城りょう・夢咲ねね・花乃まりあ「面白くならないはずはない」宝塚歌劇OGが挑むストレートプレイ『8人の女たち』

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インタビュー

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前列左から)珠城りょう、湖月わたる 後列左から)花乃まりあ、夢咲ねね 撮影:吉原朱美

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クリスマスイヴの朝、雪に閉ざされた大邸宅で一家の主マルセルが殺害された。屋敷に残されたのはその家族と使用人、さらに1人の招かれざる客、計8人の女性たち。犯人は誰? 疑心暗鬼の中、女たちの秘密が次々と明らかになっていく……。これまでにも何度も上演され、フランソワ・オゾン監督によるミュージカル映画化も話題になったフランス産の傑作戯曲を、元宝塚歌劇団トップスターたちの豪華競演で上演する。女性たちの本性が露わになるバトルを、“清く正しく美しく”をモットーとしていた元タカラジェンヌたちが演じるという構造も興味深いが、本人たちはこの作品に対し、どんな意欲を抱いているのか。マルセルの妻にしてエレガントな母親・ギャビー役の湖月わたる、マルセルの妹でセクシーな美女・ピエレット役の珠城りょう、横柄な新人メイド・ルイーズ役の夢咲ねね、ギャビーの次女で推理小説好きの16歳・カトリーヌ役の花乃まりあに話を聞いた。

新たなOG公演の扉が開く予感

――まずはこの『8人の女たち』への出演が決まった時の気持ちをお聞かせください。

湖月 このフランスの有名な戯曲を、宝塚OGで上演すると聞いて、新たなOG公演の扉が開く予感がし、とてもワクワクしました。しかも私はギャビーという、映画ではなんとカトリーヌ・ドヌーヴさんが演じた役をさせていただきます。私にとっても大きな挑戦になります。プライドの高い女性なのですが、彼女の繊細な部分も演じていけたらなと思っています。

湖月わたる

珠城 私はピエレットを演じます。映画ではファニー・アルダンさんが演じられていて、その雰囲気がとてもミステリアスで、どこか家族のやりとりを達観して見ているような空気もあって、これを自分が演じるのかと思うと……かなり挑戦だなと思ったのですが(笑)。

湖月 大丈夫よ~!

珠城 (笑)。これは頑張らなきゃ、と思いました。でも8人の女、どの役も主役になりうるキャラクターの濃い女性たちで、その一員として加われることがとても楽しみ。宝塚のOGだけでストレートプレイをやるということも楽しみですので、皆さんの稽古への向き合い方、稽古場での居方も学びつつ、女を磨いていこうと思います!

夢咲 この作品は8人しか登場せず、しかもワンシチュエーション。それだけ役者に任される部分が大きく、だからこそ何度も上演されている中で、その時々のカンパニーでしか作り上げられない作品になっているんだと思います。それをこの8人でやると聞いた時はやはり私も衝撃を受け、豪華すぎてどうしよう! という心境でした(笑)。皆さんとご一緒できることが純粋に嬉しく、早くお稽古に入りたいと楽しみにしている状態です。

花乃 私も出演が決まった時は、こんなに素敵な先輩方とご一緒させていただくことが嬉しく、緊張と喜びと興奮が入り混じり……今もまだ信じられない気持ちです。演じるカトリーヌは、こんな明るい人が家の中にいてくれたらとっても毎日楽しいだろうなと思う魅力のある女の子。ちょっと野性味があるようなところとか、私自身が感じた素敵なところを崩さないように演じていけたらいいなと思っていますので、一生懸命頑張りたいです。

それぞれの個性に合った配役

――ご自身の役のアピールポイントは。また、どなたがどの役を演じるのかということも気になっていた本作。徐々に発表されていくスタイルも観客側は楽しみましたが、皆さんご自身「自分ではこの役だと思っていた」「この役がやりたかった」などがあれば教えてください。

湖月 この物語の女性たちは、家族だからこそ言えない、言いたくない秘め事を抱えています。私の演じるギャビーも、ある大きなことを決行しようと思っていてそれを言えずにいるのですが、りょうちゃん(珠城)演じるピエレットさんとふたりのシーンが、彼女の内面が露わになる山場になると思うので、そこに向けて役を作っていきたいです。加えて私が嬉しいのは、ふたりの可愛い娘がいるということ! 次女である花乃ちゃんとは今日、初めてお会いしたのですが、すでに自慢の娘になりそうな予感がしています。まあ、配役としては……私は花乃ちゃん演じるカトリーヌではないだろうな、とは思っていました(笑)。

一同 (笑)。

湖月 私がもし宝塚を退団したてだったらピエレット役を演じてみたかったと思うかもしれないです。でも辞めてから月日を重ねて、ギャビーという役を頂いたことはとても光栄に思います。

珠城 ピエレットは、本人というより周りがピエレットのキャラクターについて話していることが多いんです。でもピエレット自身は常に愛を欲していて、自分も愛されたいし誰かを愛したい、愛情というものに囚われている女性なのかなと感じています。今わたるさんがおっしゃった場面あたりから、自分の秘めていたことや絡まった糸がひょんなことから一気にほどけていって、私自身も映画を見ていた時に「こういう展開なんだ!」と驚いたので、そこは皆さまにも楽しんでいただけるところじゃないかと思います。演じる役に関しては、私は宝塚を退団したてで、自分が女性役をやるということにもまだ慣れていませんので、どの役をやらせてもらえるのか自分ではまったく想像つかなかったのですが……ただ、私もカトリーヌではないだろうなとは思いました(笑)。

珠城りょう

一同 (笑)!

珠城 あとシュゾン(カトリーヌの姉、蘭乃はなが演じる)でもないなとか。そのあたりは自分でもわかっています、わきまえています(笑)。ほかは、どの役になるのか想像つかず、ピエレットと聞いて自分では驚きました。元ヌードダンサーと言われている、非常にセクシーな女性ですから。映画のファニー・アルダンさんがセクシーにミステリアスに演じていらしたので、そのイメージで頑張っていきたいです!

夢咲 ルイーズは新人メイドなのですが、映画で見た時に、お友だちになりたくないタイプの女性だなと思いました(笑)。この話は8人の間の心理戦みたいなもので、みんなが隠し事を持っているのですが、ルイーズはずる賢くその切り札をいつ上手く使おうかと思っているようなところがある。おそらく男性に見せる顔と女性に見せる顔も違っていて、傍から見るとあくの強い女性。態度も横柄です。だからこそ演じがいがあるな、面白いなと楽しみにしています。私自身は最初に「メイドの役です」と言われて、私、シャネル(一家に長く勤め、シュゾンとカトリーヌを育てたメイド。久世星佳が演じる)なの!? とおこがましくも思い、びっくりしたのですが……結果ルイーズで、少し安心しました(笑)。でも決まったキャストを見ると皆さん適材適所ですよね。しかも濃いキャラクターに負けず、皆さん個性的ですから、これは絶対面白いものになると思いました。

花乃 私は映画を拝見して、カトリーヌとお友だちになりたいと思いました(笑)。

一同 (笑)。

花乃まりあ

花乃 8人の女性が本当に個性的で、役者としてどの役をいただいても本当に嬉しいと思える素敵な作品です。ただ、映画を私は母と一緒に見たのですが、母がカトリーヌを指して「あなたの小さい頃にそっくり」と言ったんです。たぶん髪型とか、ビジュアルが似ていたのだと思うのですが、自分も親近感がわき、カトリーヌだったらいいなと思っていたので嬉しいです。お話は、それぞれの秘密が少しずつ見えてきて、どんどん意外な顔が見えてくる。そういえばカトリーヌの意外性ってなんなんだろう……と思った時に、最後にポロっと出てくるところが面白いなと感じています。

稽古前から胸躍る、宝塚時代から憧れの先輩との共演

――お話にあがっているように、宝塚OGという大きな共通点がある皆さんですが、今回の共演者に関して、個人的な思い出や思い入れ、楽しみにしていることがあれば教えてください。

湖月 あります! 私、研1(入団1年目)の組回りのとき、月組公演『天使の微笑・悪魔の涙』('89年)という作品に出演させてもらったのですが、その時の新人公演で、初主役をされていたのが久世星佳さんでした!

一同 (拍手)

湖月 それ以来の共演なんです!

珠城 それは嬉しいですよね~。

湖月 そうなの~。すごく嬉しいです。あと今回、月組経験者が多いと思うのですが、私は専科時代に2作品続けて月組に出させていただいたのですが……。

夢咲 ああ!『長い春の果てに』('02年)好きでした! わたるさんの演じたクロード~~!!

珠城 私も『長い春の果てに』が宝塚初観劇で、それを観て宝塚を受験しようと思ったんです! それこそビデオが擦り切れるくらい見ていました。

夢咲 キャー! わかる~。あの作品すごく好き。

珠城 大っ好きです。あの作品があったから、私の人生が変わりました! ……すみません、タイトルを聞いて思わずお話に割って入ってしまいました……。

湖月 嬉しいな~。あれもフランス映画(『世界で一番好きな人』'96年公開)が元になっていたのよね。

珠城 そうだったんですね! 色々ご縁が……。私も月組が初観劇で、月組のファンになり、自分もずっと月組だったのですが、特に思い入れがあるといえば、私は『グランドホテル』('17年)でトップお披露目をやらせてもらったのですが、その時に演じたフェリックス・フォン・ガイゲルン男爵は、初演('93年)では久世さんが演じていらしたんです。初日に来てくださり、そのあとお話する機会もいただいて、「いつか一緒に舞台に立てる日がきたらいいね」というようなことをおっしゃっていただいたんです。こんなに早くご一緒できるとは思っていなかったのですが、あの時は本当にありがとうございましたと、この思いを早く久世さんにお伝えしたいです(笑)。

湖月 おー!

珠城 それが楽しみです!

夢咲ねね

夢咲 私は、中学校の修学旅行で富山から宝塚へ行き、初めて宝塚大劇場で観たのが初・宝塚だったんです。その時の作品が、真琴つばささんが主演していた月組の『ノバ・ボサ・ノバ』('99年)なんです!

一同 わーー!

夢咲 初めて宝塚を観て「なんだこの世界は!」と衝撃を受けたのですが、中でも真琴つばささん・檀れいさん・紫吹淳さんのトライアングルが神すぎて……。私、絶対ここに入る! と決めたきっかけの作品です。たまちゃん(珠城)と同じく、私もその後『ノバ・ボサ・ノバ』に出演した時に('11年)、式典のようなイベントがあって、その時に真琴さんがいらして、舞台上でご一緒させてもらいました。その時も胸アツだったのですが、退団後またこうして共演させていただくことが本当に嬉しく、幸せです。

花乃 こういうお話をしていると、ああ、宝塚……! と思います。みんなにそれぞれ初観劇の思い出があって、ご縁が繋がっていくお話をお聞きするだけで幸せな気持ちになれる。私はこれだけでごはんが3杯食べられます(笑)。私は月組さんの『スカーレット ピンパーネル』('10年)で初舞台を踏んだのですが、その時に新人公演で主演をされていたのが珠城さんでした……!

珠城 うんうん、花乃ちゃんは初舞台だったよね~。

花乃 そうなんです。珠城さんは、あの大曲の数々をまだ研3でやっていらして、みんなで「すごい……!」と感動して見ていました。しかも主演さんだったのですが、まだ研3でいらしたので、私たち初舞台生の面倒も見てくださっていて……。

珠城 そう、“下級生の長”と言われる研3だったから(笑)。

花乃 いまこういう形でまたご一緒できることが、とても嬉しいです。

湖月 いやー、この話題、盛り上がりましたねえ!

ミステリーの世界を皆さんと共有できたら

――最後にご覧になるお客さまへメッセージをお願いします。

花乃 物語も素晴らしく面白いですし、何といっても錚々たる先輩方とご一緒させていただき、とても華やかな舞台になると思います。大いに期待していただいて、劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。

夢咲 花乃ちゃんの言うとおり、豪華な皆さんと一緒に、しかもミュージカルではなくストレートプレイ、お芝居で魅せるというのが画期的なことだと思います。きっと人間臭いところもたくさん出しつつ、私たちだからこそぶつかり合って、そこから生まれるだろう濃くも華やかなものが私自身も楽しみです。ぜひ、観にいらしてもらえたら嬉しいです。

珠城 この『8人の女たち』は色々な形で何度も上演されている作品です。再演されるということは魅力がある作品だということですし、今上演されることにも意味があると思います。その意味を私も、素晴らしい共演者の皆さまと一緒に探していきたいです。また個人的には宝塚を退団し、舞台で女性役を演じるのが初めてになります。皆さんから色々なことを吸収し、自分なりのピエレットを作っていけるよう頑張りたいです。

湖月 台本をいただいて、皆さんが演じることを想像して読んでいるだけで「これは面白くならないはずはない」と確信しています。このミステリーの世界を皆さんと共有できたらと思いますので、ぜひ楽しみに、いらしてください。

取材・文:平野祥恵 撮影:吉原朱美

<公演情報>
『8人の女たち』

【東京公演】
2022年8月27日(土)~2022年9月4日(日)
会場:サンシャイン劇場

【大阪公演】
2022年9月9日(金)~2022年9月12日(月)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

チケット情報はこちら:
https://w.pia.jp/t/8femmes/

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