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竹内涼真×横浜流星、緊張と期待の中で通じ合うふたり。映画『アキラとあきら』現場レポート①

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『アキラとあきら』 (C)2022「アキラとあきら」製作委員会

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『半沢直樹』『陸王』などを手がけたベストセラー作家・池井戸潤の同名小説を映画化した映画『アキラとあきら』が8月26日(金)より公開された。対照的な宿命を背負ったふたりの若者が、情熱と信念だけを武器に社会に立ち向かうさまを描いた本作。ダブル主演を務める竹内涼真と横浜流星が、初めて一緒に芝居をするシーンに密着した。(『アキラとあきら』現場レポート全4回中第1回)

竹内と横浜から放たれる、息を呑むほどの存在感

緊張感と期待感。そのシーンを劇場のスクリーンで目にする方もそれを感じるはずだが、撮影の現場においてもその場面にはある種の緊張感と期待感が漂っていた。竹内涼真と横浜流星が並び立ち、向き合う。ふたりは初共演にして、尚且つ本作の撮影において初めて一緒に芝居をするのがこの場面で、そこに加えて両者が対峙してぶつかるシーンでもある。

池井戸潤の同名小説を原作とした『アキラとあきら』。同じ名前を持ちながら、まるで異なる境遇の下で育った“アキラ”と“あきら”が、揃って日本有数のメガバンク・産業中央銀行に入行。共に有望株として切磋琢磨するふたりの運命がある局面で交差して、それぞれの宿命に立ち向かうことになるという、異色の経済ドラマにして出色の青春ドラマだ。

竹内が演じるのは、父の町工場の倒産から辛い幼少時代を送り、人を救うバンカーになるという理想を抱く有能で熱き銀行員・山崎瑛。それに対して、老舗海運会社・東海郵船の御曹司で、冷静沈着で頭脳明晰なエリート銀行員・階堂彬を横浜が演じる。

『アキラとあきら』

冒頭で記した場面は、新入行員研修後の打ち上げのシーン。それぞれチームを率いて競ってきた山崎と階堂が、研修のプレゼンテーションを振り返りながら、お互いの胸の内をぶつけ合うことになる。

撮影が行われたのは、本編のインから2日目の2021年7月21日。前日20日の初日から竹内、横浜とも出番があったが、それぞれの研修チームでのシーンを撮影していたため、共演はなし。撮影現場においては、この日が初顔合わせとなった。

ロケ場所は、港区にある東京湾に面したレストラン。仲間たちが店内で騒いでいる中、ひとり外れてテラスで夜風に当たっている階堂のもとに、山崎がやって来る。

ナイトシーンのため、夕方から段取りを始めて、日が暮れてから撮影となったが、海をバックにスーツ姿のふたりが隣り合っているだけでそれこそ緊張感と期待感が十分だ。その容姿と体格とオーラで、目を見張るのはもちろん、息を呑ませるほどの存在感がある。

動と静。竹内と横浜には、それぞれそんなイメージがあるかもしれない。そうした意味でも山崎と階堂の配役はぴったりだが、山崎が熱いだけでは、また階堂もクールなだけではないように、竹内と横浜もそこにとどまらない。いや、そんなふたりだからこそ、山崎も階堂も型どおりではない奥深い人間味を感じさせる人物となっている。

山崎を煽るような階堂の言い草。階堂を圧するような山崎の言い様。そこに山崎の優しさも階堂の哀しさもにじむ。繰り返せば、まだ撮影2日目。それでもそこにはこれまで背負ってきたものを血肉としてきた、山崎と階堂が確かにいる。タイプや見た目は違っても、共に一流であるというのも、山崎と階堂のコンビ、そして竹内と横浜のコンビの共通点だろう。

対峙シーンで見せたそれぞれの現場の臨み方

『アキラとあきら』

現場の臨み方自体は、ふたりはやはりそれぞれ異なる。本作のメガホンを取った三木孝浩監督は、キャスト陣と話し合いながら芝居を固めてシーンを作っていくが、その中で率先して意見やアイデアを出していくのが竹内だ。

例えばこのテラスのシーンでも、段取り、カット毎のテストを経て、「あの感じで動こうと思います」と監督に確認を取っていた竹内。一方、横浜は同じ確認にしても、本番を終えたところで監督にあらためて是非を伺う姿が見られた。

事前に決める竹内の方が慎重で横浜の方が果敢だとも、事後を気にする横浜の方が念入りで竹内の方が大胆だとも言える。また実は竹内こそ静の理論の人で、横浜こそ動の行動の人にも思えてくる。しかし、どちらも突き詰めて芝居を考えているというのは一緒で、目指す高みももちろん同じ。違うけれど、重なり合う。そこがまた面白い。

後日の撮影で、こんな印象的な姿があった。やはり山崎と階堂が対峙する場面。本番が終わって、ふたりはカットの態勢のまま顔を見合わせて監督のジャッジを待つ。監督から帰って来たのは、「もう1回いきます」の声。見ている分には素晴らしい芝居だったが、竹内と横浜は監督の言葉を受けて、頷き合っていた。言葉は交わさずとも、それぞれ自分の芝居にも相手の芝居にもなにか引っかかるところがあったのか、納得とばかりにただ頷き合って、また体勢を立て直す。重なり合っているだけでなく、通じ合ってもいるのだ。

手つなぎショット実現!? 素顔のふたりの心の距離は?

息が合うと言えば、宣伝用の撮影。今回、SNS用として撮影合間にさまざまなふたりの姿が撮影されていたが、ある日の撮影では本編では絶対観られない、ふたりの手つなぎショットが実現。これはスタッフが指示したものではなく、遊びの中でたまたま気が合って出たもの。その画像を見て、横浜は「これを映画のポスターに!?(笑)」と冗談を飛ばしていた。

そんなふたりがもたらす、緊張感と期待感。少なくとも撮影現場においては、またふたりの撮影風景を取材する者にとっては、素顔のふたりの距離がどんなふうに近づいていくのかという点でも緊張感と期待感があった。

話を戻して、レストランのテラスのシーン。立ち位置についたまま、監督とスタッフの打ち合わせと準備が終わるのを待つふたり。体的な距離は近いが、心的な距離はまだありそうなふたり。そこで口を開いたのは、竹内だった。

身体を横浜の方に向けて、「流星くんは……」と竹内が話しかける。ロケ地の近辺の話から始まって、やがてはふたりして海を見ながらお互い知っている場所や店の話題で盛り上がっていた。

思えば、衝突こそしてしまうがテラスのシーンで最初に口を開いたのも、竹内扮する山崎だ。話しかけた竹内にしても、話しかけられた横浜にしても、文字どおり緊張感と期待感でいっぱいだったかもしれない。しかし、きっかけさえあればいい。徐々に打ち解けていったようで、合間には、竹内が横浜に自分のネクタイの結び目をチェックしてもらうという和やかな姿も見られた。

『アキラとあきら』メイキング

この日の撮影が終わって撤収が始まる中、スタンバイ場所に戻ろうとする横浜に竹内が「流星くん!」と声を掛けた。「ちょっと見ていかない?」。ちょうど監督がモニターベースで手前の撮影シーンの確認を再度しようとしていたところで、横浜も駆け寄る。

モニター画面の中、「人を信用できない人間が、人に金なんて貸せるのか」と迫る山崎に、階堂が「俺はただ、共感や同情で金を貸したくないだけだ」と言い放って去っていく。一方、モニター画面の外では、ここでも頷き合い、そして顔を見合わせて微笑み合っていたふたり。

もはやそこに懸念事項としての緊張感はない。もちろん物語上や芝居上の緊張感はあっても、あとはふたりが織りなす作品に対する期待感しかない。そしてそれは、確実に感動という結果となって戻ってくる。『アキラとあきら』にぜひ緊張して、期待してほしい。



取材・文:渡辺水央



『アキラとあきら』
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(C)2022「アキラとあきら」製作委員会

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