【ライブレポート】Kroi、自身初の全国ツアー開幕。強烈な求心力を放つライブパフォーマンス
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「Kroi Live Tour 2022“BROADCAST”」9月4日 Yokohama Bay Hall Photo:jacK
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すべて見る2018年結成、ファンクにヒップホップ、ソウルにR&Bにロック……とにかくかっこよくて気持ちいいと思えばなんでも取り入れる貪欲さと雑食性、そしてそれをことごとくアリにしてしまう演奏力とキャラクターによってシーンの中で唯一無二のポジションを掴み取りつつある5人組。それがKroi(クロイ)というバンドである。
CMタイアップなどによってその魅力はじわじわと広がり、中毒者を増やし始めている彼ら。今年7月にリリースされた最新アルバム『telegraph』はサウンドもメロディもグッとポップさを増し、そんな状況に真正面から向き合うような力作となった。
その『telegraph』を引っ提げて展開する全国ツアー「Kroi Live Tour 2022 “BROADCAST”」の初日が、9月4日、Yokohama Bay Hallにて開催された。フロアを埋め尽くしたオーディエンスを前に、どこまでも自然体で今の最強ぶりを見せつけるライブは期待をはるかに超えるものだった。成り行き任せのようで超緻密、ちょっとした偶然やアクシデントまでもエンターテインメントに変えてしまうステージは強烈な求心力を放っていた。
ピカチュウがプリントされた青いTシャツを着た内田怜央(Vo)の「HEY YO! みなさん調子どう?」という声から始まったライブは、当然ながら『telegraph』の楽曲が中心に構成されている。とくに前半はその色合いが強いのだが、ライブで観ると改めてその楽曲の強度を実感させられる。ブルージーな土の香りが最終的に宇宙にまで到達してしまうような「Funky GUNSLINGER」やサイケな音像の中でヴォーカルワークも含めてリズムの快楽を徹底的に追求する「Pixie」など、噛めば噛むほど味が出るタイプの楽曲を、いともやすやすとぶん回すだけでなく、それによってフロアに手拍子やダンスの大きな波を巻き起こしてしまう。
常にアイコンタクトを取りながら呼吸を合わせていくアンサンブルと、それを仕切りながらも誰よりも自由自在に変化していく内田の歌。単に曲がというだけでなく、そのしなやかな佇まいこそがポップである。リフレインが強烈に頭に残る「Juden」などはライブでもその存在感を遺憾なく発揮。内田がボンゴをポコポコ叩きながら歌う光景はすでにKroiのライブのハイライトになっているが、やはり圧倒的にキャッチーだ。
益田英知(Ds)の重量級のドラムと関将典(Ba)の表情豊かなベースプレイ、そこに千葉大樹(Key)のキーボードとコーラスが色を塗り、長谷部悠生(Gt)のハードロック・ギターが最後の一味を付け足す。ギターに関していえば最後の一味どころか最後の最後にステージの最前まで出てきてド派手なソロをかまして全部をかっさらっていくようなシーンすらあるわけだが、見た目も音楽的な背景もバラバラな5人が趣味と嗜好を持ち寄ってごった煮にしていく、これこそミクスチャーの醍醐味だ。
「シーブリーズ」の香りが漂ってきそうなKroi流の夏ソング「熱海」からゴリゴリのファンクネスが炸裂する「Shincha」、粘っこいグルーヴがどうしようもなく気持ちいい「帰路」のような楽曲までを自由に行き来しつつ(内田は「やりたい放題やる」と言っていたがまさにそのとおり)、要所要所で強烈なフックをぶちかます。1曲ごとに煙に巻かれてあらぬ場所に連れていかれるような感覚で、ライブも半分を超える頃にはすっかり酩酊状態だった。
ここまで書いてきて、これだとめちゃくちゃ玄人好みのバンドみたいだなと思ったが、もちろんKroiはそれだけではない。というか、この日もライブ中ずっと手拍子が鳴り響いていたことからもわかる通り、めちゃくちゃオーディエンス参加型のバンドでもある。奇想天外な展開やノリにくいリズムもたくさんあるのに、それについていくお客さんは本当にすごいし、そうした濃いファンベースががっちり付いているというのもこのバンドのおもしろさだろう。
「Page」や「Fire Brain」のような曲はお客さんの手拍子も楽曲を構成する重要なピースのひとつになっていた。そうしたファンとバンドの信頼関係もあるからだろう、MCではライブのことをすっかり忘れたかのように雑談に興じ(「トークショーかよ」と自分で自分にツッコんでいた)、横浜ということでライブの合間に中華街で買ってきたと思しきお菓子や春巻や餃子を頬張り(内田はアンコールでフォーチュンクッキーにも初挑戦)、誰よりも5人がこの時間と場所を楽しんでいるのが伝わってきた。
ちなみにKroiはこのライブの前日にも横浜・赤レンガ倉庫で開催された「Local Green Festival」に出演しており、2日間連続で横浜でのライブ。このベイホールからも程近い中華街に行きまくっていたようだ。
「WATAGUMO」ではクライマックスのところを内田ではなく益田が朗々と歌い上げる予想外の展開で楽しませ、内田の「残り3曲です」という言葉に対しては声を出せないお客さんの代わりにメンバーが全力で「えー!」と声を挙げる。「Network」の途中では内田が後ろの益田のほうを振り向いていきなり「さっきから何やっとんねんお前!」とツッコむ。どうやらスネアのスナッピー(裏側に張られたバネみたいなやつ)をオンにし忘れたらしい。たぶんオーディエンスはほとんど気づいていなかったと思うが、それでも曲の途中で即座にツッコむところにこのバンドのこだわりを感じたし、しかもそれを「(お客さんに)スネアの構造を理解してもらおうと思って」と笑いに変えてしまうところもさすがだった。
アンコールではまたしても中華街ネタ。益田がブルース・リーの黄色いトラックスーツ、長谷部がキョンシーのコスプレで登場し、ブルース益田が中華街の武器屋(ってあるの?)で買ったヌンチャクを振り回して長谷部キョンシーをやっつけるという小芝居を披露して盛り上げた。益田は家からそのトラックスーツを着てバイクに乗ってきたらしいが、そうしたエンタメ精神もちゃんと出し切り、しかし音楽的にはアンコールでもやはり圧倒的なものを見せつけて、Kroiのツアー初日は幕を閉じた。
この日初披露となった曲もあり、それが今後のツアーの中でどう育っていくのか、そしてファイナルのZepp DiverCityと追加公演として発表されたLINE CUBE SHIBUYAでどうなっているのか。今からとても楽しみだ。
Text:小川智宏 Photo:jacK
<リリース情報>
Kroi 2nd album『telegraph』
Now On Sale
●CD+Blu-ray:4,950円(税込)
●CD+DVD:4,950円(税込)
●CD Only:2,970円(税込)
【CD収録内容】※全形態共通
1. Drippin' Desert
2. Funky GUNSLINGER
3. Pixie
4. Not Forever
5. Juden
6. banana
7. 熱海
8. Airport
9. Small World
10. Correction
11. Go through
12. Never Ending Story
13. WATAGUMO
【DVD / Blu-ray 収録内容】
■Kroi Live Tour 2022『Survive』from 2022.05.25 Zepp DiverCity
1. Small World
2. Mr. Foundation
3. sanso
4. Balmy Life
5. Juden
6. selva
7. Page
8. flight
9. 侵攻
10. Monster Play
11. Pixie
12. Never Ending Story
13. Polyester
14. 帰路
15. Custard
16. Network
17. Shincha
18. HORN
19. WATAGUMO
20. Fire Brain
21. Suck a Lemmon
Bonus Track
『Kroi Live Tour 2022「Survive」』“Behind The Scenes”
CD購入リンク:
https://lnk.to/2ndALtelegraph
配信リンク:
https://lnk.to/telegraph
特設サイト:
https://telegraph.ponycanyon.co.jp/
<ツアー情報>
Kroi Live Tour 2022“BROADCAST”
※終了分は割愛
9月22日(木) 栃木・HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2
9月23日(金・祝) 宮城・仙台 Rensa
9月25日(日) 北海道・札幌 PENNY LANE 24
10月1日(土) 香川・高松 DIME
10月2日(日) 愛知・名古屋 THE BOTTOM LINE
10月7日(金) 京都・京都磔磔
10月8日(土) 兵庫・神戸 チキンジョージ
10月10日(月) 広島・広島 CLUB QUATTRO
10月14日(金) 福岡・福岡 DRUM LOGOS
10月16日(日) 熊本・熊本 B.9 V1
10月23日(日) 新潟・新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
10月29日(土) 茨城・水戸 LIGHT HOUSE
10月30日(日) 千葉・柏 PALOOZA
11月3日(木・祝) 大阪・なんば Hatch
11月16日(水) 東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
2023年1月8日(日) 東京・LINE CUBE SHIBUYA
【チケット情報】
前売:4,500円
※未就学児童入場不可 / 小学生以上チケット必要
※ドリンク代別途必要
※公演前に発表する注意事項をご確認の上、ご来場をいただきますようお願い申し上げます。
チケット購入リンク:
https://w.pia.jp/t/kroi-t/
<ライブ情報>
TONAL TOKYO
10月29日(土) 東京・有明アリーナ
出演:CHARLI XCX / JAMIE XX / Years & Years / LANY / Rhye / Tempalay / Tohji / Kroi ほか
イベント公式サイト:
https://tonal.tokyo/
関連リンク
Kroi HP / ECサイト
ECサイト:https://store.kroi.net
Kroi SNS
Twitter:
https://twitter.com/KroiOfficial
Instagram:
https://www.instagram.com/kroi_official/
YouTube:
https://www.youtube.com/channel/UCc9CJVSnJx5WTq8E9T4bIoA
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