【ライブレポート】リフの惑星2年ぶりワンマン『リフレインが叫んでる』、音楽の持つ力を改めて感じられた一夜
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『リフレインが叫んでる』より 撮影:みらくる
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すべて見る下北沢を中心に活動する4ピース、リフの惑星のワンマンライブ『リフレインが叫んでる』が9月16日に下北沢Flowers Loftで開催された。2016年に結成し、2019年に緒方良(Vo / G)、大月優(G)、小林亮平(B)、松丸怜吾(Ds)の現体制となって活動をしてきたリフの惑星だが、ワンマンライブを行なうのは2年ぶり、2度目。現在、7月から4カ月連続でシングルを配信リリース中で勢いづいているところでのワンマンとなる。ライブは、その4カ月連続リリースの第1弾「RATATAT」でパワフルにスタートした。
松丸がダンサブルなビートを打ち鳴らすなか、緒方が「はじめまして、俺たちがリフの惑星です」と声をあげると、バンド名通りの印象的なギターリフが冴える。ガレージロックの直線的なエネルギーを放つ「RATATAT」だが、バンドアンサンブルの絡みが濃くなるにつれて、サイケデリックなムードも醸す。
モノトーンのジャケットやシャツ姿の4人だがそのアンサンブルは鮮やか、かつ饒舌で、「sixteen」「blue Monday」と加速しながら、4人のグルーヴに音空間に観客を引っ張り込んでいく。続く「j pop fan club」と「tonight」は緒方のハイトーンボーカルがより映える曲で、グルービーな松丸と小林のビートと大月のギターがキレを増すほどに、歌声やメロディが持つ憂いや翳りの成分が染み出してサウンドをエモーショナルに包む。久しぶりのワンマンということで、序盤はフロアとステージとの緊張感がぶつかり合う感覚もあったが、次第に両者の熱が溶け合ったいいケミストリーが生まれている。
「今日はリフの惑星ワンマンライブ“リフレインが叫んでる”にお越しいただいて、本当に本当にありがとうございます」と改めて挨拶をした緒方。4、5バンドが出演する対バンライブではバンドのことを知ってもらおうとMCでも気負うことがあるが、今日は自分たちのお客さんだけという安心感があるという。「2年ぶりのワンマン……もっと早くやればよかった」と笑顔を見せると観客から大きな拍手が湧いた。そして中盤はさらに密度の高いアンサンブルを響かせる。その1曲目が「heavy」。大月による骨太なギターが轟き、どっしりとしたビートと絡み合っていく。ドラマティックなフレージングやソロで魅せながらサウンドを彩り、曲のエネルギーやハイトーンのシャウトの温度も上げていく、ギターオリエンテッドなロック。そのダイナミズムと、人力だからこそのロマンスを追求する姿が、凛々しく映り出される曲だ。
UKロック的な哀愁と繊細な歌心が重なり合う「bad dream」から「friday night」へと、叙情性を高めていく流れもまたいい。メロディに寄り添うようなベースラインが、切なさの琴線に触れる。そこに響きわたった「anthem」のビッグなメロディと泣きのギターが呼ぶカタルシスは、会場を一体にしていった。
ライブ後半へと向かうなかでメンバー紹介が行なわれ、ドラム松丸は「僕も働いているので、金曜日の夜、19時に下北沢にくることはハードルが高いことだと思ってます。でもこうして集まってくれてうれしい。最後まで楽しんでいってほしい」と語る。緒方もまた「いろいろ何を言うかも考えていたけど、ありがとうという言葉しかない」と楽しそうにフロアを眺める。そしてまだまだ楽しんでと、再び「boys don’t cry」「spangle」とアップテンポのナンバーを畳み掛けて、高揚感溢れるシンバルのカウントとともに「dive」で陶酔感のあるサウンドへと観客を飛び込ませていった。
フロアは、ハンドクラップをしたり、コブシが掲げられ、続く「フライベイビー」では緒方がギターを置いてダンサブルなビートに体をあずけて、フィジカルなサウンドを生み出していく。ハイボルテージな曲を連投し、このブロックが終わった頃にはメンバーそれぞれ息も絶え絶えだったが(久しぶりのワンマンというペース配分の難しさもあっただろうが)、4人ともに晴れ晴れとした表情だ。
最後の曲にいく前に緒方は、「この2カ月個人的に苦しいことがあって、これまではバンドをやってきて楽しいことばかりだったけれど、辞めてしまおうかと思うこともあった」と打ち明けた。この日、何度も観客への感謝を口にしていたのも、そうした思いがあったからこそだろう。改めてこのワンマンが開催できたこと、そしてたくさんの人が集まってくれたことに感謝の思いを告げると、ラストは9月14日に配信されたばかりの「FANFARE」を披露した。《響くファファーレが 終わってしまっても この街で僕らは生きる 最後の願いよ届いてくれ》(「FANFARE」)。がなるように歌うこのフレーズが、様々な思いを乗せていちだんと強く、大きく響く。今回の4カ月連続の配信シングルの曲は、2020年のアルバム『odds and ends』に収録されていた曲たちでもある。書き下ろされたばかりの新しい曲ではないけれども、活動を重ね、ライブを重ねていくなかで、その曲が豊かに育ち、新たな物語をも飲み込んでタフになっていく。そんな音楽の持つ力が、改めて感じられた。
バンドに送られた大きな拍手はすぐにアンコールを求める手拍子になって、再びステージへと登場した4人。そこにはホッとした笑顔が溢れる。無事ワンマンを終えるというところでリラックスもしているのか、告知することを忘れそうになりながらも、12月には再びこのFlowers Loftで自主企画ライブを開催すること、そして10月に4カ月連続シングルのラスト「BOY」がリリースとなることを発表。アンコールではその「BOY」と、8月にリリースとなった「MUSIC」が演奏され、アンセミックなロックンロールにコブシがつきあがるなか「俺たちがリフの惑星でした、またいつかどこかで」(緒方)と白熱のステージを締めくくった。
この後もアンコールを求める観客の手拍子が大きくなるばかりだったが、「ごめん、曲がないんです」と顔をほころばせた4人は、改めて観客に挨拶。この熱狂は次なるライブ、ワンマンへと続いていく。
Text=吉羽さおり
Photo=みらくる(https://www.instagram.com/miracle95627/)
<公演情報>
リフの惑星のワンマンライブ『リフレインが叫んでる』
2022年9月16日(金) 東京・下北沢Flowers Loft
【セットリスト】
01. RATATAT
02. sixteen
03. blue monday
04. j pop fanclub
05. tonight
06. heavy
07. bad dream
08. Friday night
09. anthem
10. boys don’t cry
11. spangle
12. dive
13. フライベイビー
14. FANFARE
EN. BOY
EN. MUSIC
<リリース情報>
4カ月連続シングル 第4弾「BOY」
2022年10月19日(水) 配信リリース予定
第1弾「RATATAT」
配信リンク:
https://linkco.re/XMzcPSXH
「RATATAT」MV
第2弾「MUSIC」
配信リンク:
https://linkco.re/GBM9pqrs
第3弾「FANFARE」
配信リンク:
https://linkco.re/s41xZbnc
<ライブ情報>
『FM802 MINAMI WHEEL 2022』
2022年10月8日(土)〜10日(月・祝)
※リフの惑星は10月10日(月・祝) 17:00〜 OSAKA RUIDOに登場
詳細はこちら:
https://minamiwheel.jp
『Groovy Park』
2022年10月20日(木) 下北沢DaisyBar
出演:カラコルムの山々 / 99-ROT / and more
料金:前売 2,300円 / 当日 2,500円
『SPRINGBOARD FESTIVAL』
2022年11月18日(金) 新宿ReNY
出演:ルサンチマン / Suspended 4th
料金:3,500円+Drink代 600円
<プロフィール>
メンバー:小林亮平(B)、緒方良(Vo)、松丸怜吾(Ds)、大月優(G)。緒方と小林により2016年結成。その後2019年に大月と松丸が加入し、現在の4人編成となる。バンド名に冠した叙情的なギターリフとダンサブルなビート、普遍的なメロディが観る者を聴き踊らせるロックバンド。東京・下北沢を中心に活動中。
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