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ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > 【おとな向け映画ガイド】時間ものの新機軸! だけじゃない。観ると元気もでる『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』

【おとな向け映画ガイド】時間ものの新機軸! だけじゃない。観ると元気もでる『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』

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イラストレーション:高松啓二

今週末(10月14日〜15日)の公開映画数は18本。全国100館以上で拡大公開される作品が『耳をすませば』『カラダ探し』『スペンサー ダイアナの決意』『もっと超越した所へ。』の4本、中規模公開・ミニシアター系が14本です。今回は14日に東京・大阪・名古屋で先行公開し28日から全国公開される『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』をご紹介します。

『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』

よくあるタイムループもの、それも日本製、ときたらパスという人が多いと思います。早まってはいけない。この映画、面白い!です。

同じ時間が繰り返されてもそれに気づくのは主人公だけ、なんとかこのループから抜け出そうとひとりでがんばる。が、たいてい時間切れ。本作では気づくのが本人だけじゃない、ってところが新機軸。会社の、あるセクションのスタッフ全員が気づいてしまう。ひとり上司の部長だけが、状況を理解できない。しかも、彼こそが、ループの原因を作りだしている?としたら……。長い映画のタイトルはそんなイミだ。

舞台は、東京の小さな広告制作会社。大手の広告代理店からの受け仕事は無理難題ばかり。それに対応するためスタッフは徹夜続き。ほぼブラック企業といっていい。ある月曜日の朝。いつものことだが、机のまわりには仮眠中もごろごろいる。そこへ、「えーみんな徹夜〜、若いね」なんていいながら、劣悪な労働環境を意に介さない図太い精神の部長が出勤してくるところから、お話は始まる。

主人公は中堅女子社員の吉川。円井わんが演じている。できるCMプランナーだ。その能力を買われ、ステップアップのチャンス、転職の引きがきているところ。週初めからプレゼンの準備で寝る暇もないのだが、後輩二人組(長村航希、三河悠冴)からある相談を持ちかけられる。「先輩、僕たち、同じ一週間を繰り返していません?」。確かにそういえば……、なんか同じことを繰り返している気もしないではない。

後輩ふたりはその証拠を説明しだす。窓に鳩が追突する事故が起きる。窓の外、ビルの前の横断歩道で起きていること、これから起きることをこと細かに話し出す。あの女性がハンカチを落とし、それをあの男性は拾って……。確かにふたりは次々と言い当てる。さらに、この珍事の原因は、部長にある、というのだ。とはいえ、直接部長にいうのは角が立つ。まず先輩を説得し、その上司、次にさらに上の上司へと進んでいく。タイムワープは確かにこの「部」におきているのだ。

毎週の繰り返しで、仕事の手際がどんどんよくなっていく展開がおかしい。なにせ、取引先からの依頼が同じ。何度もやっていれば、どうすればOKが出やすいかもわかる。超特急のレスポンス要求にも驚かない。タイムワープも悪くないんじゃないか、なんて、ここだけは思ったりする。

映画のなかで最高に目立つのが、部長役のマキタスポーツだ。『苦役列車』でブルーリボン賞新人賞を受賞、最近では『きのう何食べた?』のケンジ(内藤聖陽)が勤める美容室の店長役でおなじみ。今回は、スーツにネクタイの管理職役だが、ひたすらチョーシよく、親父ギャグをとばす、どこかに絶対いる役どころだ。

監督はCM、YouTubeオリジナルコンテンツ制作会社出身の竹林亮。監督・原案・共同脚本を担当したYoutube短篇映画『ハロー!ブランニューワールド』(動画名:もう限界。無理。逃げだしたい。)が国内外で5000万回以上再生され、メディアの賞も受賞、2021年の長編デビュー作『14歳の栞』は1館からのスタートだったが、SNSで話題となり36都市での公開まで広がった。

本作は、竹林と、『ハロー…』を共作した夏生さえりのオリジナル脚本だ。竹林の所属する会社の社長が、毎年1月になると、決まって「今年はこんなことをする!」と熱のこもったツイートをする人で、社員は「もしかしてタイムワープしてんじゃない」と話していた。そんなちょっとした冗談からストーリーを発展させたという。

月曜日、というのがまたいい狙い目だ。ブルーマンデー、やれやれ、また会社にいかなきゃいけない、月曜の繰り返し。だから“MONDAYS”とタイトルも複数だ。同じことの繰り返しなら、FRIDAYSの方が気が楽だな。金〜日のループならいうことない。

【ぴあ水先案内から】

佐々木俊尚さん(フリージャーナリスト)
「……「広告制作会社のブラック労働で社畜全員が疲弊し続ける」という現代日本らしい設定とミックスしたところが実に秀逸でおもしろすぎる。……」

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