世界の厳選ホラーが日本に集結！　全5ページ構成の大ボリュームでお届け
シッチェス映画祭
ファンタスティックセレクション2022特集

最古で最大のホラー映画の祭典
シッチェス映画祭とは？

1968年に創設され、スペイン、バルセロナ近郊のシッチェスで毎年10月に開催されている権威ある映画祭。上映されるのはSFやホラー、スリラーなどのファンタジー系作品で、ブリュッセルやポルトと並び、三大国際ファンタスティック映画祭と称される。

熱狂的なファンに支えられており、しばし招かれる三池崇史監督もファンを自認。近年はアニメーションの編成にも精力的だ。日本では、この映画祭で好評を博した作品を紹介する＜シッチェス映画祭ファンタスティックシネマコレクション＞が2012年より開催されており、今回で9回目を迎える。

ゾンビ、カニバリズム、吸血鬼…ホラーファン垂涎の
2022年ラインナップ6作品を紹介！

『パラミドロ』

寄生するエイリアンの脅威！　スペイン発のユニークな一本

シッチェスがあるスペインはホラー映画の本場で、多彩な作品が作られているが、これもユニークな一本。ライドシェア用ワゴンの運転手に転身した元闘牛士と、女性の客3人が、怪我をした女性ハイカーを助けたことから、人の体に寄生するエイリアンの脅威にさらされる。次から次へと寄生され、グロテスクな変異を遂げる客たち。夜のライドの旅の中、彼らはこの極限状態を乗り切ることができるのか？

『スピーシーズ　種の起源』を思わせる寄生のスリルに、ブラックユーモアが入り混じる。主人公の運転手はゲスな発言を連発する女性蔑視者で、そんな彼が次々と寄生される女性客たちに手を焼く姿が面白い。何気にジェンダーの問題に切り込んだ社会派映画!?

【DATA】

監督：ラウル・セレッソ、フェルナンド・ゴンザレス・ゴメス
出演：ラミロ・ブラス、セシリア・スアレス、パウラ・ガジェゴ
原題：THE PASSENGER
2021年／スペイン／90分

©2021 Person´s Films/la Dalia Films

『ヴィ―ガンズ・ハム』

残虐行為をポップに活写！　毒気たっぷりカニバリズム・コメディ

フランスのコメディアン、ファブリス・エブエが監督・主演を務めた、毒気たっぷりのカニバリズム・コメディ。主人公は精肉店を営む初老の夫婦。経営難に悩まされるばかりか、ヴィーガン活動家の店荒らしに遭った彼らは、活動家のひとりを捕まえ、殺してしまう。死体処理に困ったあげく、それをハムに加工してしまう店主。ところが、これが美味と評判を呼んでしまったことにより、夫婦は憎きヴィーガン狩りを続け、おいしいお肉の販売に精を出す！

狂信的なヴィーガン信仰から食品消費までを徹底的に笑い飛ばしつつ、主人公たちの残虐行為をポップに活写。愛娘にヴィーガン思想を植え付けてしまった、その恋人をも殺害しようとする、彼らの暴走に注目を！

【DATA】

監督：ファブリス・エブエ
出演：マリナ・フォイス、ファブリス・エブエ、ジャン＝フランソワ・キエレイ、リサ・ド・クート・テイシェイラ
原題：BARBAQUE
2021年／フランス／87分

©2021 –Cinéfrance Studios –TF1 Studio –Apollo Films Distribution –TF1 Films Production –Chez FélixCinéfrance SAS –Cinéfrance Plus –Cinéfrance 1888

『呪われた息子の母 ローラ』

母子の8年に渡る逃亡を、トリッキーな構成で描く衝撃作

強い絆で結ばれ、幸福に暮らしているシングルマザーと幼い息子。しかし、彼らにはカルト教団から逃げ出した過去があった。ある夜、眠っている息子が正体不明の人々に取り囲まれているのを目撃した母は警察に訴えるも、不法侵入の形跡はないとの捜査結果が。このときから息子は奇病に冒されて苦しむようになり、母は彼を救おうと行動を起こすが……。

母と息子の8年に渡る逃亡の行方を、トリッキーな構成で描いた衝撃作。母が目にしたものは現実か、それとも幻想か？　無邪気な笑顔を振りまく息子が、ときおり邪悪な表情を見せるのはなぜ!?　2018年からスタートした『ハロウィン』シリーズの若きヒロイン、アンディ・マティチャックが主人公を熱演！

【DATA】

監督：アイヴァン・カヴァナー
出演：アンディ・マティチャック、エミール・ハーシュ、ルーク・デイヴィッド・ブラム、クランストン・ジョンソン
原題：SON
2021年／アイルランド、アメリカ、イギリス／98分

©AMN Productions LTD. t/a Park Films / Elastic Film Entertainment Ltd / Belladonna Productions Inc. 2020

『ゾンビ・サステナブル』

まさかの有効活用!?　持続可能な”ゾンビ、現る！

『ゾンビマックス！怒りのデス・ゾンビ』で注目されたオーストラリアの俊英キア・ローチ＝ターナーが新たに放つゾンビ・アクション。舞台は『マッド・マックス』シリーズを思わせる、文明が死に絶えた世界。ゾンビウイルスの治療薬を開発する謎の組織に仕えていた男が、ハイブリッドと呼ばれる半ゾンビ・半人間の女性と出会ったことから、悪徳組織に反旗を翻す！

面白いのは、ゾンビが生存者たちに“有効活用”されていること。その呼気はメタンガスを含むことからガソリン代わりとして利用されており、ガス欠になったら新たなゾンビを現地調達すればOK。発電のために自転車を漕がされるゾンビも登場。まさに、タイトルどおりのサステナブルな世界なのだ！

【DATA】

監督：キア・ローチ＝ターナー
出演：ルーク・マッケンジー、ジェイク・ライアン、ビアンカ・ブレイディ、ジェイ・ギャラガー
原題：WYRMWOOD APOCALYPSE
2021年／オーストラリア／90分

©2021 WYRMWOOD PRODUCTION HOLDINGS PTY LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

『ビハインド・ザ・ドア 誘拐』

少年が体験する恐怖。最後まで目が離せない米国製スリラー

恐怖とジュブナイルが一体となった米国製スリラー。キャッチボールをしていたときに、何者かに連れ去られた少年ボビーとケヴィン。ボビーは辛くも逃亡したが、ケヴィンの悲鳴を耳にして、親友を助け出そうとする。ケヴィンが囚われているのは、不気味な一軒家。そこに忍び込んだボビーは斧を振るう刺客の襲撃をはじめ、相次ぐ危機と対峙することになる……。

デイヴィッド・シャルボニエとジャスティン・パウエルの監督コンビは、『シャイニング』や『グーニーズ』など子供が恐怖に直面する作品から影響を受けたとのこと。スティーブン・キング作品を連想させる、少年たちの気持ちに寄り添った共感の描写も効いており、最後の最後まで目が離せない！

【DATA】

監督：デイヴィッド・シャルボニエ、ジャスティン・パウエル
出演：ロニー・チェイヴィス、エズラ・デューイ、クリステン・バウアー・ヴァン・ストラテン
原題：THE BOY BEHIND THE DOOR
2020年／アメリカ／88分

©2021 TBBTD LLC

『ぼくのデコ 23歳のヴァンパイア兄貴』

『道化死てるぜ！』監督作！　グロくて笑える吸血鬼映画

北欧ホラーの傑作『ぼくのエリ 200歳の少女』にオマージュを捧げたアイルランド映画。シッチェス映画祭のファンには『道化死てるぜ！』でなじみの深いコナー・マクマホン監督が、グロくて笑える吸血鬼映画を演出する。主人公はスーパーで働くハイティーンの若者マット。不意に訪ねてきた麻薬中毒の兄デコが、前夜に吸血鬼に噛まれてヴァンパイアとなっており、彼はとまどうばかり。街中にヴァンパイアが蔓延していくなか、マットは兄を生かすか殺すかの選択を迫られる！

吸血鬼になってもダメ人間のままであるデコのキャラや、ヴァンパイアを倒すための訓練など、スプラッター描写や恐怖のなかのユルいエピソードが、『ショーン・オブ・ザ・デッド』風で妙味！

【DATA】

監督：コナー・マクマホン
出演：カール・ライス、アンソニー・ヘッド、オーエン・ダフィ、ヒルダ・フェイ
原題：LET THE WRONG ONE IN
2021年／アイルランド／96分

©2021 Workshed Films Ltd.