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【ライブレポート】視線は世界 SiMがロックバンドとして極めて画期的なバーチャルプロダクションでの配信ライブ「SiM XR LiVE」を敢行

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ぴあ

『SiM XR LiVE』より

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TVアニメ『進撃の巨人 The Final Season Part 2』のオープニングテーマとなった「The Rumbling」が国内外で大きな反響を呼んでいるSiM。「The Rumbling」は、米ビルボード・ホットハードロックソングス・チャートで何度も1位を獲得しながら長期間チャート上位につけ、曲の持つ威力を印象付けた。国内では、全国のライブハウスをツアーするほかアリーナ会場を埋め、大型フェスでヘッドライナーに名を連ねるだけでなく、自ら野外フェス「DEAD POP FESTiVAL」を主催し、ロックバンドとして最前線を走り続けるSiMだが、これまで海外では無名だったと言っていい。

アニメのオープニングテーマとして書き下ろされたが、これぞSiMというダイナミックで物語性の高いバンドサウンドによる「The Rumbling」で世界の音楽シーンに楔を打ち込んだ事実はとても大きい。今年8月に開催したSiM初のアメリカでの単独公演「RUMBLE IN Los Angeles」はチケットが即完し、急遽会場を変えチケットが追加販売される盛況ぶりで、また北米最大のアニメイベント「Crunchyroll Expo 2022」にも出演し熱いパフォーマンスを見せた。

9月には、「The Rumbling」も収録された待望のEP『BEWARE』をリリース。その活動に注目が高まるなかで、9月30日に国内外のプラットフォームを通じ、世界各国で配信となったのが、バーチャルプロダクションシステムを用いたオンラインライブ「SiM XR LiVE」だ。国内のアーティストでは同システムを本格的に導入するのは極めて画期的な取り組みとなる。

この「SiM XR LiVE」開催のきっかけのひとつになったのが、「The Rumbling」のミュージックビデオだ。アニメ『進撃の巨人 The Final Season Part2』で物語を大きく動かしていく“地ならし”とアグレッシブなSiMのパフォーマンスを組み合わせ熱量の高い映像へと昇華したのは、初音ミクを生んだクリプトン・フューチャー・メディア株式会社とflapper3 Incという国内最先端の映像クリエイター陣。「SiM XR LiVE」ではこのチームが再集結して、SiMとともに新しいライブエンタテインメントを生み出した。その舞台となったのは、新しくできたHANEDA xR STUDIO。今後国内外のアーティストのライブ制作の新たな拠点としても機能しそうだ。

XR、バーチャルプロダクションシステムを使ったライブとはどういうものか。LEDヴィジョンに映像を投影する演出は、多くのライブやオンラインライブでもおなじみだが、このシステムではそこにバーチャルを融合してリアルタイムで仮想空間を構築していく。筆者はライブのゲネプロに立ち会わせてもらったが、目の前では床と背面がLEDヴィジョンのステージでSiMが演奏を繰り広げるなか、モニターに目をやるとそこには目の前の光景にはない空間の中でSiMが演奏をしており、頭が混乱してしまいそうだった。が、リアルなライブの醍醐味とはまた違った曲ごとに別世界に飛び込んでいくような幻惑的な体験は、SiMというバンドの持つ魅力そのもので面白い。

新たな試みであり“ライブ”であるゆえ、リハーサルは入念で、メンバーの立ち位置やカメラワーク、LEDの輝度など、細かな調整が重ねられた。MAH(Vo)、SHOW-HATE(Gt)、SIN(Ba)、GODRi(Ds)をとらえるのは7台ものカメラで、メンバーは曲ごとに動きの確認や、バーチャルとの融合でどうなるのかをチェックしながらリハーサルを進めていく。LEDのステージは見た目以上に熱いようで、4人とも序盤から汗だくになっていたが、その表情は真剣さと好奇心に満ちている。ともに作り上げる大勢のスタッフとともに、現場にはいいテンションが流れていた。

今回の「SiM XR LiVE」では全4曲。「The Rumbling」と、最新EP『BEWARE』から「Light it up」、そしてバンドの代表曲やライブ定番曲である「KiLLiNG ME」と「Devil in Your Heart」が演奏された。それぞれがどんな世界観となっているのかは、実際にライブを見て楽しんでほしいが、「The Rumbling」では再び「進撃の巨人」とコラボレーションし「The Rumbling featuring 進撃の巨人」として、壮大でエモーショナルなステージを展開している。ライブならではの高いボルテージと躍動感、これまでのオンラインライブやリアルのライブではできない演出とのフュージョンは「SiM XR LiVE」ならではものだ。

今回は、アーカイブ期間に1曲単位で購入・視聴が可能な単曲視聴券の販売も取り入れた。そこには、ひとりでも多くの人にライブを見てもらいたい、これがライブや、バンドへの入り口となればという思いがある。

活動をスタートして10数年、SiMは生のライブ、人々の汗とエネルギーが渦巻くライブハウスでのライブを大事に活動してきた。ハードコアパンクやメタル、レゲエといった反抗的、攻撃的な音楽を下地にしたラウドなサウンドで、全国各地のライブハウスを揺らし、また独自のポップな毒っぽさをブレンドしたキャッチーさでも、ラウド/エクストリーム・ミュージックのファンを超えてリスナーの裾野を広げてきた。自らフェスをオーガナイズし、自分たちのルールで多くの音楽ファンが楽しめる遊び場を作ろうと心を砕いてきたバンドだ。

コロナ禍でライブイベントの開催制限や、収容人数の制限等があり、SiMもまた理想とするライブができない悔しい経験をしてきたなかで、通常のオンラインライブともちがう、自分たちがワクワクできて、その音楽同様に刺激的かつ独自のエンターテインメントを提供できないか。そのひとつの、大きな一歩がこの「SiM XR LiVE」という形になった。

Interview about「SiM XR LiVE」Part①

Interview about「SiM XR LiVE」Part②

「SiM XR LiVE」開催にあたってのインタビューでMAH(Vo)は、「今回僕らがやるのも、ものすごくたくさんある表現の中のひとつでしかないんです。多分XR LIVEでできることはもっとたくさんあるので、これですべてを見たと思わないで、他のアーティストがやるんだったら、それも見て欲しいし。すごいものがどんどん生まれてくるんじゃないかと思う」と語っている。MAHの期待感にもあるように、コロナ禍で普及したオンラインライブは今後、様々な技術とアイディアでさらに発展していくだろう。今回ともにライブ制作を担ったぴあ株式会社はこうしたライブ、エンターテインメントを通じて、日本のアーティストやアニメ、クリエイターや最新技術を世界へと発信していく予定だ。

Text:吉羽さおり

<公演情報>
『SiM XR LiVE』

セットリスト

01. KiLLiNG ME
02. Devil in Your Heart
03. Light it up
04. The Rumbling featuring 進撃の巨人

アーカイブ期間:10月1日(土) 12:00~10月31日(月) 23:59

チケット料金:フルサイズ視聴券3,300円(税込) / 単曲視聴券880円(税込)

国内視聴チケット:
https://w.pia.jp/t/sim-xr-live/

海外視聴チケット:
https://sim.veeps.com/

特設サイト:
https://2022simxr.com/