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ルネサンスに輝くチェーザレの青春をミュージカルに 中川晃教×橘ケンチ×別所哲也インタビュー

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左から)橘ケンチ、中川晃教、別所哲也 撮影:源賀津己

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この作品で共演者として出会うことができた喜び

15世紀のイタリア、「ルネサンス」と呼ばれた時代を舞台に、カトリック教会の権力闘争や周辺諸国の政治的思惑が渦巻くなか、自分の理想を実現するための闘いを始めたチェーザレ・ボルジア。彼を主人公として惣領冬実が描いた傑作漫画が、ミュージカルとして生まれ変わる。1873(明治6)年の開場以来、長い歴史を誇る明治座が満を持してオリジナルミュージカルを生み出すのだ。150年に及ぶ劇場の歴史の中で初めてオーケストラピットが使用されることも、オーケストラの生演奏というミュージカルならではの楽しみを堪能させてくれるに違いない。

主人公・チェーザレを演じるのは、ミュージカルを中心に活躍している俳優の中でも人気・実力共トップクラスの中川晃教。冷静沈着な中にも熱さを秘めたチェーザレを、生き生きと表現してくれることだろう。実際、「まっすぐで素敵なチェーザレで、自慢の息子」と、その父でスペインの名門貴族ボルジア家の当主にしてカトリック教会の枢機卿、ロドリーゴ・ボルジアを演じる別所哲也も太鼓判を押す。その一方、「セリフ量もたぶん一番多いし、座長だから自分のことだけじゃなく、作品全体を見ていろいろなことに気配りしている。大変ですよね。そんなに無理しないで」と中川を気づかった。

そうした別所の優しさには、中川も「大きな懐に包まれている」と信頼を寄せる。俳優としての活動に加え、ラジオパーソナリティーやショートショートフィルムフェスティバル主宰などでも活躍する別所とは、お互いにミュージカルで活躍し続けながらも、これまで共演の機会がなかったと語る。だが今回、オリジナルミュージカルで初めて共演を果たし、「来るべき時に、こうやって出会わせていただいた」と喜んだ。

さらに、チェーザレが信頼を寄せる腹心の部下、ミゲル・ダ・コレッラ役に、EXILEのパフォーマーであり俳優としても活躍の幅を広げている橘ケンチ。ダンサーとしての印象が強い彼が、初めてミュージカル出演を果たす。別所は橘が出演する『THE ケンチマン』が大好きだったそうで、その彼の初ミュージカルで「一緒にいられることだけで嬉しい」という。

彼ら3人に加え、大学でチェーザレと深い関わりをもつ学生たちは「スクアドラ ヴェルデ」アンジェロ・ダ・カノッサ役:山崎大輝、ジョヴァンニ・デ・メディチ役:風間由次郎、ドラギニャッツォ役:近藤頌利(劇団Patch)、ロベルト役:木戸邑弥、そして「スクアドラ ロッサ」アンジェロ・ダ・カノッサ役:赤澤遼太郎、ジョヴァンニ・デ・メディチ役:鍵本輝、ドラギニャッツォ役:本田礼生、ロベルト役:健人のダブルチーム。若々しさとそれゆえのパワーとで、観客を魅了してくれることだろう。

ミュージカル『チェーザレ』メインビジュアル

ある意味、彼らとは対照的な存在である大人たちには、実力派の中堅・ベテランキャストが顔を揃えた。ロドリーゴと対立する枢機卿、ジュリアーノ・デッラ・ローヴェレ役に岡幸二郎、ボルジア家を支援するロレンツォ・デ・メディチ役に今拓哉、ピサ大司教を務めるラファエーレ・リアーリオ役に丘山晴己。さらに、チェーザレたちよりも前の時代の人物であり彼に大きな影響を与える存在として、『神曲』の著者として知られるダンテ・アリギエーリ役に藤岡正明、そのダンテが絶賛した神聖ローマ帝国皇帝・ハインリッヒ7世役に横山だいすけ。それぞれの個性と存在感を十二分に発揮し、作品に厚みをもたらしてくれるはずだ。

熱気に満ちた稽古場から生み出されるもの

これだけのメンバーが揃った稽古場は、既に熱い盛り上がりを見せているらしい。その様子を、橘はこれまで出演したストレートプレイの稽古場と比べ、「歌がない作品では、みんなひたすら緻密に向き合ってディスカッションをする。でも歌があると、そこで発散も解放もできるし、感情を揺さぶられるし。自分の中で化学反応が起こって、新たな可能性の扉を開けている」実感があるという。島健による多彩な楽曲にも、大いに刺激を受けているようだ。

逆に、EXILEのパフォーマーとしてアリーナクラスの会場でコンサートを行ってきた橘の経験に、中川も別所も大きな期待を寄せる。「立ち姿ひとつでも、いろいろなものを盗ませてもらいたい。これまでミュージカルをたくさんやってきて、いつの間にか当たり前だと思っていたことを当たり前だと思わずに、もう一回」新たな視点でとらえ直したいという気持ちを、別所はうかがわせる。中川も、橘は「稽古の中で橘さんのことをどんどん知って、素敵だなって心から思う。例えば、ひと口に『青』といってもその中にはどういうコントラストがあるか。みんなで芝居を創っていく時に、演出家の言葉やみんなの思いに対して、自分の言葉にリミットをかけてしまう経験があります。でも、誰かの言葉に耳を傾けるという意識を大切にしたい。ケンチさんはまさに、僕も言葉の足らない部分や僕自身がもどかしく思っている部分に対して、繊細な感性でそれを感じとってニュアンスを共有しながら、一緒に創り上げていく面白さを感じられる。ミュージカルは初めての経験かもしれないけど、作品を形にしていくうえですごく大きな武器、能力になっている」と感じたそう。だからこそ、今後もミュージカルの舞台に立ってほしいと期待を寄せた。

そして、橘によれば本読み初日から演出の小山ゆうなが「ここまでキャラクターを作り込んで、振り切って」演じてよいのだと、別所を絶賛したという。皆が別所の提示したレベルまで到達できれば「このミュージカルは唯一無二のものになる」、それを目標にキャスト陣は切磋琢磨しているのだ。さらに、「チェーザレという実在の人物の青年期を描いていることこそがこの作品の一番の肝で、本人はきっとまだ若いがゆえに葛藤も悩みもあっただろうし、他の同級生よりも成熟している部分もあったでしょう。それを、いかに魅力的に描くか。情熱にしろ何にしろ、熱いものには求心力があるし、自分にとってそれはすごく気持ちのいいこと。自分がそういう人に寄って行って、何かを受け取って、それに対して自分も何かを返して、それを横にいる他の人にも伝播させていく。それがまさに稽古場で繰り広げられている」とも語る。そのような稽古場を経て、初日の幕が上がった時、どれほどのものが出来上がっているのだろうか。期待が膨らむ発言だった。

この作品は本来、2020年に上演されるはずだった。しかしコロナ禍のため公演は延期され、2023年、ついに幕を開けることとなる。約3年を経たことで、作品の捉え方にも変化があったと中川は語る。

「2020年の時は、アンジェロとの出会いにあまりときめきを覚えなかったんです。でも今は、アンジェロとチェーザレの出会いは恋にも似た、チェーザレの生涯の中で本当に忘れられない一瞬だったと気づくことができた。そんな自分がどのようにチェーザレを生きていけるか、楽しみ」だという。チェーザレのときめきやワクワクは、きっと観客の胸を打つことだろう。

そして別所も、コロナ禍を経た今だからこそ感じるものが大いにあると語る。「究極のリーダー論的な部分は、今自分たちが見ている現実とも重なる。自分の都合通りにならない息子や、ロドリーゴの野心や業といった人間くさいところが、とても面白い歴史劇です。3時間あまりの演劇の旅の中でチェーザレはどう成長するのか、お楽しみになさってください」。彼らの描き出すルネサンスの人間群像を、ぜひ見届けに行きたい。

取材・文:金井まゆみ 撮影:源賀津己

<公演情報>
ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』

2023年1月7日(土)~2023年2月5日(日)
会場:東京・明治座

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チケット情報はこちら:
https://w.pia.jp/t/cesare-stage/

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