市川團十郎・ぼたん・新之助「伝承への道」懇親会レポート
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成田屋親子「伝承への道」記者懇親会より
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すべて見る團十郎、長男・新之助と長女・ぼたんの成長を称える
市川團十郎と長女・ぼたん、長男の新之助が2月10日(金)、東京、神奈川、大阪にて3月から4月にかけて行なう舞踊公演の成田屋親子「伝承への道」の記者懇親会に出席し、意気込みを語った。
次世代への伝統芸能の継承を目的に行なうこちらの公演。「子守」「鳶奴」「男伊達花廓(おとこだてはなのよしわら)」という「江戸時代に生きていた人々の情緒をご覧に入れようという趣向」(團十郎)の3演目に加えて、3人による座談会も行なわれる。
“伝承”に重きを置く一方で、團十郎は「今の時代の考え方を意識して構成していこうと思っている」とも。この言葉の真意について問われると「コロナ禍や時代の流れの中で、歌舞伎文化の存在意義をもう一度、確認しないといけない時代に突入していると思っています。その中で、松竹さんによる本興行ではできない試み、本興行でしかできない試み、自分たちでやるからできる試みがあると思う。あくまで古典をやりますが、それに対して、別の角度の見せ方を模索しないといけないのかなと思っています」と語る。
「子守」にちなんで自身の子守りの思い出を尋ねられると「麗禾(=ぼたん)は歩き出すのが早くて、1歳ちょっとで一緒に歩いて、毎朝8時に家を出て、階段を上り下りしていたので、“子守り”経験はあまりないです。せがれ(=新之助)は、なかなか歩かなかったので、麻央も私も抱えている映像(が残っているの)が多いですね。ずっと前に抱えていましたが、(新之助に向かって)ずっと寝ている人だよね、キミは(笑)。だから手間はかからなかった」と明かした。
父としての團十郎と師匠としての團十郎の違いについて、新之助は「“お父さん”の時は優しいです。お稽古の時も丁寧に教えてくれて、違いは……うーん、違いは……」と思案顔。ぼたんは「お稽古中は、私たちのことを考えて、工夫して直した方が良いところを指摘してくれます。家では優しいけど、お稽古の時はちゃんということを言ってくれます」と語った。
團十郎は、昨年12月の歌舞伎座での本興行で60年ぶりの女性の出し物となる「團十郎娘」を勤め上げたぼたんについて「連獅子」に例えて「プレッシャーをかけて、突き落としたけど、ちゃんとよじ登って結果を残した。11歳としてはよく頑張った」と称え、成田屋史上最年少の9歳で「外郎売」に主演した新之助についても、「立派に全部やった。100点満点だと思う」と成長ぶりに顔をほころばせる。
また、自身が團十郎襲名を実感した瞬間については「手打ち式ですね。團十郎家でないと役者総出での手打ち式はないと思う。先輩、同輩、後輩が並んで、お客様が入って、そこで『團十郎白猿』と言うことがひとつ、團十郎になったということだと思う」とふり返った。
成田屋親子「伝承への道」は3月30日(木) に東京国際フォーラム、31日(金) に神奈川県民ホール、4月15日(土)・16日(日) にNHK大阪ホールにて上演。
取材・文・撮影=黒豆直樹
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