崎山つばさ「この舞台への出演は、僕にとって大きな挑戦になる」
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インタビュー
崎山つばさ 撮影:You Ishii
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すべて見る18世紀のパリにおいて、死刑執行人としてフランス革命の動乱の真っただ中にいた男、シャルル=アンリ・サンソン。2021年の初演で稲垣吾郎の熱演が話題を呼んだ、舞台『サンソン―ルイ16世の首を刎ねた男―』が“再始動”される。新たなキャストを迎え、稲垣をはじめ続投のキャストと共に再び紡がれる物語はどのような光景を描き出すのだろうか。
今回、サンソンに深く関わっていく男たちのひとりであるトビアス・シュミットを演じるのは崎山つばさ。重厚な歴史劇への出演は、大きな挑戦となるに違いない。
再始動するメンバーとして「責任をもって演じたい」
――出演が決まった時、最初にどんなことを感じましたか?
2021年の舞台のことは、コロナで公演が止まってしまったことも含めて知っていました。今回の上演で再始動するメンバーに呼んでもらえることがすごく嬉しかったですし、責任をもって演じたい。それに「無事千秋楽を迎えることができたらいいな」と強く思いました。
――作品に対しては、どういうイメージを抱いているのでしょうか。
18世紀のフランスっていう激動の時代を描くので、緻密に、繊細に、細かく創っていかないとボロが出るでしょうね。なので、いろいろと自分なりに当時のことを調べたうえで演じていけたらと思います。
――主演の稲垣吾郎さんとは初共演ですよね。
稲垣さんは「小さい頃からテレビで見ていた人」というイメージ。稲垣さんの出演された作品では映画『笑の大学』(2004年)が大好きで、作品そのものも稲垣さんの演技も印象に残っています。ご一緒できることは夢のようだし、とても光栄です。どういうお芝居やアプローチをされるのかまだわからないけれど、自分の中でいろいろと選択肢を変えてやりとりしながら、崎山つばさらしいトビアスを創っていきたい。なんとか稲垣さんに食らいついていきたいし、僕はお芝居の中でも面白いことをするのが好きなので、何かしら仕かけていけたら良いですね。
――「こんなことを聞いてみたい」とか、稲垣さんとの関わりで期待していることはありますか?
そんなに大きなことは言えないですよ(焦)。でも仲良くしていただけたら嬉しいし、ワインの魅力も教えていただきたいです。
――ワインは初心者ですか?
あまり詳しくないですね。お酒は飲みますけど、よく飲むのはビールや焼酎。最近は「鳥飼」っていう少し甘口の米焼酎が好きで、ソーダ割にはまっています。
――崎山さんが『怖い絵』(2022年)で共演された佐藤寛太さんは、今回ジャン=ルイ・ルシャールを演じます。実は、ぴあアプリで映画についての連載をされているんですよ(『佐藤寛太の偏愛主義でいこう!』)。ですので、ぴあとしては共演された後に連絡をとり合ったりしているのか気になるのですが。
……全くないですね(苦笑)。人によるでしょうけど、僕は初めて共演した時すぐに仲良くなるというよりは、何回か共演してより仲良くなっていくんです。寛太とは2回目なので、これからは連絡をとり合うようになっていくんじゃないかと思います。
――ちなみに、崎山さんから見て佐藤さんはどんな魅力のある役者さんでしょうか。
彼は己を生きている、唯一無二な感じの人ですね。役に対してすごくストイックに考えて芯を持って演じているし、わからないことがあればすぐ聞いて、それを自分なりに咀嚼しようとしている姿も魅力的。前回とは別の役で今回共演できることが、とても楽しみです。
――佐藤さんの他にも、今回はナポリオーネ・ブオナパルテ役の落合モトキさん、ルイ・アントワーヌ・サン=ジュスト役の池岡亮介さんといった、比較的年齢の近いキャストが揃っています。同世代のキャストとの稽古場でこういうことができたらいいな、と期待することは?
一緒にご飯に行くのはまだ難しいかもしれませんが、その分稽古場でコミュニケーションをとっていきたい。積極的にお話させていただけたらと思います。
白井さんは甘えたくなっちゃうような方
――話は変わりますが、先日ビジュアル撮影があったそうですね。衣裳を身につけて、どのようなことを感じましたか。
良い意味でこだわりがすごく感じられて、首元に着けるクラバットも太さや肌触り、質感を確認しながら演出の白井晃さんが「これが良い」って結んでくださいました。作品に対する想いや時代背景や歴史を重んじていることが伝わってきて、ただのビジュアル撮影ではなく、もうそこに舞台ができあがっているかのような雰囲気を感じましたね。
――白井さんとお話しされた印象は?
本当にお忙しいなか来てくださって、しかも「ちょっと時間ある?」と声をかけてくださって役のことや前回の舞台のことをお話ししたんですよ。すごく優しく親身になって話してくださるので、なんだか甘えたくなっちゃうような方でした。
――その時、トビアスについてはどんなことをおっしゃっていたんでしょう。
「市民側のリーダー的存在」というキーワードをいただきました。フランス革命の時代の人たちがその時生きていたものが今に繋がっていることも感じましたし、自分の中で創っていくものと白井さんがもってらっしゃるイメージをうまく共有して、トビアスという人物を創っていきたいと思います。
――台本を読んで、崎山さんにとって印象に残った場面について教えていただけますか。
ジャンが処刑されそうになって市民が一丸となって助けに行く時に、周りを巻き込むような、煽るようなトビアスのセリフがあるんです。短いセリフですけど、そこにトビアスのすべてが集約されているような気がしていて。その場面は自分にとっても、とても大事な場面だと思います。
――重い時代背景をもった作品ですが、崎山さん自身はこの作品のテーマをどう考えていますか。
今もいろいろな国でデモが起きたり、日本でもひどい事件が起こったりしているじゃないですか。そういう、人がひとりではなく大勢になった時の強さと、怖さと、逆にそれで弱くなる人もいるっていう逆転劇が「怖いな」と思いますし、そもそもどちらが正しいかって人によって考え方が違うと思うんですよ。でもお互いが、自分が正しいと思っているものを信じて行動しているっていう意味では「人間らしいな」とも思います。僕は僕なりにトビアスとして自分の思いを掲げますけど、お客様がそれをどう受け取るかは人それぞれ。自由に観てほしいですね。
――この作品の魅力は、どういうところにあると思いますか。
まず、僕自身ご一緒できることがすごく嬉しい豪華なキャストの方たちが集まって、この作品をまたイチから創っていくことです。世界観や歴史といった難しく感じられる部分もあるかもしれませんが、お客様には純粋に舞台を観ることを楽しんでいただければと思います。その先、何をどのように感じとってくださったのかは、SNSですぐ感想を見られる時代じゃないですか。ぜひ感想をあげていただきたい。ある意味、それを通して僕たちとお客様と、皆でこの舞台を完成させることができるのではないかと思います。ぜひ劇場で18世紀フランスの世界を浴びてほしいですね。
サウナでリフレッシュしながら芝居に臨む!
――最近プライベートで楽しんでいるマイブームはありますか?
サウナですね。誰かと一緒に行くよりも、稽古終わりだとか空いている時間にひとりで行くことが多いです。サウナには水風呂があるじゃないですか。僕は水風呂が大好きで、水風呂に入るためにサウナに入るんです(笑)。
――週に何回とか、こういう時にとか、行くタイミングは決まっているんですか?
そんなに決め込んでいるわけではなく、どこかに行った時に見つけて入るとか、精神的に「ちょっといっぱいいっぱいになってきたな」って思ったら行くとか、そういうことが多いですね。
――サウナー・崎山のこだわりってありますか。
基本的にサウナの温度と水風呂の温度や、その日の体調によって「サウナに何分入ったら水風呂には何分つかって」とルーティーンを決めて、楽しんでいます。どのくらい入るか決めるのは、汗の質や量を見るんです。だいたいサウナ→水風呂の1回目で汗をバッと大量に出して、2回目ではまだ少しとろっとした感じが残っている汗で、3回目で割とさらっとした汗に変わります。でも日によっては3回目でもまだそこまで至らない時もあるので、そういう時はもう1回増やしたりして。
――自分の体と対話しているんですね。
そうですね(笑)。
――お話の締めくくりとして、2023年も約1か月が過ぎましたが(取材は2月上旬)、「今年こんなことを成し遂げたい」という仕事あるいはプライベートでの目標・希望をお聞かせください。
この前、名球会の方たちと野球をしたんです(編注:坊っちゃんスタジアム(松山中央公園野球場)で開催された野球伝来150年記念イベント「日本プロ野球名球会 vs 松竹ロビンス」に出演)。僕は小学校~中学校で野球をやっていたんですけど、それ以来久々に野球をして面白さを思い出しました。ユニフォームも揃えていただいたし「またできたらいいね」と言っていただいたので、また野球をできたらいいなと思いました。
――それはぜひ、実現したらInstagramなどで発信していただきたいですね。佐藤さんとの仲良しショットもぜひお願いします。
そうですね。寛太とキャッチボールできたらいいな。
取材・文:金井まゆみ 撮影:You Ishii
<公演情報>
舞台『サンソン ールイ16世の首を刎ねた男ー』
【東京公演】
2023年4月14日(金)~2023年4月30日(日)
会場:東京建物 Brillia HALL
【大阪公演】
2023年5月12日(金)~5月14日(日)
会場:オリックス劇場
【長野公演】
2023年5月20日(土)~5月21日(日)
会場:まつもと市民芸術館 主ホール
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