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銭湯を再現した豪華セットで生田斗真らが“心を洗う”! 『湯道』撮影現場レポート

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『湯道』(C)2023映画「湯道」製作委員会

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笑いあり涙ありの“湯”一無二のお風呂エンタメとして注目を集めている、映画『湯道』。

本作の生みの親は、国内外で賞を総なめにした映画『おくりびと』の脚本や、今や日本を代表する熊本のご当地キャラ・くまモンを生んだことでも知られる小山薫堂。氏が提唱した入浴行為を茶道や華道のような“道”とする“湯道”を題材に、小山自身が完全オリジナルで描いた脚本を鈴木雅之監督が映画化した。

生田斗真演じる東京から舞い戻った兄・史朗と、濱田岳が演じる家業を継いだ弟・悟朗の銭湯“まるきん温泉”の兄弟の物語とあわせて、橋本環奈演じる銭湯に住み込みで働く看板娘・いづみや常連客たち、湯道を探求する湯道会館の面々のエピソードが紡がれていく。

本作は、2021年11月上旬から12月下旬にかけて、京都の松竹撮影所を中心に撮影。メインの舞台となる“まるきん温泉”は、なんとセットで製作している。190坪ある同撮影所のNo.6ステージいっぱいに銭湯を丸々建て込んでいて、スタジオ自体の入り口をそのまま銭湯の入り口に改装。番台や脱衣場、入浴場や裏手のボイラー室はもちろん、さらにその奥に隣家の作業場まで建っている凝りよう。

浴槽も実際に湯をためられる仕様となっていて、脱衣所にある品々に関しても小山と親交のある銭湯で現在は閉業した京都三条“柳湯”から味わいあるレトロな逸品を借りていて、まさに古き良き昭和の銭湯の雰囲気だ。

また“まるきん温泉”に通じる街並みも作られて、時代劇の家屋も並ぶ撮影所の中に時代を超えた銭湯とその周辺が出現。この時期、京都で別作品を撮影していた俳優やスタッフ、京都を訪れた業界関係者も見学に訪れていて、古都の新たな観光名所(!?)ともなっていた。

現場入りした生田斗真も、セットを見回してひと言、「カッコいいなぁ」。合間には、セットの外観や一角を写真に収める姿も見られた。生田の言葉を受けて、冗談半分に「これ作ったらみんなにブーブー言われたよ(笑)」と監督。身内からしたらそれだけ費用も労力もかかっているということながら、外部からしたらこれだけの大掛かりなセットを作ってもらえて、そこで自由に撮影ができるなんて羨ましいという意味でのブーブーだったに違いない。

大掛かりなセットが存分に生かされた兄弟ゲンカシーン

そんなセットの醍醐味を感じさせてくれるのが、一見、銭湯とは無関係な兄弟ゲンカのシーン。父亡きあと、なんとか家業を守ろうとしてきた悟朗に対して、史朗は銭湯に未来はないとマンションへの建て替えを提案。口だけでなく手も出ての争いとなり、これが銭湯を縦横無尽に移動しながらの大乱闘に発展して!?

アクション部が付いての芝居となったが、これが殴り合いというよりは掴み合いで、場外プロレスのようにボイラー室から男湯、女湯、脱衣所、番台、再び脱衣所、さらにまた男湯と移動していくスタイル。銭湯のあらゆる場所が一連で映し出されていて、まさにセットだから撮影できたシーンということで、生田もまた監督さながら冗談半分に「セットが全部繋がってますよっていうのを見せるためのシーンですね(笑)」。そして最後にはいづみに、「いい加減にしてよ!」と熱湯をかけられて、ふたりそれぞれ着衣のまま浴槽に落下するという場面だ。

このカットは本番だけの一発勝負となったが、見事1テイクで決めて、服のまま浴槽に入った生田と濱田は、ふたりして「(服が濡れて)重っ」と笑いあっていた。この後のカットの準備の間は、ふたりともその格好のままお湯に浸かって待機。もちろん入浴を楽しんでいるわけではなく、撮影時期は11月下旬で撮影場所は冬の京都。濡れて寒いのと、カットの繋がりで濡れていないといけないのとで、湯船が一番いい待機場所だった様子。しかしふたりとも楽しそうで、この日、見学に訪れていた小山もにこやかに撮影を眺めていた。

“まるきん温泉”は関西と関東のいいところ取り

兄弟といづみの物語とあわせて、豪華な名優陣による悲喜こもごものさまざまな人間ドラマが描き出されていて、多様に楽しませてくれる本作。それは銭湯のディティールに関しても同じで、豆知識は劇中でも語られているが、ツウはセットの造りでも楽しめるに違いない。

実は今回、京都の松竹撮影所が拠点となったのは、銭湯をセットとして作るにあたって水回りの工事ができる広い土床のスタジオという条件に適うのが同撮影所だったというのが大きなポイントだ。撮影場所が京都ということで、映画の舞台に設定されているのもまた京都。劇中で関西弁こそ使われていないが、銭湯ツウは“まるきん温泉”の入浴場を見ただけでそこが関東の銭湯ではないと気づくのでは?

それというのも、“まるきん温泉”のように浴槽が入浴場の真ん中にあるというのは関西から南の特徴的な造りで、関東から北は入浴場の奥に浴槽があるのが一般的。一方でペンキ絵で富士山をモチーフとするのも関東中心で、関西にはほとんどないが、今回はあえてその富士山のペンキ絵を採用。つまり“まるきん温泉”は京都が舞台ながら関西と関東のいいところ取りになっていて、いわば銭湯の理想形!

そんな銭湯を舞台に風呂と人情の温かさが映し出される『湯道』は、まさに心も身体もほっこりさせてくれる一作。生田は現場を振り返って、「撮影で岳くんと湯船に浸かりながら、合間に“昨日何やってたの?”“ご飯何食べた?”って話したりしていましたが、それこそお風呂ならではの会話という感じで、裸の付き合いのパワーがすごくありました。この作品を通じて、お風呂って身体を洗って汚れを落とすだけじゃなく、心を洗ったり、日々の疲れを落としたりする場所なんだなということを改めて感じましたね。今まで日々のルーティンで当たり前のように入っていましたが、今日はこういう1日だったなって振り返る場所として、お風呂という空間を大切にしたいなと思いました」とコメント。『湯道』に浸れば、あなたのお風呂ライフや人生観も整って、さらに豊かなものになっていくはず。

取材・文:渡辺水央

『湯道』上映中
(C)2023映画「湯道」製作委員会

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