《オーケストラの日》が帰ってくる! 首都圏のプロ・オーケストラからメンバーが集結
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〈ありがとう〉と〈ようこそ〉を、心から! 首都圏で活躍する13のプロ・オーケストラから、この日のためにメンバーが集まって開かれる、幸せな音いっぱいの祝祭イベント《オーケストラの日》が帰ってきます。
コロナ禍でやむなく中止が続いていたこの《オーケストラの日》。毎年3月31日(「ミミにいちばん」という語呂合わせでこの日になりました)を中心に開催される人気イベントです。日本オーケストラ連盟に加盟する全国のプロ・オーケストラが、初めてのかたにも親しみやすいコンサートをあれこれ展開。東京では、首都圏の全楽団からメンバーが集まった特別編成のオーケストラ〈オーケストラの日 祝祭管弦楽団〉が、この日だけのコンサートを開くほか、さまざまなイベントも併せて開催されます。
この祝祭イベントが今春、4年ぶりにようやく開催できる! コロナ禍でコンサートも軒並み中止になった日々から思えば、暗闇を抜けるような思いです。
世界中の文化活動が大きな打撃をうけるなか、オーケストラも例外なく危機に立たされました。経済的な危機はもちろん、〈切磋琢磨しながら演奏し続けること〉でしか維持できない、独特のオーケストラ・サウンドを失う危機、もありました。さらに、コンサート中止の日々は、響きわたる音楽を同じ空間で味わう〈生演奏〉の喜びこそが、オーケストラの生命線でもある‥‥ということを、あらためて痛感させられたのです。
誰もが本当に大変だったこの時期――それでも〈オーケストラ〉という文化を絶えさせないために、多くのかたが様々なかたちで、支援の手を差し伸べてくださったというそのお気持ちへ、〈素晴らしい音楽〉で、お返しのはじまりを少しだけでもまずお届けできる‥‥4年ぶりの開催には、なにより演奏家&スタッフたちの、常ならぬ強い思いがこめられています。
しかし、〈感謝〉だけではありません。終わらぬコロナ禍のあいだ、世界は戦争の悲惨にも引き裂かれ続けています。オーケストラは〈平和〉への強い思いを――もちろん〈音楽〉を通して、しっかりとお伝えしていくでしょう。
今回、〈オーケストラの日 祝祭管弦楽団〉は、指揮に迎えたキンボー・イシイと共に、ドヴォルザークの心おどる楽しい序曲《謝肉祭》や、鳥の歌も愛に包まれて響くワーグナーの《ジークフリート牧歌》、ベートーヴェンのおなじみ《田園》交響曲から後半と、大作曲家たちが音楽に託した、美しい自然への喜びと讃歌を響かせます。そして、チャイコフスキーの交響曲第5番から終楽章‥‥厳しい運命にあらがう力と、突き抜けた先にあらわれる喜びの輝きとを、壮大なオーケストラ・サウンドで響かせる傑作を演奏します。
開演前には、隣の小ホールで入場無料の弦楽四重奏ミニ・コンサート(0歳から入場可!)や弦楽器体験コーナーなどお子さん向けの企画もあるので、ご家族連れでお気軽に‥‥という明るいイベント。〈ありがとう〉と〈ようこそ〉を、これからも長く発信してゆく最初の一歩に、お立ち会いを。
オーケストラの日
3月31日(金) 15時開演
東京文化会館(上野公園内)
https://www.orchestra.or.jp/orchestraday2023/
■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2341767
文:山野雄大(音楽評論家)