【対談企画③】never young beach×くるり「安部くんと話すと、いつもカウンセリングみたいになるな(笑)」
音楽
インタビュー
左から)岸田繁(くるり)、安部勇磨(never young beach)
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すべて見るハナレグミ、森山直太朗、くるりといった3組のアーティストをゲストに迎えたツーマンツアーを東名阪で行うnever young beach。ツアーの開催に先駆けて、ネバヤンのフロントマン・安部勇磨と対バン相手の対談を3回連続でお届けする。第3弾のゲストは、くるりの岸田繁。安部が常日頃から感じているという、バンドマンであることの恍惚と不安を大先輩である岸田は一体どのように受け止めたのか?
岸田 安部くんに会うのは3、4年ぶりかな? コロナ禍に入る前だよね?
安部 はい。
岸田 「京都音博」にも出ていただいて。
──ネバヤンは2018、19年と2年連続で出演しています。
岸田 あのときはありがとうございました。
安部 いえ、こちらこそ呼んでいただきありがとうございました。あの、今日はすごく緊張してます(笑)。
岸田 そんなそんな(笑)。
安部 くるりは10代の頃からずっと大好きなバンドなので。
──安部くんがくるりを知ったきっかけは?
安部 僕には兄がふたりいるんですけど、ふたりとも音楽が大好きで。特に次男は洋楽しか聴かないようなタイプの音楽好きだったんですけど、「くるりはカッコいい」って、いつも言っていて。それで興味を持ったのがきっかけですね。最初は兄の影響です。
岸田 そうだったんですね。
──初めて聴いた曲は?
安部 シングルの「ロックンロール」です。巨大な冷凍庫の中で、皆さんが演奏してるミュージックビデオも凄く印象に残っています。当時は中学生だったんですけど、周りの友達はみんな流行りの音楽を聴いていて。そういうものとは明らかに違うカッコよさを子供ながらに感じました。
岸田 それはうれしい。
──岸田さんはネバヤンをどういうきっかけで知ったんですか?
岸田 「明るい未来」という曲のMVを偶然観たのが最初です。ロン毛の若者が一生懸命歌ってメンバーがヤンチャな演奏している姿を観て、面白そうなバンドだなと思って。パッと観て「あ、いいな」と思ったんですけど、バンド名が長いから覚えられなかった。
安部 はははは。
岸田 大体、私はバンドの名前って一度で覚えられないんです(笑)。ちょっといいなと思ったバンドでも、いつの間にか忘れてしまうんだけど、ネバヤンのあの曲はずっと頭の中でぐるぐる回ってたんですよね。で、繰り返し何度も聴いて「カラオケで歌いたいな」って。
安部 ありがとうございます!
岸田 でも周りの人には「こういうカッコいいバンドがいる」とか全然言ってなかったんですよ。ひそかに「いいな」と思って聴いていたんだけど、音楽業界じゃない仲のいい知り合いがネバヤンの追っかけをしてると聞いて、「おー、知ってるよ」って鼻高々に(笑)。
──その後、「京都音博」に声を掛けられたわけですが、オファーの決め手になったのは?
岸田 「音博」はフェスというよりも催し物で、世界中の古今東西問わず、いわゆるフォークロアというんですかね、そういう土着性を持った人たちに出てもらっているんです。ネバヤンの曲を初めて聴いたとき“歌謡性”が高いというか、凄く日本っぽい土着性を感じたんですよね。演奏がカッコよかったり、今っぽいお洒落なサウンドプロダクションの若いバンドはたくさんいたんですけど、土着性のあるメロディを安部くんが、あの歌声で歌っているのがいいなと思って。ステージで演奏してるイメージがすぐに思い浮かんだんです。あと、人気バンドだから若いお客さんをたくさん集めてくれるかなと思って。非常に助かりました(笑)。
安部 こちらこそありがとうございました。
──安部くんは、「京都音博」のオファーが来ていかがでしたか?
安部 すごくうれしかったです。ただ、尊敬している年上のミュージシャンの方々と同じステージに立つというのは、やっぱり好きだからこそ、なんともいえない怖さというか緊張感がありました。不安なことを色々考えてしまって、ドキドキした気分でステージに立ったのを覚えています。くるりのファンの皆さんにどうしたら受け入れてもらえるだろうって考えた結果、すごく静かにライブを始めた気がします(笑)。
岸田 静かだったよね(笑)。覚えてるよ。
安部 ワンマンとかだと、ワーッ!て始めることも多いんですけど、あのときは怖くてできませんでした。とにかく緊張してましたね。ライブの後に岸田さんの目を見るのが怖かったです(笑)。
──岸田さんは「音博」でのネバヤンのライブを覚えていらっしゃいますか?
岸田 細かい部分まで覚えてはいないけど、やっぱりいいバンドだなと思った記憶はありますよ。なんかこう、ミックスナッツというか。
安部 はははは。
岸田 ステージで演奏してるメンバーの感じが可愛くて、それぞれ個性があって、ミックスナッツっぽいなーと思いました。例えが独特すぎてすいません(笑)。
安部 いえいえ(笑)。
岸田 カシューナッツの人もいれば、アーモンドの人もいて、みたいな感じで色んな個性を持ったメンバーがひとつの演奏に一生懸命取り組んでる姿が、めっちゃバンドっぽいなって。
安部 ありがとうございます。緊張しすぎてライブの内容は全然覚えていないんですけど(笑)。
岸田 でも、あの頃よりバンドも全然変わってるでしょ?
安部 そうですね。メンバーの脱退もあったりして。でも今が一番楽しいっていう充実感はあります。
岸田 最近の曲を聴いたけど、音の雰囲気も全然違うよね?
安部 ちょっと前までは割とリバーブをかけたりすることが多かったんですけど、最近はアンプ直でギターを鳴らしたりとか、そういう感じになってます。音の圧力みたいなものに魅力を感じるようになって。エリック・クラプトンとかデレク&ザ・ドミノスを最近よく聴いてます。
岸田 いま何歳でしたっけ(笑)?
安部 今年で33歳です(笑)。一緒にやってるサポートメンバーと、ザ・バンドとか聴きながら「こういうのやりたいよね」ってワイワイ言いながら作業するのが楽しくて。
岸田 もともと、そういうオジサンっぽい音楽は好きでしたよね。
安部 好きです。好きだったんですけど、今までそういうふうになり切れていなくて。新しくサポートに入ってくれたミュージシャンとやってみたら、一気に土臭さが増しました。
岸田 メンバーで音が結構変わったりしました?
安部 そうですね。曲作りをするときは、ある程度、メンバーのことを考えながら「この人だったら、こういうギターを弾くかな?」とかイメージしながら作業を進めるんですけど、今一緒にやってる人たちとは、自分がやりたいことを感覚的に共有できているので、そういう意味でもやりやすくて。岸田さんにおっしゃっていただいたように、音の雰囲気は結構変わったと思います。
岸田 最近の曲だと「こころのままに」とか「やさしいままで」を聴いて、すごくちゃんとしてるなと思いました。「Impossible Isle」(落日飛車とのコラボレーションによるEP)でも色んなことをやってますよね。イメージとしては、はっぴいえんどとか昔のムーンライダーズみたいな感じ。すごくシンプルなサウンドプロダクションで、そこに乗っているのは安部くんの、あの懐かしい感じの歌声で。歌の雰囲気は変わらないんだけど、サウンドで楽曲の雰囲気が全然変わるんだなって驚いた。今、お話聞いてて思ったんだけど、安部くんは土臭いサウンドのほうが歌いやすいのかもしれないね。
安部 確かにそうかもしれません。ここに来て自分自身、60~70年代の土臭い音楽にどんどん魅力を感じるようになっているので。僕、昔の音楽って今まであまり聴いていなくて、それこそビートルズとかも、「みんなが言うほど、そんなに良いか?」とか思って、ちゃんと聴いてこなかったんです。でも、ここ最近ようやくカッコよさがわかってきて(笑)。もっと言うと「バンドっていいな」って、改めて感じさせられたというか。
岸田 ビートルズを通して?
安部 はい。コロナ禍に入って、何を歌っていいのかわからなくなって、それと同時にあんまりバンドもやりたくなくなってしまった時期があったんです。その頃、ディズニープラスで配信されたビートルズのドキュメント映画(「ザ・ビートルズ Get Back」)を観たんですけど、ビートルズでもレコーディングに煮詰まって、こんなふうに話し合いをするんだとか、メンバーそれぞれがこんなキャラクターで、こういう演奏をしたり、こういうアイデアを出すんだとか色々知ることができて。やっぱりバンドって面白いなと思ったんです。
岸田 あの映画を観て「バンドって面白い」と思えたのはすごい(笑)。あれエグいよな(笑)。全部、観た?
安部 はい、観ました。
岸田 ずっとドロドロした状態が続いて。でも、なんかいいんだよね。ビートルズも普通の人やったんやなって(笑)。
安部 バンドって一見華やかに見えるけど、時代が違えども、みんな何かしらの問題を抱えながらやっているんだなということがわかりました。
岸田 そこに大人の思惑とかも入り混じりながらね(笑)。
安部 ポール・マッカートニーが一生懸命曲を作ってるのに、ジョン・レノンが遅刻してスタジオに来て、タバコ吸いながらヤル気なさそうにギターを弾いてるシーンとか、めちゃくちゃ生々しいなと思って。
岸田 普通シバくで(笑)。
安部 はははは。そうかと思えば、ポールのハミングに合わせるようにリンゴ・スターがリズムを重ねた瞬間、曲が一気に形になっていくような、そういう決定的な瞬間も収められていて。
岸田 いいよね。
安部 自分はまだ9年くらいしかバンドをやっていないんですけど、なんとなくシステマティックになってしまった部分があるなと感じていて。なのであの映画を観て、忘れていた感覚を思い出して、改めて「今、バンドをやりたい」って思ったんです。
岸田 いい経験をしてるよね。感覚的には私も同じようなことを思うので。スペシャルなものや血が通ったものって、バンドメンバー同士がぶつかってるときに生まれてくるようなところもあるじゃないですか。
安部 ああ、わかります。
岸田 本当はシステマティックに、こちらが思い描いた通りのことをそのままやってくれる人と一緒にやるのが一番いいはずなのに。ロックバンドって独特ですよね。
安部 スマートすぎてもツマらないというか。ハプニングが起こることで生まれる面白さって絶対にありますよね。説明できない、バンドマジックというか。
岸田 録音したら音に入りますもんね、そういう面白さって。ネバヤンの次のアルバムが楽しみやね。
安部 そういえば岸田さん覚えてらっしゃいますか? 「京都音博」の打ち上げで、前のアルバム(「STORY」)を岸田さんにダメ出しされたんですよ(笑)。
岸田 えっ? 俺が?
安部 「音のこととか、もっと、いろいろ追及できたはずや」って。言われた当初は落ち込んだんですけど、自分でも足りてない部分がわかっていたので、のちのち励みになりました。
岸田 たぶん酔っぱらっていたんだと思います(笑)。よくないね。
安部 いえいえ(笑)。すごくありがたい言葉をかけてもらったと思います。さっき話題に挙がったバンドマジックみたいなものが足りてなかったのかなと思うし、今聴くと、ちょっと説明的だったかもしれません。あのあとすごく反省して。
岸田 安部くんは、いつもなんとなく自信がなさそうだよね(笑)。
安部 自信、ないです(笑)。
岸田 いい音楽を作っているんだから、それでいいのにって思うんだけど。
安部 曲を作ってる最中とか、一瞬自信があるときもあるんです。でも、曲が出来た途端に違うテンションになっちゃって。「これでよかったんだろうか?」とか。ライブの選曲に関しても、「あそこは違う曲のほうがよかったんじゃないだろうか?」とか悩んじゃうんです。岸田さんは、ライブやレコーディングで悩んだり、落ち込んだりすることはありますか?
岸田 私も、そういうことの連続と積み重ねですよ。悩みすぎると制作が止まるから、「まあ、そういうもんですよね」って割り切って前に進むこともあるし、本当に納得できない曲を作ってしまった時はお蔵入りにしてる。でも、そうやってお蔵入りにした曲も、あとで聴いたらすごく良かったりする場合もあるから。たくさん曲を作っておくに越したことはないかなって。
──安部くんは、悩みから曲が生まれてくる場合も多いんですよね?
安部 そうなんです。今、幸せかもって思うと歌詞が書けなくなるんですよね。書けるには書けるんですけど、なんかしっくりこないというか。悩んでるときのほうが心に動きがあるので、いい歌詞が出来る割合が多いんですよね。だからといって、自ら悩もうとは思わないんですけど(笑)。結果そうなってしまいますね。
岸田 歌詞は曲の後に書くの?
安部 今までは、良い言葉を思い付いたら書き溜めておいて、合うものがあれば曲に当てはめるというパターンが多かったですね。でも最近は、曲を作ってる段階で適当に歌った言葉を歌詞にするようなことが増えています。以前は感覚的に喋ってるような言葉を作品にしないほうがいいと思っていたんですけど、案外感覚に沿ったほうが曲に合った、面白い言葉が生まれてくることが多くて。
岸田 わかる。
安部 だから最近はあまり歌詞をこねくり回さないようにしています。以前、岸田さんも同じようなことをインタビューで話されていましたよね? パッと出てきた言葉をそのまま歌ったら意外といい歌詞になるみたいな。
岸田 それが出来たら一番いいなと思う。だからネバヤンの曲を聴いてても思うんだけど、歌詞そのものより言葉がメロディとして入ってくるんですよね。それはメロディを作る技術うんぬんじゃなくて、歌を歌いたい人が作っているから。メロディが物を言ってる感じがする。メロディ自体にメッセージがあるっていうか。まさに「明るい未来」にそれを感じたんですよね。例えば「明るい未来」という言葉を曲で表現しようとしたとき、オーソドックスな手法として楽観的なシャッフルビートに乗せて歌うというやり方もあるし、一方で、逆説的に悲しめなコード進行に乗せて歌えば、それはそれで聴き手の想像力を膨らますようなこともある。私は、そういうことを考えながら曲を作っていくほうなんですが、たぶんあの曲に関して言えば、安部くんは、スッと作ったんじゃないかなと思っていて。
安部 その通りです。
岸田 パッと出てきた言葉やメロディが、あの曲で表現したい感覚に見事にマッチして大正解を生み出したんでしょうね。私も長いことバンドをやってますけど、そういうことってなかなかなくて。さっきのビートルズの映画じゃないけど、バンドってしょうもない奴らが集まって、「あーだこーだ」言いながらしょうもないことをやってるんだけど、パッとスイッチが入った瞬間に、とんでもないものが生まれることがあるんですよね。今、ネバヤンは何人でやってるの?
安部 メンバーが3人、サポートギターが2人の計5人です。そこにたまに鍵盤が入ることもあって。すごく楽しいです。
──新しいサポートギタリストが入ってバンドの風通しが良くなったんですかね。
安部 風通しは良くなりました。バンドという形態にこだわると、どうしてもこの音を入れてみたかったとか、この音は必要なかったとか、色んなことを考えてしまうんですけど、サポートギタリストのふたりとは感覚的な部分も近いし、柔軟に色々試してくれるので音の足し引きも前より自由な感じがして。
──バンドというものに対する解釈が変わったというか以前よりも自由になった?
安部 そうですね。もっと自由に色んなことを試していいんじゃないかって。自分なりにチャレンジしないと、バンドが会社みたいになっていっちゃうなと思ったんです。だったらメンバー以外でも共鳴できる人と素直にやるべきかなと思って。
岸田 デモとか作るの?
安部 作ります。家にメンバーを呼んで。大雑把なものを僕が作って、細かいリズムとかをみんなで詰めていく感じです。岸田さんたちはどうやって曲を作ってるんですか?
岸田 曲によるかな。バンドっぽいやつはメンバーで集まって適当にセッションして、そこでモチーフが見つかったらメモして溜めておいたり。ひとつテーマを決めてセッションする場合もあるし。「インドカレー」とか(笑)。あるいは自分が思い付いたコードだけ伝えて、ちょっとやってみようかってスタートすることもあります。バンドで作っているときは、そんな感じで、自分から出てきたというよりも、メンバーのインスピレーションみたいなものが元になって曲が生まれることが多いかな。映画音楽とかひとりでやる場合は、自宅で細かい部分まできっちり作り込むけど、バンドでやるときは偶発性みたいなものを優先したほうが良いものが生まれるから。「ようわからんけど、なんかいいね」って。
安部 今もスタジオに結構入ったりするんですか?
岸田 いや、メンバーそれぞれ仕事があるし、私もそうですし、「この日にやりましょうか」っていう日程を無理やり作って合宿したりとか。
安部 それって岸田さんが声をかけたりするんですか?
岸田 いや、私は怠け者なので(笑)、そこはスタッフにお願いして。でもやっぱりバンドって何がいいかっていうと、ひとりじゃないことなんですよね。何人かでやってるから面白い。例えばYOSHIKIさんでもいいし、細野(晴臣)さんでもいいんですけど、どんなに素晴らしいミュージシャンでも、バンドから生まれる何かって、ひとりでは絶対に生み出すことができないと思う。喧嘩だったり色んなことがあると思うけど、バンドでしか出せない音があるから。
安部 そうですよね。ちなみに岸田さんは悩んでるときとか周りの人に相談したりするんですか?
岸田 身近なスタッフとかにはするけど、それも毎回悪いなと思う。大体そういうのってメンバーへの文句になるやん(笑)。
安部 そうなんですよね。
岸田 だから最近はあんまり言わないようにしてる。一時期的にメンバーへの不満があっても、いい曲が生まれたり、いい演奏が出来たら乗り越えられるものだから。ずっとバンドを続けてると、そういうことがわかってくるよね。昨日もフジファブリックと対バンしたんだけど、彼らも長いこと活動してきて、その間に色んなことを乗り越えて今に至ってるわけで。メンバーそれぞれ色んなことを抱えてると思うんだけど、バンドを大事にしている感じが伝わってきてカッコいいなと思った。まあまあ、モノ作りをしてる人は、皆さん多かれ少なかれ悩んでいると思いますよ。
安部 そうですよね。
岸田 私もよく悩むんですよ。損するぐらい悩むんだけど、あるとき人に言われた言葉で、なるほどなと思うことがあって。要するに、人は自分が幸せであることに気付いていないときに悩むっていう。
安部 あー。
岸田 自分が幸せじゃないって勘違いしてる。誰がどう見ても幸せやんっていう場合が80%くらいだと思うんですよ。病気をしてたり、大事な人が亡くなったりとか、そういう場合は別として。自分のことは自分にしかわからないと、どこかで思ってるかもしれないけど、単に自分の幸せに気づいてないだけで。そう考えると仕切り直しが出来るというか。今年47歳になるんですけど、ようやくそういうふうに考えられるようになりましたね。
安部 なるほど! 僕もやってみます。
岸田 ひとつの気付きで心持ちがだいぶ変わることもあるし。例えばギターを始めたばかりの人がエフェクターを買ったとして。
安部 はい。
岸田 ディストーションとかコーラスって音の変化がわかりやすいから、踏んだ瞬間に「おお!」ってなるやん。でもコンプレッサーとかって役割的に地味だし使い方が難しいじゃないですか。
安部 確かに。説明を受けてもわかりづらいですよね。
岸田 でもギターを弾いているとき、カッティングしたりソロを弾くときにコンプレッサーを踏んでみると「こうやって使うためにあるのか!」ってなる瞬間があって。
安部 わかります!
岸田 コンプのかけ方を理解するだけで、音作りに対する解釈が全然違ってくる。それと同じで、ささやかなことなんだけど、考え方ひとつで変わってくることも結構あると思うんですよ。安部くんと話すと、いつもカウンセリングみたいになるな(笑)。
安部 すいません(笑)。岸田さんは、自分の中に残る言葉をいつも与えてくれるので、今後それを花開かせていきたいと思います。
──では最後にツーマンライブに向けた意気込みをお願いします。
安部 今の僕らを岸田さんと佐藤さんのおふたりに観ていただきたいという気持ちが大きいです。今回ご一緒させていただく岸田さん、永積さん、直太朗さんって僕の中では特別な存在で。勝手ながら同じ血筋のようなものを感じていて、どこか遠い親戚みたいな感覚があるんですよ。定期的に成長を見てほしい気持ちがあります。
岸田 今日こうやって事前に話す機会があって良かったなって思う。安部くんが今どういうことを考えていて、今のネバヤンがどんな感じなのか知ることができたので。とにかく楽しくやりましょう。私も今から楽しみにしています。
Text:望月哲(音楽ナタリー) Photo:山川 哲矢
<ライブ情報>
never young beach TOUR 2023 “春歌舞”
4月17日(月) Zepp Nagoya
出演:never young beach / ハナレグミ
4月26日(水) Zepp Haneda
出演:never young beach / 森山直太朗
4月28日(金) Zepp Namba
出演:never young beach / くるり
チケット情報はこちら:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2341860
関連リンク
never young beach オフィシャルサイト:
https://neveryoungbeach.jp/
くるり オフィシャルサイト:
https://www.quruli.net/
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