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戦前の日本におけるベルギー美術の受容について探る『ベルギーと日本 光をえがき、命をかたどる』4月29日より開催

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児島虎次郎《和服を着たベルギーの少女》1910年 高梁市成羽美術館

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戦前の日本人画家の欧米への留学中の作品を収集方針のひとつに掲げている東京の目黒区美術館で、ベルギーに留学した画家と彫刻家に注目した展覧会が、4月29日(土・祝)から6月18日(日)まで開催される。

戦前の留学先はやはりパリが主流だったが、少数ながらベルギーを選んだ芸術家たちもいたという。そのひとりが、同館が作品を収蔵している洋画家の太田喜二郎。そして太田とともにゲント王立美術学校に通った洋画家の児島虎次郎と、同時期にブリュッセル王立美術学校に留学していた彫刻家の武石弘三郎である。

ベルギーで親しい友人同士だったという3人の作品が充実しているのはもちろんだが、同展のもうひとつの魅力は、ベルギー留学の影響やベルギー美術の日本での受容について、様々な視点から探られていることだ。

たとえば、ベルギーの印象派の画家エミール・クラウスに師事した太田と児島が、留学前とあとでどのような変化をとげたかを見ていくと同時に、ほかの日本人画家たちと印象派の関係を示す作品も合わせて見ることで、日本の印象派を検証する試みが行われている。

また、ベルギーでアール・ヌーヴォーの影響を受け、美術学校を優秀な成績で卒業した武石は、帰国後は肖像画家として人気を博す一方で、ベルギーの彫刻家コンスタンタン・ムーニエの紹介に尽力した。その結果、主に労働者を取り上げたムーニエは、「炭坑夫の彫刻家」としてロダンと並ぶほどの人気を集めたという。同展では、ムーニエの影響を受けた他の日本人彫刻家の作品も並べ、戦前の日本におけるムーニエ受容の検証も進めている。

そのほか、大原美術館のために作品収集に務めた児島が収集したベルギー人画家の作品や、第一次大戦中のベルギーと関東大震災後の日本の被災者救援のために企画されたチャリティー展の出品作、また詩人で美術評論家の瀧口修造が紹介したベルギーのシュルレアリスムの旗手ルネ・マグリットの作品など、ベルギー美術が日本でどのように受容されてきたのかが多角的に紹介されている。これまであまりフォーカスされることのなかったテーマに光をあてた同展は、新たな知見に出会える興味深い展覧会だ。

<開催情報>
『ベルギーと日本 光をえがき、命をかたどる』

会期:2023年4月29日(土・祝)~6月18日(日)
会場:目黒区美術館
時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜
料金:一般800円、大高・65歳以上600円
公式サイト:
https://mmat.jp/

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