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平日午後の贅沢時間が進化。神尾真由子を迎えて「にじクラ」スタート!

クラシック

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神尾真由子

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「私は平日午後のコンサートの経験がなかったのですが、聴いたあとにまだ一日が終わっていないから、ゆっくりお茶やお買い物もできる。とてもいいと思います」

日本フィルとサントリーホールがタッグを組んだ平日のコンサート「とっておきアフタヌーン」が、新シリーズ「にじクラ」としてバージョンアップ。「トークと笑顔と、音楽と」という副題のとおり、身構えることなく笑顔で楽しめるシリーズになりそうだ。その記念すべき第1回公演のゲスト・ソリストにヴァイオリンの神尾真由子が登場。パガニーニの愛らしいヴァイオリン協奏曲第1番を弾く。

「パガニーニの協奏曲は、ヴァイオリニストにとっては難所につぐ難所の、難しい曲です。でも明るい曲調で、とてもオペラ的な素晴らしいメロディの甘美な作品。難しいということを除けば、楽しい曲だなと感じながら弾いています。

パガニーニ自身が名ヴァイオリニストだったからだと思いますが、ヴァイオリンの技巧を、出せる箇所すべてで披露しようという意図が見えるので、その名技性を抜きに、音楽的に弾くというところが難しいんです。たぶんパガニーニは難しそうに弾いてほしいのかなと思うのですが、私としては、自然に、メロディだけが聴こえるような感じで弾きたいと思っています」

日本フィルとは何度も共演を重ねているが、チャイコフスキーやブラームス、シベリウスなど重量級の協奏曲が多いのだそう。

「たぶん最軽量でメンデルスゾーンぐらい。大曲系が多かったので、分厚いオーケストレーションの曲をいつもどっしり支えてくださって、とても弾きやすいというのが、子供の頃からの印象です。今回のパガニーニのような軽やかな曲で共演するのは初めてなので楽しみです」

「客席が近く感じられるので力まずに弾ける」というサントリーホールは1986年開場。彼女と同い年だ。

「そうなんです。自分は若いような気でいますけれども、サントリーホールはもう改修もしてますよね。実家のマンションも同じ年なんですけど、親が『もうボロボロやからおれへん』と言うので、そうか、私もうボロボロなのかと思ったり…(笑)」

音楽ファンにとっては、10代の少女だった頃のイメージがいまだに鮮明な彼女だが、現在は小学3年生の子供の母親でもある。さらに、東京音楽大学教授としても20人を超える生徒を抱え、時間に追われる毎日を送る。多忙ななかでも笑顔になれる平日の午後の過ごし方を尋ねると、クールな印象の彼女から意外な答えが返ってきた。

「激辛です。なんとか時間を捻出して、ママ友とご飯に行くのが楽しみ。愚痴を言って鼻水をすすりながら、辛いものを食べてます」

これからもっと身近にクラシックに親しみたい、と考えている人も多いだろう。コンサートを楽しむコツとして、「あまり理解しようと思わないこと」をアドバイスしてくれた。

「欲を言うなら、やっぱり少し勉強していかないとわからないところがあると思います。完全に丸腰で行くと難しい部分もありますが、さいわい日本のコンサートはすごく恵まれていて、プログラムノーツが配られる。それを読みながら聴くだけでもだいぶ違います。

でもあまり理解しようと思わないこと。理解できないところがあるのが普通なので、ちょっと他のことを考えながらぼんやり座っている(笑)というのが幸せなんじゃないかと思います。でも、そうやって聴いているうちに、“おっ!”と感じる演奏に絶対にいつか当たるはずです。だからもし、“やっぱりわからない”と思っても、ぜひもう一度チャレンジしてください」

では今回のパガニーニを“丸腰”で聴かないための予習ポイントは?

「うーん…。ソロがすごく忙しく弾いていますから、左手がぴょんぴょん動いているなというのを見ていただけたら、『難しいと言っていたのはこれか!』とわかっていただけると思います。しょっちゅうそんな状態になる曲なので」

ちなみに公演の様子はオンラインでも配信される。1週間のリピート視聴も可能なので、コンサートを味わったあと、自宅で、アップの映像で“左手のぴょんぴょん”を見直すのもおすすめだ。

指揮は永峰大輔。ナビゲーターと語り(ピーターと狼)に俳優の高橋克典。

平日2時のクラシックコンサートだから「にじクラ」。サントリーホールをあとにする頃、あなたの心にも晴れやかな「にじ(虹)」がかかっているかも。

日本フィル&サントリーホール
にじクラ トークと笑顔と、音楽と

5月2日(火) 14時開演
 ※オルガン・プレコンサート13時40分開始(オルガン:小田龍一郎)

指揮:永峰大輔
ヴァイオリン:神尾真由子
ナビゲーター&語り:高橋克典

パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ニ長調 作品6
モーツァルト:オペラ『ドン・ジョヴァンニ』序曲 K. 527
プロコフィエフ:交響的物語『ピーターと狼』作品67(語りつき)

■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2342921

取材・文:宮本明

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