Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > 【おとなの映画ガイド】過激さ、面白さが日本レベルを超えた傑作──岡田准一・綾野剛の『最後まで行く』

【おとなの映画ガイド】過激さ、面白さが日本レベルを超えた傑作──岡田准一・綾野剛の『最後まで行く』

映画

ニュース

ぴあ

『最後まで行く』 (C)2023 映画「最後まで行く」製作委員会

続きを読む

2014年に韓国で作られ大ヒット、中国、フランス、フィリピンでリメイクされた『最後まで行く』の日本版が、満を持して完成。 いよいよ5月19日(金)、公開される。主人公に岡田准一と綾野剛、監督は『新聞記者』の藤井道人という、いまとびきり旬の組み合わせ。オリジナルのスリリング極まりない展開に、日本独自の味付けがほどこされ、これが傑作! というか、超日本映画級のサスペンスとなった。フリーアナウンサーの笠井信輔さんは「こーゆーアクション映画が観たかった!」と、ぴあ水先案内で書いているが、まさに同感。これこそ、おとなが楽しむ映画です。

『最後まで行く』

藤井道人監督は『新聞記者』で2019年に日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞、作品力に太鼓判をおされた。その後も作品はとぎれることなく、2022年の『余命10年』では興行収入30億円を突破。この4月には『ヴィレッジ』が公開されたばかり。社会派から感動ドラマまで守備範囲が広く、完成度と商品力を併せ持つ、現代の日本映画を代表する存在だ。

にもかかわらず、まるで大家然としていない。1986年生まれの36歳。この作品についてのインタビューコメントをきいて、笑ってしまった。

「自分でもびっくりするぐらい面白い映画ができました」。

この謙虚さがたまらない。「小学校の時から憧れだった岡田准一さんとの仕事は、自分にとって忘れられない最高にエキサイティングな時間でした」ともいう。

12月の雨の夜。ひとりクルマを飛ばす男──殺人課の刑事・工藤(岡田准一)だ。母危篤の知らせをきいて、駆けつける途中。実は少し酒が入っている。そこに、警察の上司から電話が。「うちの署で捜査を悪用した裏金作りが行われているという告発があった。マスコミや県警からの調査が入る。すぐ署に来い」。やばい。そこに妻(広末涼子)から母が亡くなったことを知らせる電話が入り、やや狼狽した瞬間、何かクルマにぶつかった。クルマを停めて出てみると、ひとりの男が横たわって、すでに絶命していた。遺体をトランクにいれてその場を立ち去ろうとしたが、運の悪いことに、年末の交通検問にひっかかってしまい……。

と、映画の導入は、韓国のオリジナルとほぼ同じ。始まりを12月29日の夜にし、それから96時間の行き詰まる展開に変えたのは日本オリジナルだ。

刑事が起こした交通事故、に話はとどまらない。事故をもみ消そうとする悪巧みが、次々と雪だるま式に広がっていく。彼の犯行と同時進行するのが、県警本部監察官・矢崎(綾野剛)の内部捜査だ。ところが、事態はさらに、複雑な様相をおびてくる。工藤とその同じ穴のムジナともいえる刑事課の面々(杉本哲太、駿河太郎ほか)、警察と裏でつながるヤクザなど悪党(柄本明、磯村勇斗ほか)がからみあい……。

大河『どうする家康』ではややサディスティックな織田信長を演じている岡田准一。この作品でもちょいワルの役だが、やべえ、やべえとあせりまくる小悪党といったところ。ネタばれになるので、あまり書けないが、綾野剛が演じる県警のエリート監察官役がちょっとしたモンスターだ。

藤井監督と綾野は『ヤクザと家族』でもコンビを組んだ旧知の仲。「思いっきり狂った役をプレゼントした。正直、あんなに狂った綾野剛は初めてで大満足でした」と藤井監督は語っている。

話の広がりは日本版の方が複雑。うまい役者の演技力も厚さがちがう。テンポもあって、畳みかけるように、これでもか、これでもかと押し寄せる危機は並の日本映画をはるかにしのぐ。タイトルは、韓国映画の日本公開時のものを引き継いでいるのだが、元作品の結末を超え、その先まで「最後まで行く」のだ!

文=坂口英明(ぴあ編集部)

【ぴあ水先案内から】

笠井信輔さん(フリーアナウンサー)
「こーゆーアクション映画が観たかった! 冒頭からテンションが高く、ぐいぐい引っ張って「最後まで行く」(笑)のだ。……」

笠井信輔さんの水先案内をもっと見る

相馬学さん(フリーライター)
「……タランティーノの映画のようなアクの強いキャラクターたちに、ひたすら圧倒される……」

相馬学さんの水先案内をもっと見る

(C)2023 映画「最後まで行く」製作委員会