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『平和の砦』として世界平和を 東アジア文化都市2023静岡県「春の式典」開催

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「東アジア文化都市2023静岡県」公式行事「春の式典」より

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東アジア諸国の文化交流とその成果を世界と共有し、世界的な文化水準の底上げを担う事業「東アジア文化都市2023静岡県」の公式行事である「春の式典」が、5月2日(火) に静岡県コンベンションアーツセンター「グランシップ」中ホールにて行われた。

「東アジア文化都市」とは、2014年からスタートした、毎年、日本・中国・韓国で文化芸術の交流を積極的に行う都市を選定し、それらの都市がアイデアを出し合い協力しながら様々なイベントを発表する試み。2023年は、中国の成都市、梅州市、韓国の全州市の3都市と静岡県が選ばれた。

静岡においては今年1月から1年を通じ、県内各地を自然豊かな「庭園(Garden)」として「劇場(Theatre)」に見立て、「ふじのくに⇄せかい演劇祭」や「ふじのくに野外芸術フェスタ」、「静岡国際オペラコンクール」といったイベントを中核事業として扱い、日本文化の独自の魅力を存分に伝えていく予定だ。

左から)中国・梅州市副市長の趙東(チョウ・トウ)、静岡県知事の川勝平太、韓国・全州市副市長の金仁泰(キム・インテ)

式典が始まると、オープニングのパフォーマンスとして第5回「静岡国際オペラコンクール」で日本人初の1位となった声楽家の光岡暁恵が朗々としたソプラノの歌声を披露した後、主催の静岡県知事の川勝平太、中国の梅州市を代表して梅州市副市長の趙東(チョウ・トウ)、韓国の全州市を代表して全州市副市長の金仁泰(キム・インテ)が登壇した。まず、主催を代表して川勝は「『東アジア文化都市』の構想は、1985年にEUの欧州議会によって、ギリシャのアテネが『欧州文化首都』に指定され、様々な文化事業を行う真摯な姿勢に影響を受けて生まれました。この文化交流事業は、2023年で10年の節目を迎えますが、そのイデオロギーは揺るぎないものになったと思います。その思想は、中国や韓国と一緒に、カルチャーを通じ、東アジアを『平和の砦』として、二度と戦争を起こさない世界を目指そうという想いが根幹になっています。今回の『東アジア文化都市』で我々が中心となって『平和の砦』として世界平和を目指そうではありませんか」と挨拶。そして、中国の趙東は「中国と日本の間には数千年にわたる経済や文化などの交流で築いた友好の歴史があります。現在では日本の研究者が梅州市を訪れて様々な分野で研究に従事するほどです。そして今回の『東アジア文化都市』で梅州と日本は新たな融和の時代を迎えるでしょう。今年は積極的に東アジア文化都市間の文化交流を図っていきたいと思います」と語った。続いて、韓国の金仁泰は「全州市は韓国の古き良き伝統を今に伝える都市として発展していますが、今回の『東アジア文化都市』によって、日本と中国と我々の文化の理解がより深まり、さらに近しい関係になると思います」と挨拶をした。

その後、全州市のハプグッマウルによる『全州旗接遊び』が披露された。韓国の伝統衣装を纏った男女が、彼らの伝統的なサーカスを見せ、民族音楽を奏で、観客の目と耳を圧倒した。そしてフィナーレでは、静岡県舞台芸術センター(SPAC)の所属俳優である武石守正の朗読と、2018年に文部科学大臣賞を受賞し、静岡県の磐田市を拠点に活動している佐藤典子舞踊団による美しい踊りが披露され、盛大のうちに「春の式典」は幕を閉じた。

最後に、SPACの特別公演として『天守物語』が駿府城公園で上演され、この日に招待された中国・韓国・日本の観客は共に盛り上がりを見せ、さらに絆を深めた。静岡にとっては、今年1年、「演劇の都市」として日本の舞台芸術の中心を担おうとする強い意志を感じさせる素晴らしいイベントだった。

取材・文=竹下力

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