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花澤香菜「PSYCHO-PASS サイコパス」と歩んだ10年「恥じない生き方をしたい」

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花澤香菜 撮影:小川遼

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2022年に10周年を迎えたオリジナルTVアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」。シリーズ最新作『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』が、2023年5月12日に公開される。10年間本シリーズの主人公である常守朱を演じてきた声優・花澤香菜は、どのような思いで今作に挑んだのか。また、彼女にとって常守朱はどのような存在なのだろうか。今作の話と共に、花澤が「PSYCHO-PASS サイコパス」と歩んだ10年に迫る。

三期時点では勾留された理由を知らなかった

――今作は、2019年公開の劇場公開三部作『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3 恩讐の彼方に…』と、同年放送のTVアニメ三期「PSYCHO-PASS サイコパス 3」の間のエピソードが描かれた作品です。今作のシナリオはTVアニメ三期の段階からご存知だったのでしょうか?

第三期の時点では、朱ちゃんが勾留されている理由については知りませんでした。ただ、(塩谷直義)監督からは「今はなぜ勾留中なのか教えられないけど、次は朱ちゃんの番です。なぜ捕まったかを描きます」と言われて。なので第三期のアフレコは、ひとまず“朱ちゃんが勾留されている”という状況のみで臨みました。

――では、TVアニメ三期の後で劇場版の台本を読んだ時、率直にどんな感想を抱きましたか?

「これはおもしろい!」と思いましたね……! 第一期ぶりに狡噛(慎也)さんと朱ちゃんのやり取りがガッツリ見られるところ、狡噛さんの登場によって宜野座(伸元)さんが取り乱しているところ、宜野座さんと朱ちゃんの関係性が濃くなっているところ、チームワークの良い(公安局刑事課)一係のみんなが朱ちゃんに信頼を寄せているところ……これまでシリーズで描かれてきたいろんな事柄が繋がっていて、なんかもうすごかったです(笑)。

――久しぶりの狡噛さんと朱ちゃんの掛け合いはいかがでしたか?

狡噛さんって素直じゃないから、会話をしている時も言葉一つひとつの行間を読まなきゃいけないんです。それを改めて思い出して「この感じ懐かしいな……」と思いました。同時に、「私はこのやり取りが見たかった!」という思いもありました。狡噛さんと朱ちゃんが電話をするシーンが大好きなのですが、電話を切った後の朱ちゃんの<謝ってほしかっただけなのに……>というセリフには、狡噛さんが彼女にとって一番のパートナーだったんだと思いました。

――狡噛さんと朱ちゃんの関係性とはまた異なる、朱ちゃんと宜野座さんの関係性も今作で垣間見えましたね。

宜野座さんは朱ちゃんを支えたい気持ちが強くありますよね。第一期を見ると「こんなに宜野座さんって冷たかったんだ!」と思うほど(笑)、今はいろんなことを乗り越えて2人にしかない関係性が出来上がったんだと感じます。たぶん宜野座さんが狡噛さんに怒っている理由も「常守をどうしてくれているんだ!」という思いがあるのではないかなと(笑)。朱ちゃんのために怒ってくれているような感じがして、それもまたいいですよね。

――朱ちゃんの前に狡噛さんがいて後ろに宜野座さんがいてくれるような関係性の構図ですね。

うんうん、そうですね! 狡噛さんが引っ張ってくれて、宜野座さんが後ろで支えてくれている。最高です(笑)。

朱にとって大切な狡噛と雑賀先生の存在

――今作では、とにかく朱ちゃんが大きく成長を遂げているように感じますが、花澤さんは朱ちゃんの成長をどう感じられてお芝居されていましたか?

感情をあまり表に出さないでいるところに落ち着いたんだろうな……と考えて、お芝居をしていました。第一期の頃は本当にヒヨコのようで(笑)。優秀ではあるけれど、周りのことが見えていない。シビュラに愛された側の人間が、縢(秀星)くんたちとの出会いや大きな事件を経験することによって、愛されてこなかった側の人たちがどう生きているのか、今の世界がどういう状況にあるのかを知っていく。

第二期になると「自分でこの課をまとめ上げないと」と頑張っていて、一番精神的には安定しているような印象があります。同時に自分がしっかりしなきゃと思っているからこそ、感情を抑えているのではないかと。そして『PROVIDENCE』は、各省庁の年上の事務次官たちとの会議で政治について言い合うくらいのポジションになっています。そういう意味でも、どんどん感情を抑えるようになっていますね。

――だから、お芝居のアプローチ的にも感情を抑えているんですね。

もちろん抑えられないこともあるんですけど(笑)。でも『PROVIDENCE』では、狡噛さんが現れたことでより冷静でいなきゃと思っているような気がします。狡噛さんは宜野座さんともバチバチしていますしね(笑)。

また、「この人を信用してもいいのかしら?」という人物に対する警戒心もあって、感情を抑えている。唯一、雑賀(譲二)先生と会話している時だけは素の彼女でいられると思うので、逆に少し感情を出すようにしています。

――「PSYCHO-PASS サイコパス」のアフレコは細かなディレクションがなく大枠はキャストさんにお任せして進行すると聞きました。

今作もお任せではあったのですが、一番最後のシーンだけは監督から「泣きたくて泣いているわけじゃないからね。怒りや悲しみ、いろんな感情が混ざって出てしまった声でお願いします」と言われて。それが唯一ディレクションを受けた部分でした。

――抑えていた感情が、最後の最後に爆発するような感じですね。

そうです。だから監督に、「朱ちゃんにかかっているので」と言われました(笑)。

――すごいプレッシャーですね(笑)。ちなみに、アフレコはどなたとご一緒されたのでしょう?

狡噛さん役の関(智一)さんと雑賀先生役の山路(和弘)さんと3人で収録しました。特に関さんがいてくださることというか、精神的にも物理的にも強い狡噛さんがいてくれることに安心しました(笑)。狡噛さんと一緒にアフレコすると前に進める感じがするんですよね。

山路さんはとにかく素敵ですね。朱ちゃんと狡噛さんの仲を取り持とうとしている雑賀先生がちょっとカワイイ(笑)。狡噛さんに朱ちゃんのことを話している時なんて、自分の子どもなの!?って思うくらい(笑)。ちゃんと朱ちゃんを人として信頼して会話してくれているのが伝わるので、朱ちゃんにとっていてくれないと雑賀先生も困る人だなとアフレコで思いました。

「朱ちゃんに出会っていなかったことを考えたくない」

――2022年に10周年を迎えた「PSYCHO-PASS サイコパス」。10年前から朱ちゃんを演じる上で変えていないことはありますか?

誰に対しても誠実に向き合っているところ、「人を法で裁く」という自分の正義を貫こうとするところは変わらないので、そこはお芝居をする上では私も貫いています。

だからなのか、彼女は人にムカつかないんですよ。もちろん敵に対していろいろ思うことはありますけど、すごく心が広いと思っています。だって(霜月)美佳ちゃんとだってかなりヤバかったですからね(笑)。

――たしかに。特にTVアニメ二期はヤバかったですね(笑)。

今はだいぶ落ち着きましたけど、相変わらずパンチは効いていますし(笑)。狡噛さんに対しても私なら「どういうことだ!説明してくれ!」と怒っていますよ(笑)。

――あはは(笑)。そんな10年演じてきた朱ちゃんは、花澤さんにとってどのような存在になっていますか?

朱ちゃんに出会っていなかったことを考えたくないくらい、すごく大切な存在になっています。朱ちゃんのような警察組織にいて逞しく成長していく役も声優として挑戦だったこともあって。朱ちゃんは苦しい経験ばかりしていたけど、その経験を自分もしてきた感覚になるくらい、朱ちゃんの気持ちにのめり込んでお芝居をしてきた感じがします。なので、演じていない期間も朱ちゃんに恥ずかしくない生き方をしたいと思っています。

――アニメのキャラクターでは珍しく、順当に年齢を重ねていくからこそ寄り添えることもありそうですよね。

それは本当にありがたいことです。どんどん成長していく彼女と苦楽を一緒に乗り越えられることが嬉しいです。

――年齢を共に重ねていくからこそ朱ちゃんを理解できる・共感できる部分もありますか?

第一期の一話で朱ちゃんが狡噛さんをドミネーターで撃って「なんで撃っちゃったんだろう……」と思うシーンがありますけど、私も気づけないことだらけで「なんでこんなことやっちゃったんだろう……」と思う出来事はたくさんあって共感しますね(笑)。また、朱ちゃんにとっての狡噛さんのように、ずっと近くで見て助けてくださった先輩方、スタッフさんたちもいるので、朱ちゃんが支えられていることを感じては自分も改めて感謝しなきゃと思うことはあります。

ただ、朱ちゃんの身に起こることってなかなか体験できることではないので、共感するとなると難しいのですが(笑)。でも、考えることをやめちゃいけないなと感化されることはあります。「PSYCHO-PASS サイコパス」の世界はシビュラシステムの管理下で恵まれて生きている人がいる一方、その外側では大きな事件が起こっていたり大変な目に遭っている人たちがいたりして、それを隠してしまっている状況があります。それは今の世界にも同じことがいえると思うので、しっかり考えていかないとと思いますね。

花澤香菜、10年間での2つの変化

――花澤さんご自身が、この10年間で変化したと感じることはありますか?

朱ちゃんを演じた時から比べると演じる役の幅が広がったと思います。お母さん役も演じさせてもらえるようになって、いろんな役を演じられるのはとても楽しいです。

あと、あまり真面目な変化ではないのですが……物との距離感がどんどん掴めなくなってきたこと(笑)。例えば、ペットボトルで水を飲む時、飲んでいると思いきや服にボタボタとこぼしているんです。怖くないですか? 年齢のせいだと思うのですが、そうじゃなかったら説明がつかない(笑)。ほかにもこけることが多くなりました。もともとどんくさいのですが、オシャレな小道で顔面からズサーッ!とこけたことも(笑)。

――それは危ない……!

そうなんですよ! すごくオシャレなお姉さんが助けてくれました(笑)。

――本当に気をつけてください……! では、10年間で成長を感じていることはありますか?

自分で言うのも変な感じですが、(アフレコ)現場での居方ですかね。それこそ「PSYCHO-PASS サイコパス」第一期の時は自分のことでいっぱいいっぱいだったんですけど、今はほかの現場に行くといろんな人に話しかけるようにしています。現場の空気に合わせたり、新人の子がいたら雑談してみたり、私が「PSYCHO-PASS サイコパス」のアフレコで関さんや野島(健児)さんにしてもらったようなことを今自分でも意識的にやっています。

――それでは最後に、『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』への思いをお聞かせください。

時を経ての一係のチームワークや信頼関係、狡噛さんと朱ちゃんの関係性が描かれているところがめちゃくちゃ熱くて注目して見てほしいのですが、何より第三期に繋がる大変な事件の中心にいる朱ちゃんをぜひ見守ってほしいと思います。

本当に面白い作品なので、とにかく早く見てほしいです(笑)。また「映画を観るためにTVアニメを見直さなきゃ」と焦っている方も、『PROVIDENCE』を見て第一期・第二期を振り返ると味わいが変わって絶対にいいんですよ……! 「そうだよね、こういうことがあったよね」となり、また劇場に足を運びたくなるはずです(笑)。

取材・文:阿部裕華 撮影:小川遼

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