W杯へバスケ日本代表候補25名発表! ホーバスHC「初戦のドイツ戦が大事」
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(写真左より)トム・ホーバス日本代表HC、三屋裕子日本バスケットボール協会会長、東野智弥技術委員会委員長
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すべて見る6月19日、『FIBAバスケットボールワールドカップ2023』男子日本代表候補選手25名を発表するとともに、2023年度バスケットボール男子日本代表の強化活動方針を発表。記者会見には日本バスケットボール協会三屋裕子会長、東野智弥技術委員会委員長、トム・ホーバス男子日本代表ヘッドコーチが出席。まずは三屋会長があいさつし、続いて東野委員長が強化活動方針、最後にホーバスHCが『W杯』への抱負を語った。
三屋会長「今日で『W杯』開幕まであと67日。思えば2017年12月、私のはじめての大きな仕事が『W杯』招致でした。招致が決まってから今日までいろんな準備をしてきた。男子代表も随分強くなってくれた。沖縄で開催されるが日本中の方々に応援・ご支援いただけるようなチームになりたいと思っているので、心強い応援・ご支援をよろしくお願いします」
東野技術委員長「バスケットボールでは『W杯』が『五輪』のひとつの予選となる。32チームが3か国でしのぎを削り、『パリ五輪』出場権を得たいと思っている。バスケットにとって『五輪』が一番の大会。出場権獲得条件はまず『W杯』でアジアの最上位の成績を収めること。『W杯』の1戦目からどう戦うかが重要。『パリ五輪』に出るためにはどの試合も気を抜けない。ポイントが同じ場合、得失点で決まる。2019年中国での『W杯』で中国とイランが同じ勝率で並び、得失点でイランが『東京五輪』行きを決めた。まずはアジア1位、それが達成できなくてもその次、そのまた次に入らないとOQT(五輪世界最終予選)に出られないので、しっかり抑えたい。
2019年の『W杯』は5連敗を喫し、シンデレラストーリーは続かなかった。12か国で参加する『東京五輪』も3連敗。また苦杯をなめさせられた。まずはドイツとの初戦、ここでサプライズができるかにかかっている。ドイツは欧州の中でも規律が高く固いチーム、もちろん高さもある。この1戦目、我々に大きな戦いが待ち受けている。フィンランドは欧州では上位にいけないが、いいチームに仕上がっている。予選でも戦ったオーストラリアは『東京五輪』で銅メダル取ったチーム。
我々も『W杯』に向けてチーム作りをしっかりしてきた。今回の『W杯』に集中し、なおかつ新しい選手、河村(勇輝)選手、(テーブス)海選手、井上(宗一郎)選手、吉井(裕鷹)選手、(渡邉)飛勇選手ら新しい選手を発掘した。最後のオーストラリア戦では富永(啓生)選手が30点以上マークし、話題になったのも思い出される。今も若手のキャンプをやっているが、真剣に取り組むことをシンプルにやっている。
我々はその次も見ている。まだまだFIBAランキング36位だが、沖縄で試合があるのがポイント。ひとつでも勝って、ひとつでも得点を取ってその次につなげたいと思っている」
ホーバスHC「東野さんの話聞いて色々思い出した。最初はなかなか勝てずに厳しかった。Window2は『大丈夫かな』とも思った。Window3でオーストラリアに大敗した後はスタッフ、選手と話して、そこからいいチームになってきたかなと思う。負けている時は勉強できる。本当にいろいろ勉強になった。
去年の夏Window4や『アジアカップ』を経験し、このチームは伸びた。信じる力がすごく強くなった。Window5はいろんな選手を使って、前向きになった。Window6のイラン戦ではジョシュ(・ホーキンソン)も金近(廉)も入って、未来がよく見えるようになった。今3か月ほどチームは集まっていないが、今月は若いメンバーの合宿があり、なんか雰囲気が変わったかなと思う。みんなまじめに取り組み、『W杯』の相手が強いのがわかっているから、特別な集中力を保っている。25日から代表が集まって合宿をするのが楽しみ。自信もあるが、ステップアップしないとドイツは強い。
初戦が大事。みんなの頭にドイツを叩き込みたい。ドイツはバランスが良くて、アナリティクバスケットボールもやっている。インサイドだけではなく、3ポイントがよく入り、ペイントアタックもある。ドイツはリバウンドも強い。うちはディフェンスリバウンドもオフェンスリバウンドもがんばらないといけない。ジョシュと飛勇が入って、うちもリバウンドが強くなった。金近もリバウンドを取っている。この合宿では新しいディフェンスをドイツ戦のためにやっていきたい。ステップアップしないとドイツ、フィンランド、オーストラリアとのゲームはきつくなる。でも、そういうチャレンジはすごい好き、すごい楽しみ」
FIBAバスケットボールワールドカップ2023 男子日本代表候補選手
ニック・ファジーカス(C/川崎ブレイブサンダース)
比江島慎(SG/宇都宮ブレックス)
アキ・チェンバース(SF/群馬クレインサンダーズ)
ルーク・エヴァンス(C/ファイティングイーグルス名古屋)
永吉佑也(PF/ライジングゼファー福岡)
須田侑太郎(SG/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
張本天傑(PF/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
安藤誓哉(PG/島根スサノオマジック)
富樫勇樹(PG/千葉ジェッツ
原修太(SF/千葉ジェッツ)
渡邊雄太(SF/ブルックリンネッツ)
ジョシュ・ホーキンソン(C/PF/信州ブレイブウォリアーズ)
馬場雄大(SG/-)
マシュー・アキノ(C/信州ブレイブウォリアーズ)
八村塁(PF/ロサンゼルスレイカーズ)
吉井裕鷹(SF/アルバルク東京)
川真田紘也(C/滋賀レイクス)
テーブス海(PG/滋賀レイクス)
渡邉飛勇(C/琉球ゴールデンキングス)
西田優大(SG/シーホース三河)
井上宗一郎(PF/サンロッカーズ渋谷)
富永啓生(SG/ネブラスカ大学)
河村勇輝(PG/横浜ビー・コルセアーズ)
金近廉(SF/千葉ジェッツ)
ジェイコブス晶(SG/NBAグローバルアカデミー)
代表候補発表に際し、ホーバスHCはこのようにコメントした。
「この一年半、このメンバーは一度も集まっていない。だから楽しみ。このメンバーが初めて一緒に集まってどこまでいけるのか。全員がハングリーなので、すごい楽しみ」
メンバー編成の特徴について質問が飛ぶと指揮官はこのように答えた。
「難しい質問。この25名にはいろんな力がある。たとえば飛勇は4番、井上も4番。外のシュート力は井上が上だが、こないだのイラン戦で飛勇を使ったらリバウンドが結構良かった。25日に始まる合宿では4番どっちがフィットするか見たい。PGも富樫と河村は小さいので、海のサイズが必要。誓也もちょっと見たいとか、それぞれにプラスマイナスがある。合宿に入って何週間か一緒にやって、このチームにはこの道がいいと決めていきたい」
最近の男子代表をどう見ているか問われた三屋会長は。
三屋会長「元アスリートの立場から言うと、会長就任時のチームはパッションが足りないと感じた。ミスを恐れているように見えた。今のチームはパッションを感じる選手が増えてきた。トム・ホーバスというパーソナリティは熱くハングリーさを好む監督。男子チームにないものをもたらしてくれると期待して、トム・ホーバスに監督をお願いした経緯がある。彼はリーグ戦をきちんと見て、日本代表として必要な選手を見極めている。井上や吉井もディベロップメントキャンプで呼んで、チームでは出場機会が少ないが、日本代表に招集し、いい選手に成長している。成績や活躍だけではなく、ハングリーさをプラスして、日本代表に必要な選手を見事にセレクションしていると感じている」
7月のチャイニーズ・タイペイ戦と韓国遠征のテーマを尋ねられると、ホーバスHCはこう返答した。
「チャイニーズ・タイペイ戦はちょっと若い選手に経験させたいと思っている。でも勝ちたい。『W杯』前に経験させるのも大事だが、やっぱり勝ちたい。日本でやる以上、いいバスケットをみんなに見せたい。『W杯』に出場しない韓国は勝ちたい気持ちが強いかもしれない。アウェイでハングリーなチームと対戦するとタフな試合になる。そこも大事。アウェイの雰囲気の中、メンタルタフネスを見たい」
『W杯』直前に強豪フランス、スロベニアと対戦する意図を聞かれると。
「相手が強くて背が高い。本当に『W杯』の準備、ドイツ戦の準備。高さに慣れてドイツ戦に入りたいと思っている」
八村と渡邊のNBA勢の状況について、東野技術委員長が説明した。
「シーズン中はNBAに集中するということで、我々も本人の意向を尊重した。NBAはシーズンが終了したばかり。彼はFAになる。近々にチーム八村と話す予定となっている。(今回の候補入りはチーム八村も了承しているか)もちろんです。
渡邊選手はシーズンが早く終わったので、ホーバスHCとやり取りしている。ご存じの通りNBA選手会では28日ルールがある。NBA選手会の28日前ルールがあるので、7月28日(金)より前には合流できない。彼も契約があるので、アメリカで契約について話をしている。来日時期については話せていない」
日本代表12名発表のタイミングはいつか。
ホーバスHC「ケースバイケース。この日に決まるとはまだ言えない。同じポジションでフィフティー・フィフティーの場合もあり得る。もちろん早く12名にしたい。12名にすると選手も不安と緊張がなくなる。それもプラスマイナスあるが、『W杯』前のフランス、スロベニアの試合の後にはわかるかなと思う」
バスケットボール男子日本代表チームは7月8日(土)・9日(日)・浜松アリーナでの『国際強化試合 静岡大会』チャイニーズ・タイペイ戦、20日(木)~24日(月)・韓国遠征、8月2日(水)・4日(金)・オープンハウスアリーナ太田での『国際強化試合 太田大会』ニュージーランド戦、有明アリーナでの『国際強化試合 東京大会』15日(火)・アンゴラ戦、17日(木)・フランス戦、19日(土)・スロベニア戦を経て、『FIBAバスケットボールワールドカップ2023』へ突入。沖縄アリーナにて8月25日(金)・ドイツ、27日(日)・フィンランド、29日(火)・オーストラリアと対戦する。
取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)
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