Like-an-Angel 1stLIVE夢の一夜をレポート「やるって言ったら大概のことはなんとかなるから!」
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Like-an-Angel 撮影:緒車寿一
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すべて見るLike-an-Angel(読み:ライク アン エンジェル、通称:ライク)が5月30日、東京 代官山UNITにてバンドの初公演となる「Like-an-Angel 1st LIVE」を行なった。Like-an-AngelとはL’Arc-en-Cielのリーダー兼ベーシストで、TETSUYA名義のソロではヴォーカリストでもある彼が、新たに立ち上げたL’Arc-en-Cielのコピーバンドである。
なんといってもこのコピーバンドが異例なところは、本家であるラルクのメンバーのtetsuya自身がベースを弾くというところだ。
今年の4月1日、エイプリルフールに合わせたジョークともとれる形で、自身のSNSを通じてラルクのコピーバンドとしてLike-an-Angelを突如発表し、世間を大いに驚かせたtetsuya。その翌日には、今回の1stライヴ開催のインフォメーションを告知した。5月30日といえば、1991年、大阪 難波ROCKETSにてラルクがFirst Liveを行なったバンドの誕生日。今年32回目の誕生日となるこの日は、初リリースから30周年を記念して、彼らが唯一インディーズで発売したアルバム『DUNE』のリマスター盤とアナログ盤が発売されることがすでに伝えられていた。
それもあって「ラルクのメンバーが出てきて『DUNE』を演奏するのでは?」や、Like-an-Angelというバンド名から「ヴォーカルは清春?」など、さまざまな憶測が飛び交うなか、tetsuya以外のバンドメンバーの名前はいつまでたっても“xxxx”という表記のままで明かされず。Instagramに次々とアップされていく動画も、tetsuyaがベースを弾いている姿のみ。こうして「tetsuyaがベースを弾く4人編成のラルクのコピバン」という情報しかないまま、迎えた当日。東京ドームでラルクのベースを弾くtetsuyaが、こんな500人キャパのライヴハウスで観られるというだけで、当然チケットはSOLD OUT。ここでは、記念すべき「Like-an-Angel 1stLIVE」のライヴの様子を完全レポートする。
至近距離で観る 圧倒的クオリティの演奏
想像の域を遥かに超えた衝撃的な1stライヴだった。そこには、お気楽な空気や、爆笑が起こるようなパロディー的要素はなにもなかった。本家であるラルクにどこまで近づけるのか。そのクオリティーは圧倒的!! ラルク定番曲から今はなかなか聴けなくなった数々の過去の名曲を、フルスロットルで次々と再現していく完成度の高いステージパフォーマンスに、何度も何度も衝撃が走った。
会場に着いてまず驚いたのは、この日のライヴの1曲目だけ撮影、SNSでの拡散がOKされていたことだ。客電が落ち、SEが流れ始める。すると、SEの途中で英語のアナウンスが始まり、ここでライクのメンバーがjekyll(Vo),reno(Gt/ex.ViViD)、tetsuya(Ba)、hibiki(Dr/摩天楼オペラの響)であることが初めて明かされる。
それに驚く暇もなく、メンバーは定位置につき、オープニングナンバーの演奏を始める。聴こえてきたのは、ラルクのライヴには欠かせないキラーチューン『HONEY』。真ん中でギターをかき鳴らしながらjekyllが歌い出した瞬間、ステージを撮ろうとスマホを構えていたフロアのオーディエンス全員が立ち尽くす。「誰、この人。hydeみたい!」。心の声が場内にこだまするなか、曲はすでに次の『EXISTENCE』へ。声質、歌い回し、まるで若い頃のhydeを彷彿させるヴォーカルの横に立っているtetsuyaは、最前列から手が届きそうなほどの至近距離でベースをプレイ。ラルクでは巨大スクリーンを通してでしか見ることのできなかったtetsuyaのピッキング、スライドやグリッサンド奏法を肉眼で観たオーディエンスは、その一挙手一投足に大興奮。
こうして少しずつこのバンドの状況が把握できてきたところで『Pretty girl』が始まると、フロアは自然と身体を揺らして踊りだし、手を頭上に伸ばしてクラップを刻む。tetsuyaとリズム隊のコンビを組む赤髪のhibikiは、照明映えする赤いアクリルシェルのドラムで、この曲の印象的なパートとなるタム回しを笑顔で披露。コピーバンドとして、原曲の要となる部分は忠実に再現しながらも、続いてrenoのソロコーナーが始まると、ここではプレーヤーとしての個性を思う存分発揮。ステージに立つと色気たっぷりのrenoは、クラシカルな叙情メロディーをふんだんに盛り込んだフレーズを、得意の駆け抜けるような速弾きで紡いでみせ、その最後のフレーズをギターリフへと展開して『DAYBREAK’S BELL』へとつなぐという粋なパフォーマンスで、フロアを驚かせた。
そのあと、ふいに“It’s just the time to say〜”という歌声で『夏の憂鬱[time to say good-bye]』が始まると、フロアからは悲鳴が上がる。ヘッドセットで歌うtetsuyaのハモが、この曲のせつなさをさらに引き出していったあとは、その余韻に浸る間もなく、始まったのはまさかの『さようなら』。本家でもなかなか出会えないこの曲に観客は再び絶叫。エレキを後ろに回し、スタンドにつけたアコギを弾くreno。曲の年代に合わせて、jekyllの歌い回し、歌唱はどんどん昔のhydeに近づいていく。
そのjekyllが“1,2,3,go!”とカウントを入れ、そこから『Still I’m With You』がスタートすると、一瞬にして心の平静を失うほどの衝撃がフロアに広がる。今では演奏されなくなったこの曲を、デビュー当時のラルク以上にクオリティーの高い演奏力と歌で追体験できたことに、オーディエンスは驚愕。その観客のリアクションを受けて、バンドはさらに小気味良く彩り豊かなサウンドで場内を染め上げていく。
まさかの『Blame』にファン絶叫
そうして、ライヴはhibikiのドラムソロから中盤へ突入。hibikiは頭から凄まじくパワフルな音を轟かし、お得意の超高速技巧のドラミングでフロアを圧倒しながらも、その間に挟むチャーミングな笑顔と軽やかなスティック回しで観客を魅了。ドラムを叩き終えると、オーディエンスから壮大な拍手が贈られた。
フロアの温度が高まったあと、jekyllがギターを持って現れ、『I’m so happy』へ。ラルクのファン投票ではシングルの表題曲を押しのけ、上位に入る(Sg『風にきえないで』の)カップリング曲登場にフロアが波打つ。renoの速弾きを交えたソロ、最後に“I love you”を連呼する迫力ある歌唱とともに、力強さを増していくhibikiのドラム。それと息を合わせ、高まっていくtetsuya のベースプレイ。バンドの鬼気迫る演奏が場内の興奮を誘う。tetsuyaが「ウォー」と生声で叫ぶ仕草で観客を煽り、続いてジャジーなピアノに同期音源のサックスが加わり、曲は『Ophelia』へ。スタンドのガットギターをパーカッシブにかき鳴らすreno。その逆サイドでtetsuyaはベースを思いっきりうねらせていく。そうして、荘厳なショートSEをはさみ、ライヴはいよいよ終盤戦へと突入。
SEが途切れ、『Blame』が始まるとtetsuyaファンは思わず絶叫! それもそのはず。この曲は、ラルクがメンバーごとに選曲して作ったベスト盤で本人が好きでチョイスしていた曲。同じコード進行が続くなか、ずっと変化し続けながら歌メロと絡んで、ベースで歌いまくる演奏に「これぞベーシスト tetsuya!」と、観客は歓喜。この演奏でバンドにも火がつき、『Sell my Soul』、『いばらの涙』の連投で、ヴォーカルとバンドサウンドが絡み合いながらどんどん高まり、その熱をフロアの隅々まで攪拌していったところは圧巻だった。
曲が終わると“hi!”と照れくさそうにjekyllがこの日初めて口を開く。“Today is〜”と英語でMCが続いていくと、場内がざわめきだす。ここまであんなに滑らかな発音で日本語の歌を歌唱していたjekyllが、外国人であったことが初めて分かり、フロアに大きな衝撃が走った。
そこにtetsuyaが「ブーン、ブンブンブーッ!」と口でエンジン音を鳴らすと、その場にいた観客全員がすぐさま熱狂。ライヴで常にごきげんな躍動感を発揮してきた『Driver’s High』が始まるとtetsuya、jekyll、renoが一斉にステージ前方へ。“Clash!”の声と共にtetsuyaがベースのネックを上に振り上げ、観客の一斉ジャンプを誘導。みんなで「駆け出して!」と声を張り上げ大合唱すると、場内のボルテージは一気に上昇。tetsuyaがパーンとフロアにピックを飛ばしたところで演奏が終わると、そのあと間髪入れずに本編ラストにさらなる強烈な一撃となる極めつけの『GOOD LUCK MY WAY』をドロップ。ライヴハウスで聴くキラーチューンの破壊力はやはり格別。興奮と一体感でどこまでものぼりつめていき、会場全体が熱狂に包まれたまま本編はここで終わってしまった。
「“やる”っていったらなんとかなるから。大概のことは」
「もっともっと」といわんばかりのアンコールの声に応えて、再びメンバーが姿を表すと、やっとこのあとtetsuyaがしゃべりだす。「ニッポンノミナサーン、コンバンハ、Like-an-Angelデス」といきなり外国人のような口調で自己紹介をして、まず場内を和ませる。「楽しい?(観客「楽しい!」)僕たちもすっごい楽しくて、ダダ漏れです」と今日のライヴの感想を伝える。そうして、このバンドの構想は「俺の頭の中にずっとあった」ことを打ち明け、それをスタッフに話したところ「めっちゃええやん」と後押しされて、今回バンド結成に至ったことを話す。そうして、集まってくれた観客、さらにはメンバーに「ありがとう」と改めて感謝を述べたtetsuyaの口から「実は、ライヴを発表したタイミングではメンバーは決まってなかったの」と衝撃の事実が伝えられる。
「でも“やる”っていったらなんとかなるから。大概のことは」とtetsuyaらしい言葉でトークを締めくくったあとは、「じゃあ久しぶりにやる曲。みんなハンカチの用意は大丈夫?」といって、アンコール1曲目。『賽は投げられた』のイントロで場内が騒然となる。ファンのリクエストで上位になりながらも、30周年の東京ドーム公演で演奏されなかったこの曲が聴けたことに、オーディエンスは感極まる。そこに、tetsuyaによる壮大なバラード『Pieces』を続けて、ミラーボールのまばゆい光と照明が作り出す7色のライティングに包まれるなか、ライヴはクライマックスを迎えて終了。
終演後、メンバー4人で手を繋いで挨拶をしたあと「L’Arc-en-CielもLike-an-Angelもよろしくね。まったねー!」といって最後にステージを後にしたtetsuya。ステージに誰もいなくなったあと、スクリーンを通して、2023年10月7日(土)、東京 日比谷野外大音楽堂にてLike-an-Angelの次回のライヴ「PARALLEL WORLD 2023」を開催することを、会場に訪れたファンにいち早く伝えていた。
ライヴ終了後Like-an–AngelはSNSを通じて、次回のライヴのインフォメーションとともに1stライヴのセットリストを公開した。野音のライヴにますます期待が高まる。
取材・文:東條祥恵 撮影:緒車寿一
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