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【ライブレポート】『Anonymouz Live 2023「Awake」~11:11~』

音楽

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『Anonymouz Live 2023「Awake」~11:11~』7月17日(月・祝) 東京・shibuya www Photo:Viola Kam (V'z Twinkle)

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レースや花飾りで顔を隠して活動していたシンガーシングライターのAnonymouz(アノニムーズ)が、7月17日東京・shibuya wwwで行われたワンマンライブ『Anonymouz Live 2023「Awake」~11:11~』で初めて素顔を明かし、終演後には新たなアーティスト写真を公開。深夜0時には、かつて「別の人の彼女になったよ」の英語歌詞カバーもした橋口洋平(wacci)が提供した新曲「レッスン」のデジタルシングル配信がスタートした。

2019年3月からYouTubeでJ-POPの英語カバーの投稿を始めた彼女は、デビュー前からソニーXperia 5 Ⅱの全世界CMソングやTVアニメ「ヴィンランド・サガ」SEASON 2のオープニング主題歌に抜擢され、今年2月にデビューアルバム『11:11』をリリース。その時は、「見た目や顔で音楽を判断されたくない」「偏見なく、私の声だけを聴いてほしい」と語っていたが、「顔やイメージとは関係なく、私の声を愛してくれる人が増えたら、いつかは見せたいなと思ってます」と含みを持たせていた。

しばらくはこのスタイルでの活動を続けていくのかと思っていたのだが、ワンマンライブの10日前になる7月7日にオフシャルYouTubeチャンネルで突如、「素顔の私の新たな一歩 "Awake"」という一文とともに、素顔の公開を予感させる<New Concept Teaser>がアップされた。この時点では、映像のみで、まだ顔の半分は新しいロゴに隠れていたが、コメント欄には驚きともに新たな一歩を応援する声が書き込まれていた。

そして、当日のライブへ。開演時間になると、目覚ましのアラーム音が鳴り始め、ステージ上の紗幕には<New Concept Teaser>の映像が流れた。やがて、Anonymouzのシルエットが浮かび上がり、オーディエンスの拍手とともに、紗幕が落ち、TVアニメ「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATION」のEDテーマとして書き下ろし、大切な人を守りたいという思いを込めた「Ladder」からライブはスタートした。ブロックごとに声の性格が変わっていくような楽曲で、眩いバックライトに照らされたAnonymouzは、最初は客席に背中を見せて歌い始めのだが、最後のサビでくるりと回転。正面を向き、オーディエンスに初めて生のライブで素顔を見せた。

インタビューでは「逆に言えば、顔以外はすべて音楽でさらけ出してます」と笑っていた彼女がついに顔出しを解禁した貴重な瞬間だった。しかし、彼女は「そんなことは大したことではないわ。今はライブを楽しみましょう」とでも言うかのように、シームレスで楽曲を繋げていった。そして、クラップで一体感がもたらされる「Hide and Seek」とどうしようも無い悲しみや痛みを感じる「Wonders Of Art」の2曲で、Anonymouzらしさのひとつである光と影、明と暗という二面性を表現。「こんばんは。Anonymouzです! 今日はよろしくお願いします!!」と挨拶し、その後は10曲をほぼMCなしで立て続けにパフォーマンスした。

アルバムのタイトル曲で、<チャレンジする価値があるものなら失敗する価値もある>というテーマで書かれたローファイヒップホップ「11:11」。水の中にいるような音の空間を追求した「4D」。澤野弘之プロデュース楽曲で、孤独な海の上でひとり、溢れる愛を高らかに歌う「silhouette」。アカペラで始め、歌声で次第にスケール感を広げていった「No Name」。フレアー扇子を持って舞い踊るダンサーANKANとともに葛藤で真っ赤に燃え盛る海を体現した「River」。そして、ANKANを従えてスムーズでキュートなラップを繰り出した「Lips」。

ANKANを見送ったあと、「みんな楽しい? 私は超楽しい! ありがとう」とオーディエンスに語りかけ、「If I Was」ではメロウなグルーブでオーディエンスの心と体を心地よく揺らし、indigo la End「夏夜のマジック」の英語歌詞カバーでは椅子に座り、ピアノの伴奏のみで歌唱。島田昌典プロデュースのポップなラブソング「恋をして」では、音源に収録されていた電話のトーク(shibuya www ver.)を生で披露。この中盤は、Anonymouzの多彩で豊かな音楽性に触れる時間であるとともに、英語歌詞をメインとした洋楽的なアプローチから日本語のみのJ-POPへという流れにもなっていた。

「ありがとうございます。改めまして、Anonymouzです」と一息ついた彼女は、「大好きな大好きなwacciの橋口洋平さんに作詞作曲していただいた、とっても大切な1曲になってます。傷ついた心を持っているときにどうしても見失いがちな“相手にもらった優しさ”に目を向けて一生懸命それを大切にしようとする、とっても不器用で真っ直ぐなラブソングになっています」と語り、「レッスン」を初披露。別れた相手への感謝を綴った失恋ソングには22歳のシンガーソングライターである彼女の等身大の息吹に満ちており、同世代の共感を呼びそうな楽曲となっていた。

さらに、続く「JAM」も新曲。最新のトレンドであるジャージークラブのビートに柔らかくてドリーミーなオルガンが響くダンスポップとなっており、トラップやブレイクビーツまで配慮したワールドスタンダートなサウンドとなっていた。この振り幅も間違いなく彼女の大きな魅力のひとつだろう。

失ってしまった大切なかけらを探し求めるようにEDMとダンスロックを行き来する「Homesick」でフロアの熱気が上がり、スナップの効いたR&B「Snake love」ではオーディエンスが手をあげて左右に振って盛り上がり、場内には一体感が生まれた。そして、最後の曲の前に、「今回、新しい姿で踏み出していくということで、たくさん考え、たくさん悩みました。伝えたいことや歌う意味は今までと変わらないので、ほんとに見ていてくれることを知って、もっと自然体で、目を見て、愛を伝えたいなと思って、この決断に至りました」と素顔を明かした理由を話すと、場内からは温かく大きな拍手が湧き上がった。

そして、「今日は受け入れてくれてありがとう。ここから新たな一歩を踏み出していきます。ぜひ、私と一緒に歩んでいってくれたら嬉しいです」と決意を語り、デビューアルバムのラストナンバーで、内澤崇仁(androp)提供のバラード「はじめのはじまり」を確かなエモーションを込めて歌唱。

観客に向けて、<今日はさよなら/また会えたらいいね>というメッセージ投げかける。その歌声は優しく、出会いの喜びにも満ちているが、何度も繰り返される<ここからはじめるんだよ>というフレーズには、まさに、ここから新しい一歩を踏み出すんだという決心と覚悟が込められており、フロアに大きな感動をもたらしていた。

アンコールでは“新しい姿”で新しい一歩を踏み出したことを振り返り、「ずっと自然体だったけど、さびしい世界だと思うし、もっともっと近づいて、心を通わして、音楽を楽しんでいこうと思います」と改めて意気込み、「みんなの世界が優しさで溢れますように」と語りかけ、現時点での代表曲とも言える「Eyes」の歌声を通してフロアを眩い光で満たすと、最後はボカロの要素をフィーチャーした四つ打ちのハウスナンバー「夜行性」でオーディエンスの手を挙げ、踊らせて、熱狂のうちに締めくくられた。「Eyes」と「レッスン」、「JAM」と「夜行性」のように、洋楽とJ-POP、ネットミュージックと最新のダンスポップを独自の言語センスと歌声で結ぶ彼女の次の一歩が楽しみになるライブだった。

Text:永堀アツオ Photo:Viola Kam (V'z Twinkle)

<公演情報>
『Anonymouz Live 2023「Awake」~11:11~』

7月17日(月・祝) 東京・shibuya www

<リリース情報>
Anonymouz デジタルシングル「レッスン」

配信中

Anonymouz「レッスン」MV

配信リンク:
https://anonymouz.lnk.to/lesson

<ライブ情報>
Anonymouzワンマンライブ

11月19日(日) SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
開場17:15 / 開演18:00

料金:前売:4,500円(税込)
※ドリンク代別途必要、未就学児入場不可

公式サイト:
https://www.anonymouz.jp/