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【おとなの映画ガイド】この夏いちばんの本格アクション日本映画! 綾瀬はるかが伝説の殺し屋を演じる『リボルバー・リリー』

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『リボルバー・リリー』 (C)2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ

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“史上最強のダークヒロイン”を綾瀬はるかが演じる『リボルバー・リリー』が8月11日(金)に公開される。行定勲監督が手掛ける初めての本格アクション映画だ。原作は長浦京の同名小説、時代は大正末期、関東大震災後の日本で、裏社会に生きた元女殺し屋が国家がらみの陰謀に立ち向かう、息詰まるサスペンス。すさまじいガンファイトはこれぞ東映!という感じ。この夏オススメの超大作である。

『リボルバー・リリー』

なんといっても魅力は、綾瀬はるか扮する謎めいたヒロインの存在。

大正から昭和にかけて台湾や中国で暗躍したスパイ組織「幣原機関」が育てた謀殺のプロ・小曾根百合。リボルバー(回転式拳銃)を手に、3年間で57人もの殺害に関与した経歴をもち、“もっとも排除すべき日本人”と恐れられた。人よんで“リボルバー・リリー”。伝説の殺し屋だ。

そのキャラクターを紹介するために、リリーの前日譚というアニメ版のPVまで作られている。映画本編より約10年前、1913年の上海を舞台に、おさげ髪でチャイナドレスを着た少女の殺戮ぶりを描く、いわば「エピソード0」ともいえる映像。「人は彼女を“虐殺人形”と呼んだ──。」とテロップが流れる。

1924年。第一次世界大戦が終わり、関東大震災が東京を直撃した翌年。百合は、昔の稼業から足を洗い、私娼街・玉の井でひそかに売春をする銘酒屋を経営している。

ところが、ある事件をきっかけに、消えた陸軍の秘密資金をめぐり、軍の追跡隊や特務機関がその行方を追う国家的陰謀にまきこまれていく。

鍵を握るのが、百合を頼り、庇護を求めてきた、羽村仁成(Go!Go!kids)が扮する細見慎太。なぜ慎太は百合を頼ったのか? 謎の資金とは? 震災後の混乱が続く社会背景の下、サスペンスフルな逃走劇が続く。

綾瀬はるか、とんでもなくさまになっている。いつもの天然な雰囲気を封印して、無口で、影もあるキャラクター。銃の捌き方はほれぼれとするし、武術・武道の達人という設定も、さすがの身体能力でこなしている。

百合の昔からの仲間で、銘酒屋を仕切る奈加に扮したシシド・カフカ、店の従業員・琴子役の古川琴音も銃をとって戦うことになるのだが、これがまたシビれる。三人そろうと、カレン・ギランが主演を務め、”エブエブ”のミシェル・ヨーも加わった女性たちのバイオレンス、『ガンパウダー・ミルクシェイク』の趣きだ。

キャストも豪華としか言いようがない。百合の相談役で相棒とも言える弁護士・岩見に長谷川博己、慎太の父・細見欣也役に豊川悦司。陸軍大佐役で板尾創路、彼の部下で追跡の中心となる大尉にジェシー(SixTONES)、特務機関の男・清水尋也。海軍大佐「山本五十六」役で阿部サダヲ、他に吹越満、橋爪功、石橋蓮司、野村萬斎、と脇役陣はクセの強い、個性派の名優たちが並ぶ。

中でも、注目はヤクザの組長役の佐藤二朗だ。オーバーアクション、不思議な笑いで場をさらう。この魅力は何かに似てるぞと、気になって仕方がなかったが、あとで、プロデューサー紀伊宗之さんが「『リボルバー・リリー』は言うなれば『緋牡丹博徒』。」とコメントしていることを知り、思い出した。『緋牡丹博徒』の若山富三郎扮する熊坂虎吉に似ていたのだ!綾瀬ー佐藤で、お竜さんをやってくれたらな、なんて思う。

紀伊さんは『孤狼の血』でアウトロー路線を復活させた東映のプロデューサーだ。そして今回、「この時代ならではのダーク・ヒロインを復活させたかった」と熱く語る。

大正時代を再現する大規模セットを組んで撮影が行われたのは東映大泉撮影所。冬の『レジェンド&バタフライ』の東映京都撮影所のセットといい、やはり伝統のあるスタジオは底力がある。加えて、大正モダン時代をみごとに再現した、黒澤和子の衣裳デザイン、稲垣亮弐のヘアメイクデザイン。そして、ガンマニアもおそらく納得の銃火器の数々とガンアクション。

久しぶりの、かけるべきところにお金をかけたエンタテインメント大作。紀伊さんは「自動車でいえばLEXUSを目指した」という。

文=坂口英明(ぴあ編集部)

(C)2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ