新国立劇場で『尺には尺を』と『終わりよければすべてよし』の交互上演が実現
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『尺には尺を』『終わりよければすべてよし』メインビジュアル
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すべて見る新国立劇場で10月18日(水)から『尺には尺を』と『終わりよければすべてよし』の交互上演がスタートする。両作は単なる喜劇ではなく、戯曲のもつ複雑さ、登場人物たちの屈折した人間像から、"ダークコメディ”と呼ばれている。
『尺には尺を』と『終わりよければすべてよし』は、時をおかず執筆されたと推測される。ストーリー的にも同じテーマを持つ表裏一体のような戯曲だと考え、2作品を交互に上演することで、シェイクスピアの鋭い視点と同時代性が浮かび上がることを目指すのが本プロジェクトだ。
2作品とも「新国立劇場シェイクスピア歴史劇シリーズ」を手がける鵜山仁が演出を務め、岡本健一、浦井健治、中嶋朋子をはじめとする本シリーズお馴染みの俳優陣と、今回新たに参加するメンバーが出演。ソニンは、『ヘンリー六世』以来、14年ぶりの新国立劇場シェイクスピア作品の出演となり、注目を集めることになりそうだ。
両作はシェイクスピア作品の中でも上演機会が多いとは言えないが、そこに描かれるドラマや人物造形は現代の観客に深く刺さるものがある。そんな2作品を同時期にひとつの劇場で観賞することで新たな発見もあるだろう。時間をかけて創作を続ける新国立劇場だからこそ実現した意欲的なプロジェクトになりそうだ。
●演出:鵜山 仁からのメッセージ
物の見た目や物を見る立場が変わると、人の心は他愛無く変化してしまう。加害者のはずが被害者になり、被害者のはずが加害者になる。とすれば「生」の世界はたちまち「死」の世界に、「死」の世界がもしかしたら「生」 の世界に反転するかもしれない。『尺には尺を』と『終わりよければすべてよし』。この二つの「問題劇」にしかけられた二つのベッドトリックは、そんな人生と世界の変容を象徴しているような気がします。
三年に及ぶコロナ禍、僕にとって驚きだったのは、目にも見えない、生物だか無生物だかも判然としないウイ ルスという存在に、世界がここまで翻弄されてしまったことです。そして昨年二月以来のロシアによるウクライナ侵攻は、「戦争」が、実は平穏に見えたわれわれの日常の、すぐ隣に息を潜めていたことを痛感させました。
われわれの目に見えていたのはなんと狭い世界だったのか、ならば舞台という特権的な場では、生きている現実の人間だけではなく、目には見えない世界、死者たちの歴史や、ウイルスも含めた森羅万象、あらゆるものとの交信を心がけたい。ここでは日常生活の利害、効率、善悪を一旦度外視した、遠大、深遠なコミュニケーションが求められます。そのためにあらゆる手段を動員して見えない者たちに呼びかけ、見えない者たちの呼びかけに応えたい。
2009年の『ヘンリー六世』から2020年の『リチャード二世』に至るまで、新国立劇場の舞台で、シェイクスピアの歴史劇を創ってきた仲間たちとの新しいチャレンジ。これを機会に是非、もう一歩先の世界に、分け入ってみたいと思っています。
新国立劇場 2023/2024シーズン 演劇
シェイクスピア、ダークコメディ交互上演
『尺には尺を』『終わりよければすべてよし』
■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2344787&afid=851
10月18日(水)~11月19日(日)
新国立劇場 中劇場
作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:小田島雄志
演出:鵜山 仁
キャスト:
岡本健一 浦井健治 中嶋朋子 ソニン
立川三貴 吉村 直 木下浩之 那須佐代子 勝部演之
小長谷勝彦 下総源太朗 清原達之 藤木久美子 川辺邦弘
亀田佳明 永田江里 内藤裕志 須藤瑞己 福士永大
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