誰にも真似できないことに挑戦し続ける作家たちの作品を紹介『特別展 超絶技巧、未来へ!』9月12日より開催
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前原冬樹《『一刻』スルメに茶碗》2022年
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すべて見る2023年9月12日(火)より、三井記念美術館では『特別展 超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA』展が開催される。同館を皮切りに全国を巡回して人気を博した「超絶技巧」シリーズの第三弾で、金属、木、陶器、ガラスなど、さまざまな素材を用いて、驚くべき超絶技巧の作品をつくる現代作家17名と、彼らのルーツでもある七宝、漆工、木調、刺繍絵画などの明治の工芸家たちの作品を紹介する展覧会だ。
幕末から明治にかけて頂点に達した日本工芸における「超絶技巧」。本物とみまがうリアリティを持ち、数ミリ単位の細かい細工や華麗な彩色をほどこした日本の美術工芸品は、当時欧米諸国に広く紹介され世界中の人々を驚愕させた。そのDNAを継ぐ令和の作家たちの作品は、単に技巧を駆使するだけでなく、「超絶技巧プラスα」の美意識と並外れたインテリジェンスに満ちている。
たとえば大竹亮峯(おおたけ・りょうほう)の《月光》(2020年)は、1年に1度、夜に咲く月下美人を模した彫刻作品だが、鹿角でつくられたその白い花びらは、花器に水を注ぐとゆっくりと開く。また福田亨の《吸水》(2022年)は、着色せずに、自然の素材の色を組み合わせて制作する作者オリジナルの「立体木象嵌」による揚羽蝶や、表面の水滴まで一木で彫り出した台座など、驚異的な仕事に目を奪われる。
その他、鉄鍛金の技法で造形した羽を1枚ずつ重ねてつくった本郷真也の烏の立体作品《Visible 01 境界》(2021年)や、銀という素材で梱包材のプチプチを見事に表現した長谷川清吉の《銀製 梱包材》(2023年)など、あっ!と驚く超絶技巧が満載だ。
同展では、野菜や果物を牙彫で本物そっくりに再現した安藤緑山(1885-1959)や、細かくも艶やかな七宝作品で世界を魅了した並河靖之(1845-1927)ら明治工芸の匠たちの作品も紹介。明治から令和へ、日本人作家たちの、手仕事への飽くなき探求と挑戦、完璧なものを創り出すことへのこだわりが、どのように受け継がれ、新たな作品を生み出してきたのか? ぜひあなた自身の目でご確認あれ。
<開催情報>
『特別展 超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA』
会期:2023 年 9 月12 日(火)〜11月26日(日) ※会期中展示替えあり
会場:三井記念美術館
時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜 (9月18日、10月9日は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)
料金:一般1,500円、大高1,000円
公式サイト:
https://www.mitsui-museum.jp/exhibition/next.html
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