待望の『常磐線舞台芸術祭 2023』 14日間の開催期間を経て、閉幕
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青春五月党『JR常磐線上り列車ーマスクー』より 撮影:鈴木竜一朗
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すべて見る舞台芸術の祭典「常磐線舞台芸術祭 2023」が、7月31日(月)から8月13日(日)までの14日間に渡り開催され、初回開催にも関わらず延べ来場・参加者数約 5,547人を記録する盛り上がりの末、閉幕した。
福島県を中心とした常磐線沿線の各地を舞台に繰り広げられたこの祭典では、上演、ワークショップ、地域を知るツアー、色の企画、コラボレーション企画など多彩な23プログラムが展開された。
「常磐線舞台芸術祭」は、東日本大震災によって被災し、物理的な被害をはじめ、未だその爪痕が残る地域で、本来の地域の美しさや魅力を再発見し、体感してもらうことを目的とした芸術祭。震災直後に福島へと活動の拠点を移した作家の柳美里が発起人となり、2018年に計画をスタート。2020年に実施を目指すもコロナ禍での中止を経て、5年越しで開催が実現した。
参加者は青森中央高校演劇部、福島県の高校生たち、青春五月党、青年団、津村禮次郎、山本卓卓、渡辺源四郎商店、堀川炎(世田谷シルク)、福名理穂(ぱぷりか)、尾崎世界観(クリープハイプ)、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、田島貴男(Original Love)、佐藤厚志、Miya、古川日出男、和合亮一、小松理虔、柳ら。
テーマは「つなぐ、」。震災により生まれたさまざまな「分断」を、舞台芸術の力で少しでも「つなぎ」、魅力を再発見してもらいたいという思いが込められ、発起人の柳がプログラム・ディレクターを、平田オリザがフェスティバル・コーディネーターを務めた。
福島県内の浜通りに位置する常磐線を舞台に、南は茨城県磯原駅から北は宮城県亘理駅まで、さらに浜通りと中通りの境にある福島駅といった様々な会場で開催。東日本大震災と原発事故によって大きな傷を負い、いまだにその痛みが残るこの地域。「地域本来の美しさや魅力を再発見し体感してもらう」ために企画・開催されたこの祭典は、今後も開催することを目指している。
なお、運営資金の一部はクラウドファンディングで募り、1,235人の支援者により13,932,000円(予定)が、会期中会場に設置された募金箱では451,311円が支援された。
【実行委員による閉幕コメント】
■プログラム・ディレクター・柳美里
事務局のみなさん、全てのスタッフのみなさん、公演を行ってくださった団体のみなさん、出演者のみなさん、テクニカルチームのみなさん、実行委員のみなさん、運営コーディネーターのみなさん、地域コーディネーターのみなさん、諸々ご協力くださった地元住民の皆様、お客様、ありがとうございました。
福島は初めて、相双地区には来たことがない、という遠方から訪れて、酷暑のなか、磯原から亘理、また福島市へと飛び回ったスタッフの方々は、まさに仕事を遂行する以上の使命感のようなものがなければ、最後まで続けることは出来なかった、と思います。
みなさんは、「夢の設営」をされたのだと思います。
現実よりも密度の濃い夢の時間を出現させることが出来たのは、スタッフのみなさんお一人お一人が心を尽くし、力を尽くしてくださったからです。
大変感謝しております。ありがとうございます。
■フェスティバル・コーディネーター・平田オリザ
何よりも大きな事故がなく芸術祭が終わったことに安堵しています。
この三ヶ月で五回、福島を訪れました。震災後数年間は、ほぼ毎月伺っていましたが、それ以来の頻度となりました。
自分の運転するレンタカーで海岸線を南北に走り、浜通りの長さを実感する日々でした。
「つなぐ」というコンセプトから、さらに今後に「つながる」何かが残せていれば幸いです。
■実行委員・小松理虔
およそ半月にわたり、福島県浜通り、常磐線沿線を舞台に開催してきました「常磐線舞台芸術祭」、皆さんのおかげで、事故なく無事に閉幕できました。舞台芸術は「観客」が存在して初めて成り立つものです。皆さんが感じ、考え、思い、持ち帰り、解釈する。そこまで含んで舞台芸術なのだとおもいますし、そこにこそ「手繰り寄せる線」が生まれる。どうぞ皆さん、芸術祭で感じたもの、考えたこと、味わったものや見た風景を持ち帰り、皆さんの地元で、それぞれの暮らしや人生のスパイスにしていただけたらうれしいです。そうして、ふくしまは、生き続け、あり続ける。線は、残り続ける。その線をたどり、またこの地を訪れてくれる日を、心待ちにしています!!
■実行委員・相馬行胤
多くの皆様のご支援とご協力のおかげで常磐線舞台芸術祭を無事に終える事ができました。本当にありがとうございまし た。この地に新たな文化を生んでくださいました皆様に心より感謝申し上げます。
私たちはいつでも皆様のお越しをお待ちしております。またお目にかかれる日を楽しみに。
■実行委員・古川日出男
地町でも次のようなフレーズを朗読した。若干改めてここにも載せる。「賛成だとか反対だとか、誰が自分の味方だと か敵だとか、それって何をやっているの?」
■実行委員・和合亮一
そこに舞台空間をどう立ちあげれば良いのか。企画したプログラムのそれぞれにずっと問われ続けてきた歳月でした。 それに応えるべく、たくさんの方と出会い、濃密な打ち合わせを重ねてまいりました。めぐり合ったかけがえのない仲間たちと、新しい何かへと挑もうとした日々が、被災地からの新しい発信の方法のあり方をあらためて教えてくれたように思います。扉を開かせてくれた本芸術祭に、福島人の一人として、深く感謝いたします。
写真提供元:常磐線舞台芸術祭 2023
<開催情報>
常磐線舞台芸術祭 2023
開催期間:2023年7月31日(月)〜8月13日(日) ※公演終了
開催地:福島県、宮城県、茨城県内常磐線沿線、他
プログラム・ディレクター:柳美里
フェスティバル・コーディネーター:平田オリザ
プロデューサー:鄭 慶一、柳 丈陽
実行委員:小松理虔、相馬行胤、平田オリザ、古川日出男、柳 美里、和合亮一、いわき芸術文化交流館アリオス
参加団体・アーティスト:
飴屋法水(飴屋法水たち)/青森中央高校演劇部/福島県の高校生たち/尾崎世界観(クリープハイプ)/小松理虔/後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)/佐藤厚志/青春五月党/青年団/田島貴男(Original Love)/津村禮次郎/畑澤聖悟/福名理穂(ぱぷりか)/古川日出男/堀川 炎/Miya/ 森 幸彦/山本卓卓(範宙遊泳)/柳 美里/和合亮一/渡辺源四郎商店/他
主催:常磐線舞台芸術祭実行委員会、一般社団法人常磐線舞台芸術祭、一般社団法人OSPA
常磐線舞台芸術祭 公式ウェブサイト:
https://joban-line-paf.jp
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