とは言え、同じ会場=千葉・ZOZOマリンスタジアムのライブとしては、彼らが10年ぶりに活動再開の狼煙をあげた『THE BOYS ARE BACK IN TOWN TOUR 2018』のファイナルだった2018年8月15日のライブのほうが、特別な意味合いはあったのかもしれない。今回はあくまで、7月から北海道・熊本・愛知・大阪とまわってきた『Get it Get it Go! SUMMER PARTY 2023』のファイナルという位置づけ。もっと言えば、活動再開してからフェス出演やツアーを重ね、2022年に16年ぶりのニューアルバム『The End of Yesterday』を発表し、今年3月からのリリースツアー『The End of Yesterday Tour 2023』を経て、名実ともに「現在進行形のバンド」となったELLEGARDENの、5年ぶりのZOZOマリンスタジアム公演となる。
幕開けは『The End of Yesterday』収録の「Breathing」という、5年前にはなかった曲調をオープナーに持ってくるという勝負に出て、完璧なアンサンブルで圧倒。そして、これまでも多くの歌声で「僕らの歌」にしてきた「Space Sonic」「Supernova」を畳みかけたあと、その2曲に負けないくらいのシンガロングを《We get it,get it,go》と沸き起こした『The End of Yesterday』収録の「チーズケーキ・ファクトリー」も素晴らしかった。『The End of Yesterday』収録曲も、多くの人生を彩り始めていることの証だ。
楽曲と演奏と、想いがしっかりシンクロしていたところも大きい。生形真一(G)の「ELLEGARDENは誰にも負けないから」という言葉は、次に演奏された「Fire Cracker」の珠玉のアルペジオで体現されていた。さらに細美武士(Vo・G)の「今日が俺たちの人生のピーク」という言葉からはじまった「The Autumn Song」では、限りなくピークが続いていきそうなグルーヴを感じた。また、『The End of Yesterday』収録のテクニカルな四つ打ち曲「Perfect Summer」で、高橋宏貴(Ds)が華麗かつ楽し気にビートを刻み、そこに3人が見事に寄り添う、そのアンサンブルは今のELLEGARDENのムードを表しているようだった。
生形真一(G) Photo:西槇太一
高橋宏貴(Ds) Photo:三吉ツカサ (Showcase)
貫いてきたメッセージも、さらに強固に感じられた。ずっと彼らが歌い続けてきた「自分の道を迷わずに進んでいく」という意思をシンガロングしながら噛みしめた「ジターバグ」や、そんな彼らが歩んできた物語を実感する「虹」などハイライトが続くなか、細美にMCを促された高田雄一(B)。大舞台にも関わらずいつもの調子で「ほんとに言うことがないんですけど……」と戸惑いつつも、「またやりましょう」と宣言! 細美も「死ぬまでにもう一回ここでやりたい」と続ける。その後の「Make A Wish」では、再び会うための約束、それまで戦い続ける決意が、シンガロングやジャンプとなって、スタジアム全体にキラキラと輝いていた。続けて「Strawberry Margarita」がピースフルに響いたエンディングも最高だった。
高田雄一(B) Photo:三吉ツカサ (Showcase)
アンコールでは、現在進行形のELLEGARDENにとって大切な一曲とも言える「Goodbye Los Angeles」を披露。そしてダブルアンコールの「金星」では、ていねいに歌い鳴らされる一言、一音が心に刻まれていった。この《大事な事》を、いつまでも慈しんでいたい――その気持ちを、きっとあの場にいた誰もが感じていたことだろう。