実業家、光村利藻が蒐集した質も資料性も高い刀装具を公開『甲冑・刀・刀装具 光村コレクション・ダイジェスト』9月2日より開催
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《浅葱紺糸威胴丸具足》日本・江戸時代 18~19世紀 根津美術館蔵
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すべて見る根津美術館では、2023年9月2日(土)より、『甲冑・刀・刀装具 光村コレクション・ダイジェスト』が開催される。
現在、根津美術館には、「光村コレクション」と呼ばれる約1200点に及ぶ、甲冑や刀、刀装具が存在する。それらは光村印刷の創業者で、日本の写真印刷工業の礎を築いた実業家、光村利藻(みつむら・としも 号 龍獅堂・1877-1955)が蒐集したもので、当時3,000点以上あった刀剣・刀装具のコレクションを、実物を見ることなく、明治42年(1909)、渋沢栄一を団長とする渡米実業団の一員として横浜を出港しようとしていた初代根津嘉一郎が、一括購入。「光村コレクション」とし、収蔵した。嘉一郎によると、自身に刀剣の趣味はないものの、苦心の大蒐集だから買っておいたということだが、日本美術の海外流出を防ぐ意図があったとも言われている。
この「光村コレクション」は、利藻が長男・利之の初節句のために、本物の甲冑と陣太刀を購入したことをきっかけに、わずか10年ほどで形成された。利藻はそれらを秘蔵することなく、神戸の自邸で積極的に公開し、『光村刀剣会陳列品』という小冊子なども作っていた。
同展では、これまで何度か展示してきた刀剣と刀装具に、初めて甲冑を加えて公開し、光村コレクションの全体像を紹介する。と同時に、作品の公開、記録、技術保存など、単なる愛好家にとどまらない、利藻のキュレーターばりの活動にも焦点を当てる。
さらに同展では、光村コレクションの甲冑の展示にちなんで、根津嘉一郎自身が購入し、昨年度、重要文化財に指定された室町時代の甲冑《黒韋肩取威腹巻(くろかわかたどりおどしのはらまき)》を特別に出品。また、江戸時代、東大寺・二月堂の火災で焼損した華厳経を紹介する『』「二月堂焼経―焼けてもなお煌めくー』と、月にまつわる茶道具を取り合わせた「月見の茶』も同時開催する。
<開催情報>
企画展『甲冑・刀・刀装具展 -光村コレクション・ダイジェスト-』
会期:2023年9月2日(土)~10月15日(日)
会場:根津美術館
時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜(9月18日、10月9日は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)
料金:一般1,300円、大高1,000円 ※オンライン日時指定予約が必要
公式サイト:
https://www.nezu-muse.or.jp/
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