ラグビーワールドカップへ最後の前哨戦! ジョセフHC「バッドラックは置いてきた」
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姫野和樹 (C)スエイシナオヨシ
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すべて見る泣いても笑っても、本番まで残り1試合。ラグビー日本代表は『リポビタンDツアー2023』イタリア代表戦を経て、『ラグビーワールドカップ(RWC)2023』へ突入する。
『リポビタンDチャレンジカップ2023』と『リポビタンDチャレンジカップ2023 パシフィックネーションズシリーズ(PNS)』、国内での強化試合5試合では課題が山積した。ハイタックルによるレッドカードを2度も喫し、数的不利でのゲームコントロールの修正もハーフタイムを挟まなければままならなかった。アタックでもイージーなハンドリングエラーでチャンスを潰した。さらにケガ人が続出し、LOはスクランブル状態に陥ったのだった。
それでも選手たちは現実と向き合い、前を向いた。8月25日の『RWC2023』登録メンバー発表でスイッチが入り、充実した3日間の府中合宿で新たな自信を手にしたと異口同音に口にした。
FL姫野和樹主将「今日(8月18日)国内での最後の練習を終えていよいよという感じ。もう一度ジャパンのラグビーに立ち返る必要があったが、この3日間ですごく自信になった。3日間充実した練習ができたので、自信を持ってイタリアへ入れる。調整ではなく、ディフェンスもアタックも5試合で出た課題をしっかり落とし込んだ。チームとしてしっかり取り込めた」
HO坂手淳史「選ばれる前というのは難しい立場。選ばれてみんなが『RWC』へ気持ちをひとつにしているので、一体感が出ている。具体的に練習でのミスも減っているし、チームのコミュニケーションも深まっている」
SH流大副将「今日が日本で最後の練習だったが、1週間オフを挟んでいたのでいい練習ができた。イタリアへ行ったら試合に向けての準備になるが、結構強度が高い練習となった」

CTB中村亮土「この3日間練習をやったが、ノックオンやハンドリングのエラーがこの暑さでも少なかった。自分たちのラグビーに自信を持ってやれば、イージーなエラーはなくなる。今度は成長した日本代表を見せられると思う。フィジー戦までは各自違ったプレッシャーがあった。(メンバー選考があり)100%ラグビーにフォーカスできない部分があった。これからはラグビーに集中できる。肩の荷が下りたわけではないが、集中できるようになった」
選手たちはイタリア戦の重要性を理解している。
PR稲垣啓太「まだ『RWC』の初戦は見ていない。まだイタリア戦があるので。相手がどうこうと言うよりも、自分たちがどういうラグビーを相手にぶつけるかが全てだと思っている」
HO堀江翔太「『RWC』に向けての試合。そこで自分たちのラグビー、自信を取り戻すための試合。しっかり試合をしたい」
FLリーチ マイケル「完成度はかなり上がってきている。組み合わせもこの人とこの人と決まってきていい感じできている。(『RWC』を戦うには)自信が必要。このイタリア戦が大事になってくる。チームの完成度をここで見たい」

ジェイミー・ジョセフHCは、本番前最後のイタリア戦へ次の23名を送り出した。
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1クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)12
2堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)71
3具智元(コベルコ神戸スティーラーズ)24
4ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ)15
5ヘル ウヴェ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)18
6リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)79
7福井翔大(埼玉パナソニックワイルドナイツ)1
8姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)28
9流大(東京サントリーサンゴリアス)33
10李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)9
11ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)3
12長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)3
13ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)13
14セミシ・マシレワ(花園近鉄ライナーズ)4
15松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)50
16坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)36
17稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)48
18ヴァル アサエリ愛(埼玉パナソニックワイルドナイツ)25
19サウマキ アマナキ(コベルコ神戸スティーラーズ)0
20ベン・ガンター(埼玉パナソニックワイルドナイツ)7
21齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス)14
22松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)32
23中村亮土(東京サントリーサンゴリアス)34

これまでの準備を不安視する声に対して、指揮官は反論した。
「5試合の中でレッドカードが出てフラストレーションが溜まっていた。変にチームの自信をそぐようなバッドラックは続き、ケガ人も出たが、今はすべてを乗り越えた。すべてのバッドラックは日本に置いてきた。フィジカルを含めてチームはいい状態にある。今週は大事なゲーム。『RWC』に向けてメンタルを準備しなければならない。メンタルと言えば『RWC』のセレクションが日本で行われたので、今は33名のメンバーが決まり、チーム一体となり、準備に集中できている」
ジョセフHCはイタリアを「パーフェクトな相手」と称した。
「これまで日本はイタリアと8回戦い2回しか勝っていない。イタリアは『シックスネーションズ』で揉まれている。さらに『RWC』で当たるイングランドやアルゼンチンと同じようにセットピースベースの試合をする相手。対戦相手としてパーフェクトな相手だ」
大事なイタリア戦で最終チェックしたい点はこうである。
「キッキングゲームのバランスとプレッシャー下でいかに一貫したプレーができるか、いかにゲームコントロールできるかを見ていきたい。プレッシャー下で自分たちのラグビーができるかチェックしたい」
ジョセフHCはFW陣について言及した。
「ワーナー(・ディアンズ)、アマト(・ファカタヴァ)がケガをし、ラピース(・ラブスカフニ)が出場停止のため、これまであまりチャンスがなかったケガ明けの福井やサウマキを試す結果になった。その以外、ミラー、具、姫野、ジャック、リーチらキープレーヤーは一貫性のあるパフォーマンスを見せているので、引き続きメンバーに選んだ」

流&李が先発、齋藤&松田がベンチというハーフ団の組み合わせについて、質問が飛ぶと。
「流はチームにリーダーシップとスピードをもたらしてくれる。彼はバイスキャプテンとしてチームに自信を植え付けてくれる。流と直人、どちらがスタートでどちらがフィニッシュか考え、今回流をスタートにした。SOも同じ。力也は経験があるが、まだトップフォームではない。今回は李を先発で試そうと思った」
ナイカブラ&マシレワの両WTBとFB松島のバックスリーの顔触れについて、問われると。
「3人がベストプレイヤーだと思っているから。自分たちがやりたいラグビーをするため、テストマッチに勝つためには、この3人が必要だから選んだ」

サモア戦のケガから戦線復帰となるFL福井は気負わないように心掛けていた。
「すごい気合いが入っているが、空回りしないように、いつも通りの準備をしたい。相手はアタックがいいので、テクニックを使ってくると思うが、そこで僕がブレイクダウンで勢いを付けられるようにしたい」
最後の前哨戦となる『リポビタンDツアー2023』日本代表×イタリア代表は8月26日(土)・イタリア トレヴィーゾにてキックオフ。2週間後にはフランスにて『RWC2023』が開幕。日本代表は9月10日(日)・フランス トゥールーズにてチリ代表戦、17日(日)・ニースにてイングランド代表戦、28日(木)・トゥールーズにてサモア代表戦、10月8日(日)・ナントにてアルゼンチン代表戦とプールDを戦う。イタリア戦の模様はNHK総合、WOWOWプライムにて生中継。『RWC2023』チリ戦とアルゼンチン戦では秩父宮ラグビー場をはじめ、札幌ドームや赤レンガパーク、スカイホール豊田、花園ラグビー場など『RWC2019』開催12都市にてパブリックビューイングを実施予定。
取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)
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