「ごんぎつね」で知られる児童文学作家・新美南吉の最期を描いた戯曲が7年ぶりに上演
ステージ
ニュース

『君は即ち春を吸ひこんだのだ』メインビジュアル
続きを読むフォトギャラリー(4件)
すべて見る児童文学作家・新美南吉の最期を描いた戯曲『君は即ち春を吸ひこんだのだ』が、2023年11月7日(火)より新国立劇場小劇場にて上演される。
本作は昭和初期の愛知県を舞台に、29歳の若さでこの世を去った新美南吉の最期の6年間を6度の3月の風景で描いた戯曲。南吉と彼をとりまく人間模様から日本人らしい心の機微を繊細に描き出し、「日本の劇」戯曲賞2014[主催:(公社)日本劇団協議会]において最優秀賞を受賞。彼の生誕110年記念となる本年に、2016年の初演以来7年ぶりに上演となる。
新美南吉は、国語の教科書でも馴染み深い「ごんぎつね」を18歳の若さで執筆、「手袋を買いに」など今なお残る名作を生み出し、雑誌「赤い鳥」で作品を発表する機会に恵まれた早熟の童話作家。そんな南吉と周囲の人々が織りなす人間模様を軽妙でリズミカルな台詞で描いたのは、2022年に文学座で初演され岸田國士戯曲賞最終候補作品となった『文・分・異聞』でも注目を集めた劇団温泉ドラゴン所属の原田ゆう。緻密な演出で、作品世界を丁寧に舞台上に立ち上げるのは、2022年読売演劇大賞優秀作品賞を受賞したKAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ライカムで待っとく』の演出をはじめ、演劇からミュージカルまで幅広い作品を手掛けてきた田中麻衣子。登場人物たちの温かな眼差しが、他人へ向ける素朴な優しさをそっと思い出させる。
花の香りが漂う優しくも切ない世界を瑞々しい芝居で贈るのは、新国立劇場演劇研修所第17期生7名。8月の朗読劇『ひめゆり』を経て2作目として挑む。彼らは2021年4月に入所、コロナ禍により活動が制限された中でも2年半の厳しい研鑽を積み、3年次である今年度『舞台芸術のあしたへ―国立劇場6館研修修了者合同公演―』にも出演し、舞台人としてさらなる成長を続けている。本公演、そして2月の修了公演と、舞台での実践的な経験を積み、国内外で活躍する俳優への道の一歩を踏み出す彼らがどのように演じるのか、若い役者たちに期待したい。

『君は即ち春を吸ひこんだのだ』は、2023年11月7日(火)から12日(日)まで、東京・新国立劇場小劇場にて上演される。
【あらすじ】
1938年(昭和13年)の3月、愛知県半田市。 新美正八(南吉)は「ごんぎつね」などを世に出していたが、文筆業で生計は立てられず、やっとの思いで女学校の教職に就くことができた。幼いころから身体が弱い正八を心配する父や継母、幼馴染みや、教え子の女生徒……。正八の傍らにはいつも誰かがいたが、満たされぬ思いもあった。
文学への情熱が沸く一方で、正八の身体を静かに蝕んでいく病魔……。
1938年から1943年、6年分の3月を描いた物語。
<公演情報>
新国立劇場演劇研修所 第17期生公演
『君は即ち春を吸ひこんだのだ』
作:原田ゆう
演出:田中麻衣子
出演:新国立劇場演劇研修所 第17期生
飯田桃子、小林未来、佐々木優樹、田崎奏太、立川義幸、根岸美利、樋口圭佑
2023年11月7日(火)〜12日(日)
会場:東京・新国立劇場小劇場
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2325315
公式サイト:
https://www.nntt.jac.go.jp/play/kimiharu_2023/
フォトギャラリー(4件)
すべて見る