川村壱馬×RIKU×吉野北人のネガティブな感情との向き合い方「どん底まで落ちて笑える瞬間を待ちます」
映画
インタビュー
左から)吉野北人、川村壱馬、RIKU (撮影:友野雄)
続きを読むフォトギャラリー(19件)
すべて見る閉塞的で不健康な現代。悩みや生きづらさとまったく無縁という人の方が少ないのかもしれない。大切なのは、胸の奥底に降り積もる苦しさをそっと解き放つ場所があるかどうかだ。
一夜かぎりの恋人・デートセラピストは“救い”を求める女性たちを癒すプロ。映画『MY (K)NIGHT マイ・ナイト』は3組のデートセラピストと女性客が織りなす心の夜明けの物語だ。THE RAMPAGEの川村壱馬、RIKU、吉野北人が、それぞれ個性の異なるデートセラピストを演じている。
先の見えない真夜中のような不安や葛藤を、3人はどんなふうに乗り越えているのだろうか。
沼なのは、刹那? それとも刻?
――川村さんが演じる刹那、RIKUさんが演じるイチヤ、吉野さんが演じる刻。みなさんが[MY KNIGHT]を利用するなら誰を指名しますか。
川村 むずいなあ。
RIKU そのときの気持ちによるんじゃないですか。めちゃくちゃヘコんでたら刻に笑わせてほしいし、シンプルにデートしたいんだったら刹那を選ぶし。
吉野 僕はフルコースです。全部ひと通りお試ししたい(笑)。
――強欲ですね(笑)。
吉野 やっぱりRIKUさんの言う通り気分ってあるじゃないですか。今日はすごい仕事が疲れたというときはこの人とか、悩みや相談があるときはこの人みたいな。その日の気分に合わせて選びたい(笑)。
――じゃあ、キュンが足りないときは?
吉野 王道のキュンは刻がやりがちですよね。安達祐実さん演じる沙都子とレストランに行くシーンで、沙都子の緊張をやわらげるためにあだ名をつけたり、物を食べさせてあげたり。そういうことを平気でやっちゃう。手慣れているんですよ。刻は沼です(笑)。
RIKU 僕は刹那だったら一晩じゃ満足できないかも。おかわりしそう。
川村 おかわりするの?(笑)
RIKU するでしょ。あんなにちゃんと目線を合わせてくれて、こっちの好みもばっちり押さえてくれて。でも、ちょっと抜けているところもあるっていう。1回デートしたら止まらなくなりますよ。
吉野 刻と刹那ではキュンの種類が違うんですよね。刹那がネクタイを選ぶところとかさ、ちょっとリアルな感じがする。刻は接待っぽい(笑)。
RIKU 少女漫画的な狙いキュンみたいな?
川村 刹那はたぶんガチなんですよ。結構ガチになってしまいそう。
RIKU あ〜、リア恋ってやつか。
川村 だから僕だったら刻かイチヤを選びます。落ち込んでいるときとか、イチヤだったら「うんうん」って普通に話を聞いてくれそう。
吉野 確かに。余計なことを言わなさそう。刻は言っちゃうよね(笑)。
川村 そう。だから、ちょっとしたときめきと楽しさを味わいたいなら刻かな。刹那は危うい。あれは危険です(笑)。
RIKUさんはワンコだからなんでもやってくれそう
――では、素の3人でいちばんデートセラピストに向いていそうなのは?
川村 RIKUさんじゃないですか。
吉野 僕もRIKUさんですね。
RIKU え? 本当に?
川村 RIKUさんは、サービス精神が豊富。いろんな人と上手にコミュニケーションをとれるイメージだから、どんなお客さんでも対応できそう。逆に俺とか北人はそういう能力が低いから得意じゃないと思う。
RIKU まあでも確かに人の話を聞くのは好きかな。人が話すのを聞いてるのが楽しくて、気づけばあっという間に時間が経っちゃう。デートセラピストは、お客さんが主役。そういう意味では合ってるのかも。
吉野 RIKUさんはワンコなんですよね。なんでもやってくれそう。
RIKU エサあげればなんでもやってくれるんだ(笑)。
吉野 そうそう(笑)。なんでもやってくれそうだし、なんでもおいしく食べてくれそう。
RIKU でも、僕は壱馬が向いてると思うな。
川村 俺? なんで?
RIKU 確かに僕は相手と会話のキャッチボールをして心をほぐすみたいなタイプだと思うけど、壱馬はまたタイプが違って。球数は少なくても、その少ない一球でちゃんと相手のほしい言葉を相手が投げかけてほしいタイミングをとらえて的確に言ってくれそう。
吉野 あ〜、確かに。
RIKU 普段一緒に仕事をしていく中でも、そういう瞬間を壱馬に感じるんですよ。メンバー会とかでも、ちょうど核心に迫ってきたタイミングでいよいよ口を開くみたいな。人って誰しも心の外側に壁なり殻なりをつくっている。壱馬はそれを力づくでパリンと割るんじゃなくて、自然にスッとすり抜けて、気づけば心のそばにいてくれる人。それは強いですよ。
忘れられない夜の思い出は、LIKIYAさんの誕生日パーティー
――このお話は夜の横浜が舞台ですが、3人は夜型? それとも朝型?
RIKU 僕は夜行性ではないですね。夜はすぐ寝ちゃいます。
川村 逆に朝めっちゃ早いイメージ。
RIKU 早いっすね。仕事がない日でも9時前には起きて朝活してますね。
川村 朝ランとかまだやってるんですか。
RIKU やってるやってる!
川村 やば!
RIKU 朝飯を食う前に軽く30分とか40分くらいランニングしてる。これが気持ちいいんですよ。
川村 僕は超夜行性です。ただ、ドラマの撮影があると朝2時とか3時起きという日も普通にあって。しんどいかなと思っていたら、食事の調整次第でどっちでもいけるんだなということが最近わかってきました。北人は朝弱くない?
吉野 弱いかなあ?
川村 強くはなさそう。
吉野 どっちでもないかなあ。休みの日とか意外と早起きしてます。ただ、起きられると言えば起きられるけど、好きかと言われたら好きではないです(笑)。
――このお話はある一夜の物語ですが、3人の忘れられない夜の思い出を聞かせてください。
吉野 コロナ禍はわりと夜中まで起きていることが多くて、それがあのときの非日常な空気も含めて、心に残っていますね。
RIKU 何してたの?
吉野 一生分の韓国ドラマを観てました。『愛の不時着』とか『梨泰院クラス』とか、当時流行っていたものをひたすら一気見して。あのときは完全に生活が昼夜逆転してた。今となってはできないから、余計に思い出深いというか。
RIKU なるほどね。逆に僕はコロナ禍が明けて、また元の日常が戻ってきたからこそ感じた夜が忘れられないです。
吉野 何があったんですか?
RIKU ずっとメンバーの誕生日はみんなでお祝いしていたのに、コロナ禍の間はそれができなかったじゃない? そこからコロナ禍が明けて、久しぶりにLIKIYAさんの誕生日をみんなでお祝いして。
川村 行きつけの店を貸切にしてね。
RIKU そうそう。まこっちゃん(長谷川慎)がフィルムカメラでちょいちょいメンバーを撮って、画像を後でみんなにシェアしてくれたり。僕もリアルタイムで動画をまわしていたんですけど、ああいう空気感が本当に久しぶりで。ケーキが出てきただけでLIKIYAさんはちょっと泣いちゃってるし(笑)。いい夜だったな、いっぱい飲んだなって、今でも思い出すと温かい気持ちになりますね。
川村 なんでもないことが特別に感じるというのはわかる気がします。そういう意味では、僕は地元の友達と朝まで必死にオンラインゲームをしながら、ああでもないこうでもないと言い合う夜を、一時期毎日のように過ごしていたことがあって。それが、今でも忘れられないですね。
RIKU 壱馬はガチだからね、ゲーム(笑)。
川村 勝ちにこだわってやってます(笑)。FPS(主人公と同じ視点で操作するスタイルの3Dアクションシューティングゲームのこと)系のゲームなんですけど、友達とやるときも、どの場所を取ろうとか、どこどこに敵がいるとか、細かく報告しながら必死に連携をとってやってる。純粋に楽しかったし、そういうなんでもない夜がかけがえのないものなんだなって思います。
落ち込んだときは1回どん底まで持っていきます
――[MY KNIGHT]の利用客は、デートセラピストと過ごす時間を経て、わだかまりや傷から解放されていきます。みなさんは自分の中にあるネガティブな感情とどう向き合いながら乗り越えていますか。
川村 僕は1回どん底まで持っていきます。生きていれば、消えてしまいたくなることって誰にでもある。そういうときは自分の脳みそがバグるぐらいまで落ちたらいいかなって。
RIKU 同じだ。僕もわざわざパワープレイで明るい方向に持っていこうとはしないですね。
川村 僕の性格上、根拠のないポジティブが合わないんですよ(笑)。負の感情に蓋をしたところで、それ自体はずっと残ったまんまじゃないですか。で、知らないふりして空回りするのがすごく嫌。表面的には無理して笑ってるけど、内側には悩みや不安がある。その感覚が嫌なんです。
RIKU わかる。言い方がちょっと雑かもしれないですけど、時間が解決してくれる部分ってあると思うんですよね。無理して笑おうとしなくても、時が過ぎるのを待っていれば、ひょんなことが不意にクスッと面白くなる瞬間が訪れる。こんなに落ち込んでいてもしょうがねえやと心の底から思える瞬間が来るまで待つというのが、僕のやり方かもしれないです。
川村 なので、僕はそういうときはとにかく部屋の明かりを暗くして。間接照明がついてるくらいの薄暗い部屋の中で、片付けや掃除やらを普段の0.5倍速ぐらいのスピードでやる。そうしていると、わざわざ自分から気分を上げようとしなくても、自然と少しずつ整理されていくんです。
RIKU 自然の摂理に任せるって大事だよね。だから、あんまり悩みがあっても人に相談したりもしないかも。生きていたら、この先もあと100万回ぐらいは悲しい気持ちになるだろうし。それに対して、そういうときはこうすれば解決するみたいな方程式もないと思うんです。もちろん人に相談する大切さもわかりますけどね。でもそれも、自分が誰かに話したいと思ったタイミングが来たときでいい気がします。
吉野 僕は2人と完全に逆ですね。
川村 確かに。北人は結構強い方かもしれない。
吉野 基本的に楽しい方が好きなんですよね。悩みごととかあっても、もちろん考えはしますけど、あんまり自分から深い方向へは持っていかない。なんとかなるや精神でやってます(笑)。
取材・文:横川良明 撮影:友野雄
<作品情報>
映画『MY (K)NIGHT マイ・ナイト』
12月1日(金) 公開
フォトギャラリー(19件)
すべて見る