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Da-iCE・花村想太の夢の叶えかた「好きな人をつくれば夢が生まれる」

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Da-iCE・花村想太 (撮影:友野雄)

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「どうしたら良い作品にできるだろう? って、無我夢中でした」ーー映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』のセリフ&歌も完全に日本語で吹き替えをした完全吹替版にて、主演のティモシー・シャラメ扮するウィリー・ウォンカの声を担当した、Da-iCEの花村想太。

アフレコ初挑戦となる彼に、これまで経験したミュージカルの現場で学んだこととの比較、夢がテーマの作品にちなんでいま叶えたい小さな夢、そして「夢を持って生きるためには?」と問いかけてみた。

「間違いなく、世界でいちばん勉強していたと思います」

初アフレコでウィリー・ウォンカ役を射止めたことで、花村がボーカルを務める5人組男性アーティストDa-iCEのほかのメンバーは、どんな反応を示したのか。最初にそんな質問をぶつけてみると「そもそも、誰ひとり『受かる!』と思っていなかったはずです。僕も含め」と意外な答えが返ってきた。

「2005年公開の映画『チャーリーとチョコレート工場』は、僕たちの青春時代を代表するレベルの有名すぎる作品。だからこそ、受からないだろうな、難しいだろうなと思っていたんです。そんな逆境のなかで、僕は最大限の努力をしなきゃいけない。それだけはわかっていたので、短期集中でめちゃくちゃ勉強しました。間違いなく、ボイステストのために頑張っていた僕は、世界でいちばん勉強していたと思います」

2011年に結成したDa-iCEは、その後メジャーデビューまでに約3年、大ヒット曲『CITRUS』で日本レコード大賞を受賞するまで、さらに6年をかけている。自分たちの音楽、歌、パフォーマンスを信じ、実直に活動を続けてきた姿勢は、確実に花村の探究心につながっている。

「勉強することがたくさんあって、知らないことを日々インプットしていく感覚が久々で。とても有意義な時間でした。僕、33歳なんですけど、なかなか新しいことに挑戦する機会って減っていくんです。『どうしたらもっと良い作品にできるだろう?』って無我夢中でした。素敵なチャレンジをさせてもらえたと思います」

初アフレコで「日本人の心」を痛感

優しく、嫌味を言われても明るく振るまい、人の悪意にさえ気づかないほど純粋なチョコ職人。亡き母との約束を胸に、世界一のチョコレート店を開く夢を追いかける。ウォンカの声を演じるにあたり、監督から「意識してほしい」と示されたポイントだ。それはどこか、いつも朗らかな花村自身のパブリックイメージにも通じる。

「ウォンカの、どこかあっけらかんとした雰囲気を表現するために、僕の地声のなかでもいちばん明るいトーンを意識しながらアフレコしました。それは、彼が悲しんでいるシーンでも同じです。なるべく、ティモシー・シャラメさんの声色に忠実に、かつ監督からのアドバイス通りに調整していく。難しいところもたくさんありましたが、これまでミュージカルの舞台で経験し、学んできたことを活かせたように思います」

2022年に上演したミュージカル『ジャージー・ボーイズ』では、主役・フランキー・ヴァリ(中川晃教とのWキャスト)の15歳〜60歳のあいだを演じきった。ウィリー・ウォンカは作中で年齢を重ねるわけではないけれど、物語が進むにつれ「現実のままならなさ」を知り、精神的に大人になっていく。「そんな、目には見えない力強さを表現できたんじゃないかと思います」と花村は自信を覗かせる。

「難しかったのは、セリフのスピードや間の取り方が、自分ではコントロールできないところ。実際に自分の身体で演じるミュージカルは、所作やセリフを自分の感性で補えます。でも、アフレコは画面を見ながら、あらかじめ決まっている口の動きに声を合わせるのが大前提。あとは、英語と日本語の違いも強く感じました」

(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

英語では「こっちにきて、一緒に踊ろうよ!」という意味が含まれている一文でも、日本語だと「おいで!」の一言で終わってしまうことがある。短い言葉にたくさんのニュアンスが入る英語と、そうではない日本語。その違いに、あらためて言語の奥深さを感じたのだとか。 日ごろ字幕で映画を観ることはほとんどないらしく、「こんなに原音を聴くのも、なかなかない体験でした」と振りかえる。 「短いセリフ一つでも、翻訳してみたらこんなにたくさんの意味が含まれているんだ! と驚くこともありました。『I love you』を『月が綺麗ですね』と訳した日本人は、多くを語らない。そんな心を感じた時間でもあったのかな、と思います」

より良い音は、マイクの位置から

「この作品をより良くしたい」「より良い声を追求したい」――そんな花村の強い思いが、アフレコの話をとおして伝わってくる。今回、花村はたった一人でアフレコ現場に臨んだ。先達の知見を盗み見ることさえできない状況で、彼はどうやって技術を磨いたのか。

「本業の声優がどんなアフレコの仕方をしているか、動画を見て研究しました。声優さんの発する声を聴いていると、周波数が違うというか、もっともっと身体の深いところで声が鳴っているように聞こえたんです。その域に近づくためにはどうしたらいいのか。やっぱり発声と響き、あと倍音が効いていないとダメなんですよね、ノリが悪いというか」

止まらない。彼が過去に、Da-iCEの楽曲『ダンデライオン』を歌うコツについて触れている動画を見ていても、一音一音にこだわって発声しているのがわかる。その追求心と探究心、自分の納得がいくまで突き詰める職人魂は、ステージが変わっても発揮される。

「あとはやっぱりマイクの位置が重要です。歌のレコーディングでもそうなんですが、マイクの位置がちゃんと正面にあるかそうじゃないかで、音の“シャリシャリ具合”が違うんです。きちんと正面から音が録れれば綺麗な音になる。僕はどうしても台本に見入ってしまって、マイクとの角度ができてしまっていたんです。台本もマイクも、あとモニターも自分の顔の正面に位置するようにしながら、声を出す……。これが難しくって、試行錯誤しました」

夢を持つために「好きな人をつくる」

『CITRUS』で日本レコード大賞を受賞したDa-iCEは、2022年11月に『スターマイン』でふたたび日本レコード大賞「優秀作品賞」に輝く。内外から期待が高まるタイミングで、惜しくもNHK紅白歌合戦へ出場する夢は叶わなかった。しかし、未だその“通過点”は彼らの視野から逸れていない。

そんな花村に、あえて「今日や明日すぐにでも叶えたい夢は?」と投げかけてみると「バイクのカスタムをしたいです!」と返ってきた。「でも、いきなりやって失敗したらイヤなので、やっぱりバイクで遠出したいですかね。いつものバイク仲間とキャンプをしたいなあ。キャンプ道具を買ったはいいものの、ありがたいことにお仕事がたくさんあって、まだ行けてなくって。テントで一泊して、ゆっくりした時間を過ごしたいです」

花村にも自覚があるように、年齢を重ねると少しずつ、生活から「新しい体験」が減っていく。いつまでもワクワクする気持ちを忘れないように、夢を持ち続けるためにはどうしたらいいのだろうか。

「好きな人をつくるといいんじゃないでしょうか。もちろん恋人でもいいし、家族でも友達でもいい。一緒にいて楽しくて、信頼できる人が近くにいれば、夢や願望がわいてくるかもしれません。いまならオンラインで遠くにいる人とも繋がれますし」

Da-iCEとしての活動も、メンバーはもちろん、マネージャーやスタッフ、6面(Da-iCEファンの呼称)のみんなと夢を共有できるから、続けていける。周りの人に支えてもらっているぶん、パフォーマンスと感謝で返していきたい。そんな利他的なスタンスが覗けるが、花村は「まわりまわって自分のため」だと言う。

「人のためにすることが、自分に返ってくるんだと思います。マネージャーには、もうちょっと安心してご飯を食べさせてあげたいし、6面のみんなには良い音楽を届けたい。そう思うのも、言ってしまえば自己満足の世界なのかも。でも、支え、支えられて、共有し合える人がいるからこその夢じゃないですか。共有し合える人がいると、さらに大きくなっていくものだと思うから」

取材・文:北村有 撮影:友野雄

<作品情報>
『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』

12月8日(金) 公開

(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』完全吹替版本予告

公式サイト:
https://wwws.warnerbros.co.jp/wonka/index.html