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最高峰の音色によるベートーヴェン・シリーズ、始動!

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清水和音×三浦文彰 ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会Ⅰ

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世界最難関といわれるハノーファー国際ヴァイオリンコンクールで史上最年少(16歳)優勝という快挙を成し遂げて以来、世界的に活躍するヴァイオリニストとして聴衆を魅了するヴァイオリニストの三浦文彰と、ロン=ティボー国際コンクール・ピアノ部門で優勝後の鮮烈なデビューから、常に日本を代表するピアニストとして第一線で活躍し続ける清水和音。親子ほどの年齢差のある二人がデュオを組み、全3回でベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全10曲に挑むプロジェクトが開始した。

それぞれが卓越したテクニックと磨き抜かれた音色の美しさ、繊細さとスケールの大きな音楽づくりをあわせもつ音楽家であり、まさに“向かうところ敵なし”ともいえるデュオである。3月にはブラームスのヴァイオリン・ソナタ全曲のCDのリリースも決定しており、精力的な活躍が期待される。

そんな彼らが挑むシリーズの第1回、2月12日(月)の公演では、初期のソナタが集められた。第1番に第2番、そして第4番と第5番「春」という組み合わせである。

第1番は明るさと優雅な雰囲気に満ちた楽曲であり、輝かしい音色を持つ二人の魅力が存分に発揮されていた。モーツァルトの影響を感じさせる作品であると同時に、特にピアノパートに高度な技巧が凝らされており、それを清水は終始軽やかなタッチで演奏。終始透明感のある音色が印象的であった。そこに三浦の繊細な音が加わることでさらに魅力的な響きが作り上げられていく。ぜひいつか彼らの演奏でモーツァルトも聴いてみたいと思わせた。

続いて演奏されたのは、よりヴァイオリンとピアノの“対話”が意識された楽曲となっている第2番。このデュオの卓越したアンサンブルを堪能することができた。時に音色を溶け合わせ、また時には違った音色を奏で合うことで、緩急のあるやり取りが生み出されていく。どこか即興性を感じさせる二人のやりとりは、聴き手を彼らが創り出す音楽の世界へと自然に引き込んでしまうのである。

初期の作品では唯一の短調で書かれた第4番は、曲想においても先の2曲とは違う様相を呈する。優雅さや軽やかさではなく、ベートーヴェンらしい激しさ、緊迫した雰囲気に包まれたドラマ性のある楽曲であり、三浦、清水の音楽性の豊かさ、音色の幅といったものがさらに魅力的に引き出される楽曲となっている。三浦の力強くもどこか凛としたたたずまいを感じさせる音色が見事であり、それに清水が寄り添い、また鼓舞するように後押ししながら演奏が展開していった。

プログラム最後となったのは最も有名な楽曲である第5番「春」。のびやかで優しい旋律と、それを彩る軽やかな音型とが交錯する楽曲で、ヴァイオリンとピアノが全く対等な立場となっている。第4番とは対照的に幸福感に満ち溢れ、輝かしい二人の音色が最大限に発揮されていく。音階一つをとっても様々な表情が聞こえてきて、常にうつりかわる表情を見せながら奏でられていく二人の「春」は会場中を華やかに彩っていった。

圧倒的な説得力を持って奏でられた二人のベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタは今後さらに多くの人々を魅了していくことであろう。今後のシリーズにも期待が膨らむ。なお、シリーズの第2回は7月の開催が決定しており、そこでは第3番と第6、7番が演奏される予定だ。繊細さと大胆さを併せ持つデュオによるこのシリーズは、間違いなく、いま最高のベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタを届けてくれるものだと言えるだろう。

取材・文:長井進之介

<今後の公演情報>
清水和音×三浦文彰 ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会Ⅱ

公演日程:2024年7月15日(月・祝)14:00開演(開場13:15)
会場:サントリーホール 大ホール

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2402278

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