現代アーティストの登竜門「FACE展」2月17日よりSOMPO美術館でスタート
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(撮影:飯塚さき)
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すべて見る現代美術家の登竜門ともいわれる公募形式コンクール「FACE展」。今年で12回目となる本展が、東京・新宿区にあるSOMPO美術館で開催されている。去る2月16日、開催に先立ち受賞者への表彰式と内覧会が行われた。その様子をお届けする。
今年の肝は作品・審査員の多様化
2012年度から始まった「FACE展」。第12回となる今回は、年齢や所属を問わない1184名の新進作家が出品し、78点が入選。そのなかからさらに受賞作品が選ばれた。
審査委員長を務めた、三菱一号館美術館上席学芸員の野口玲一氏は、作品の審査が年々難しくなってきていると話す。なぜか。
「年を追うごとに作品が多様化していることに加え、我々審査員側の世代やバックグラウンドも多様性が生まれてくるようになりました。そのため、票がばらけて特定の作品になかなか票が集まらないのです。つまり、入選自体がとても大変なこと。本展に選ばれた皆さんは、ぜひ自信をもってほしいと思います」
制作活動は継続が難儀であるとし、「どんな環境でも頑張って続けていってほしい」と、野口氏は新鋭作家たちにエールを送った。
「蝋けつ染め」でグランプリ受賞
今回グランプリを受賞したのは、佐賀大学大学院地域デザイン研究科に所属する津村光璃(ひかり)さんの『溶けて』。本展で抽象画がグランプリを受賞したのは、史上初である。
表彰式で受賞の喜びを話した津村さん。今回の作品の技法でもある「蝋けつ染め」を中心に、普段は染めの研究と作品制作に勤しむが、大学の先生から後押しされたことと、本展のポスターを見たことがきっかけで作品を応募したという。
「日光で発色する特殊な染料なのですが、制作を重ねるうちに、今回のような平面の絵画に近い作品が出来上がりました。染めだからこそできる絵画、平面作品とは何か、これからも追及していきたいと思います」
染めから生まれる発色や縁取りの美しさは、遠近どちらで見ても独特な広がりを見せる。
そのほか、日本美術の未来を担うアーティストたちによる多彩な作品がずらりと並ぶ本展。3フロアたっぷりと使った展示室を抜けた後は、来場者も好きな作品に投票でき、観覧者投票による「オーディエンス賞」も選出される予定だ。最先端の作品たちを堪能するだけでなく、自らの目で『未来の巨匠』を見つけるのも、本展の楽しみ方といえるだろう。
取材・文・撮影/飯塚さき
<展覧会概要>
「FACE展2024」
会期:2月17日(土)~3月10日(日)まで
会場:SOMPO美術館
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/face2024/
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